『日々の映像』

2008年08月06日(水)  新型インフルワクチン、事前接種開始

新型インフルエンザに備えて多くの国民にプレパンデミック(大流行前)ワクチンを事前接種するための臨床研究が始まった。今年度中に医師や検疫官ら6400人に接種する予定。有効性や安全性を確認できれば、政府は1千万人に広げる検討をするという。ワクチンは、インドネシア、中国で採取された強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)の株からつくり備蓄している2千万人分の一部だという。事前接種で効果があるのであれば良いのだがとの疑問の声もある。

この疑問に対する報道は次の通りだ
「新型は、H5でなく、H7やH9など別の亜型から起こる可能性もある。この場合、備蓄ワクチンはほとんど効かない恐れがある。また、備蓄ワクチンは、H5から新型が起こったとしても、効くかどうか不明と指摘される。・・・・・
今回の接種に携わる国立病院機構本部の伊藤澄信・医療部研究課長は4日、『今回のは、あくまでワクチンの安全性と持続性、効果をみる臨床研究の位置づけだ」』」と記者らに説明している。 人から人に感染しやすくなった新型インフルエンザの株から作るワクチンでないと効果がないのだろうか。

 一番懸念されるのは、新型インフルエンザが大流行した際、感染患者の入院病床を確保できるかどうかである。国の行動計画が設置を求める「発熱外来」も、設置場所が決まっているのは8県しかない。医療スタッフを確保できる見通しがあるのは1県にすぎず、医療体制確保が進んでいないのだ。「大流行した場合について国は、国民の4人に1人が感染し、最大約2500万人が医療機関を受診、約200万人が入院すると想定する」(毎日から)となっている。しかし、日本の病院は130万床しかないのに200万人の入院などできるはずがない。新型インフルエンザが大流行は、医療機関のパニックから始まるように思えてならない。

新型インフルワクチン、事前接種開始 医師ら70人に
                       2008年8月4日 朝日新聞
新型インフルエンザ対策、医師らに大流行前ワクチンの接種開始 
                       2008年8月4日読売新聞
新型インフル:ウイルスの増殖助けるたんぱく質特定 東大
                       毎日新聞 2008年7月10日


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新型インフルワクチン、事前接種開始 医師ら70人に
http://www.asahi.com/health/news/TKY200808040359.html
                         2008年8月4日 朝日新聞
新型インフルエンザに備えて多くの国民にプレパンデミック(大流行前)ワクチンを事前接種するための臨床研究が4日、始まった。今年度中に医師や検官ら6400人に接種する予定。有効性や安全性を確認できれば、政府は1千万人に広げる検討をするが、世界初の大規模な試みに疑問の声も出ている。
 ワクチンは、インドネシア、中国で採取された強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)の株からつくり備蓄している2千万人分の一部。同日には東京都内の病院で、医師や看護師、薬剤師ら約70人に接種した。今後、全国60の病院で6400人に各人2回ずつ接種。後に血液検査をして抵抗力が上がっているかを調べる。
 
厚生労働省によると、大規模な事前接種は、世界初の試み。政府は問題がなければ09年度から、警察官や自衛官、電気や水道などライフライン関係者ら1千万人に接種を広げる。さらに10年度以降、子どもを含めた希望する国民にも拡大する方針だ。
 
新型インフルは、鳥インフルのH5N1がもとになって起こると懸念される。今年6月19日までに世界で計385人に感染、うち243人が死亡した。人から人に感染しやすくなった新型インフルにはまだ変異していない。
 
新型は、H5でなく、H7やH9など別の亜型から起こる可能性もある。この場合、備蓄ワクチンはほとんど効かない恐れがある。また、備蓄ワクチンは、H5から新型が起こったとしても、効くかどうか不明と指摘される。
 いま、このタイミングで事前接種が必要なのか。専門家の間でも見方は分かれる。賛成派、反対派の研究者が意見を交換しようと7月下旬には、シンポジウムも開いた。
 
西村秀一・国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長は「大規模接種は、効果と危険性のバランスをよく考えるべきで、透明性ある十分な議論が必要だ」と慎重な実施を求める。
 
一方、今回の接種に携わる国立病院機構本部の伊藤澄信・医療部研究課長は4日、「今回のはあくまでワクチンの安全性と持続性、効果をみる臨床研究の位置づけだ」と記者らに説明。接種拡大は研究結果による、との政府方針を強調した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新型インフルエンザ対策、医師らに大流行前ワクチンの接種開始 
                    2008年8月4日22時07分 読売新聞
 新型インフルエンザ対策を検討している厚生労働省の研究班(研究代表者=庵原俊昭・国立病院機構三重病院長)は4日、医師ら6400人を対象に大流行前(プレパンデミック)ワクチンの接種を始めた。
 
