『日々の映像』

2008年08月05日(火)  原油高騰で最も苦しむのは米ビッグ3

 原油価格が1バレル=120ドルを大きく上回る状況で、新たな供給源や代替燃料、エネルギー効率化に関連したビジネスが活況を呈してくる。http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080801/166937/
日本の自動車業界はエネルギー効率化で新たな飛躍の時代を迎えると思う。原油高騰でビジネスチャンスを生む業界も多くあるのである。
  
 反面決定的なマイナス減少しかない業界も現れることになる。その代表例がアメリカのビッグ3でないかと思う。米調査会社オートデータが1日発表した6月の米新車販売台数は「前年同月比18・3%減の118万台」と、8か月連続で前年実績を下回った。加えて米ビッグスリー合計の販売台数は25・5%減と大幅に落ち込み、合計シェア(占有率)も45・8%と、2か月連続で日本と韓国を合わせたアジア勢(46・2%)を下回った。

 これらの背景から、米ビッグ3の経営危機説が急速に浮上している。2005年以来、GMは500億ドル(5兆5000億円)、フォードは130億ドル〔1兆4000億円〕を超す巨額赤字を積み重ねている。クライスラーは非上場のため詳しい数字は明らかにないが3社のでは最も厳しい経営状況といわれている。7月以降、米金融機関のアナリストらの以下の厳しいリポートが発表されている。
1、ゼネラル・モーターズ(GM)やクライスラーの資金繰りが行き詰まる可能性を相次いで指摘し、GMの株価は54年ぶりの低水準にまで急落した。
2、米銀行大手JPモルガン・チェースは3日「クライスラーは2009年後半にも資金難に陥る可能性がある」と経営状態に警鐘を鳴らすリポートを発表した。

 米ビッグ3は今年4〜6月期決算で、リストラ関連費用の計上などでGMが154億7100万ドル(約1兆6600億円)、フォードも86億6700万ドル(約9300億円)と巨額の当期赤字に転落した。ともかく、体力をすり減らしており、原油高騰で最も苦しむのは米ビッグ3のようだ。

日米、勝者なき逆転劇 7月米新車販売
           2008年8月4日 日経
縮む米自動車市場、ビッグ3窮す 日米シェア初の逆転
                        2008年8月3日 朝日新聞 
米新車販売18%減…6月
                        2008年7月2日 読売新聞
米ビッグ3「経営ピンチ」警告リポート続々  
  2008年7月5日 読売新聞

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日米、勝者なき逆転劇 7月米新車販売
           2008年8月4日 日経
 米国自動車市場で日本メーカー8社の7月の新車販売シェアが初めて米自動車ビッグスリーを単月で上回った。ガソリン高で需要が落ち込む中、日本勢は低燃費車で攻勢をかけ、現地生産開始から四半世紀をへて日米逆転を果たした。低燃費車シフトと、強まる新興国の重要性――。停滞する世界最大市場「米国」で起きた逆転劇は、自動車産業が歴史的な転換点に立っていることを象徴している。
 米調査会社オートデータによると、7月の日本8社合計の販売は前年同月比4.9%減の48万8226台でシェアは43.0%。対して、大型車の不振が目立つビッグスリーは22.9%減の48万5289台でシェアは42.7%。日本は台数で約3000台、シェアで0.3ポイント差で上回った。(07:00)
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縮む米自動車市場、ビッグ3窮す 日米シェア初の逆転
2008年8月3日0時54分  朝日新聞
 【ニューヨーク=丸石伸一】米国の新車市場で7月、日米の販売シェアが初めて逆転した。ガソリン高と景気減速の「二重苦」が、大型車の販売比率が高い米ビッグ3を直撃した。ただ、日本のメーカーも事情は同じ。米市場の縮小は著しく、日米双方とも小型車へのシフトに躍起だ。
 米調査会社オートデータによると、7月の新車販売台数は、日本車が8社計で48万8226台と、ビッグ3合計の48万5289台をわずかに上回った。日本車のシェアは計43・0%と史上最高を記録し、ビッグ3は42・7%と過去最低に落ち込んだ。
 米市場の前年同月割れは9カ月連続だが、7月は19・9%減(営業日数の違いを調整した比較)と落ち込みが激しかった。米サブプライム住宅ローンの焦げ付き増で新車の購入者が減り、住宅市場の低迷で建設関連業者が仕事兼用で使うピックアップトラックの需要も急減。ガソリン高が販売減に拍車をかけた。
 ピックアップトラックやスポーツ用多目的車(SUV)などの大型車の販売は31%減で、落ち込み幅は小型車の7%減を大きく上回った。米大手ゼネラル・モーターズ(GM)が売却を検討している大型車の主力ブランド「ハマー」は65%減で、消費者の「大型車離れ」を象徴する。
 市場縮小の影響は日本メーカーも免れず、日産自動車以外は販売台数を減らした。米国で大型車の販売に力を注いできたトヨタ自動車はピックアップトラック「タンドラ」が47%減。高級車「レクサス」ブランドも27%減で、人気の小型車も在庫不足で伸び悩んだ。あるメーカーの販売担当者は「ここまで急激に大型車の販売が悪化するとは予想できなかった」と話す。
 日本メーカーは今後、得意としてきた小型車へ注力する方針だ。米ビッグ3でも、フォードが欧州の小型車を北米に投入し、大型車の3工場を小型車に振り向ける「小型車攻勢プラン」を打ち出した。
 ただ、小型車の生産増を軌道に乗せるには時間がかかる。米ビッグ3は4〜6月期決算で、リストラ関連費用の計上などでGMが154億7100万ドル(約1兆6600億円)、フォードも86億6700万ドル(約9300億円)と巨額の当期赤字に転落した。体力をすり減らしており、状況はより厳しい。
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米新車販売18%減…6月
2008年7月2日 読売新聞
【ニューヨーク=池松洋】米調査会社オートデータが1日発表した6月の米新車販売台数は前年同月比18・3%減の118万台と、8か月連続で前年実績を下回った。
 ガソリン高騰と景気の先行き不安で大型車を中心に市場は急速に縮小しており、米メディアによると、年換算ベースでは1993年8月以来15年ぶりの低水準となった。
 米ビッグスリー合計の販売台数は25・5%減と大幅に落ち込み、合計シェア(占有率)も45・8%と、2か月連続で日本と韓国を合わせたアジア勢(46・2%)を下回った。
 米メディアは、6月の販売台数でトヨタ自動車とゼネラル・モーターズ(GM)のシェアが逆転する可能性があると報じていたが、GMが月末に金利ゼロなど大規模な値引き販売キャンペーンを行った結果、首位を守った。
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米ビッグ3「経営ピンチ」警告リポート続々
2008年7月5日 読売新聞
 米ビッグスリーの経営危機説が急速に浮上している。7月に入り、米金融機関のアナリストらが、ゼネラル・モーターズ(GM)やクライスラーの資金繰りが行き詰まる可能性