有効性や安全性を確かめる臨床研究の一環で、大流行時に最前線で働くことになる医師や検疫所職員らを対象に、全国約60病院で10月ごろまで順次接種し、来春をめどに結果をまとめる。
 この日、都内にある協力病院の一つでは、医師や看護師ら59人が上腕部に接種した。
 
大流行前ワクチンは、新型インフルエンザに変異する可能性がある強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を基に作製されたもの。
 有効性と安全性が確認できれば、警察官や電力会社職員など1000万人に接種する方針。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新型インフル:ウイルスの増殖助けるたんぱく質特定 東大
                        毎日新聞 2008年7月10日
 世界的な大流行(パンデミック)が懸念される新型インフルエンザウイルスなどの増殖に必要なヒトのたんぱく質を、東京大医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)の研究チームが世界で初めて特定し、10日付の英科学誌ネイチャーに発表した。症状を緩和する新薬の開発に役立つ可能性がある。
 
研究チームは、ヒトの遺伝子と共通点の多いショウジョウバエのゲノム(全遺伝情報)を分析。ハエの持つ遺伝子の9割に当たる1万3071個が作るたんぱく質から、インフルエンザウイルスと反応する110種類を見つけた。このうち、ヒトが感染している強毒性鳥インフルエンザ(H5N1型)と、Aソ連型(H1N1型)のウイルスの増殖を助けるヒトに共通する3種類のたんぱく質を突き止めた。H5N1型は、ヒトなどの体内で変異して新型インフルエンザの原因ウイルスになるとして警戒されている。

 従来の医薬品は、ヒトの細胞上でウイルスの感染や増殖を抑える仕組みだったため、細胞が異常を起こし副作用をもたらす恐れがあった。
 
河岡教授は「今回特定したヒトのたんぱく質とウイルスの結合を阻害する物質ができれば、副作用を抑えた抗ウイルス薬やワクチンになる」と話している。【関東晋慈】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新型インフルエンザ:流行時「病床確保」…13府県のみ
                      毎日新聞 2008年7月21日
新型インフルエンザが大流行した際、感染患者の入院病床を確保できる見通しが立っているのは13府県にとどまることが、毎日新聞の調査で分かった。感染が疑われる患者を一般患者と接触させずに集中的に診るため、国の行動計画が設置を求める「発熱外来」も、設置場所が決まっているのは8県しかない。医療スタッフを確保できる見通しがあるのは1県にすぎず、医療体制確保が進んでいない実情が浮かんだ。
 
大流行した場合について国は、国民の4人に1人が感染し、最大約2500万人が医療機関を受診、約200万人が入院すると想定する。調査は5〜6月、各都道府県の担当者を対象に実施。入院病床確保の見通しなどについて聞いた。
 病床確保の見通しは「できる」が13府県、「できていない」が25道府県だった。「できる」と答えた自治体でも、対応病院がすべて決まっているのは6府県にとどまった。
 
流行時の医師や看護師確保の見通しは、15県が「足りないだろう」と回答。「足りるだろう」は1県しかない。多くは「分からない」と答え、確保の見通しは立っていない。
 
発熱外来の設置場所を決めているのは8県。「医師会などと協議中」が19都府県、「今後検討する」が19道県だった。設置個所数は22都府県が具体数を挙げたが、山形県の「4カ所以上」から、静岡県の「2899カ所」まで幅があった。
 
発熱外来の開設時期は▽国内発生後22府県▽管内発生後12府県▽その他(海外発生後など)11都道県−−と分かれ、東京都は「大流行時」と答えた。「海外での発生時」とした兵庫県は「最初の患者発生から発表まで時間がかかる場合があり、早めに設置する」。京都府は「早く設置すると混乱やパニックを起こす恐れもある」として「管内で発生してから」と回答した。
 流行時の学校の対応については「一斉休校」が13府県。7県は「管理者(市町村など)に一任」で、23道府県は「未定」だった。
 
国の備蓄目標「治療薬のタミフル2800万人分、プレパンデミック(大流行前)ワクチン2000万人分」には、22道府県が「増やすべきだ」と指摘。「現行で十分」は8府県しかなかった。  まとめ・清水健二

 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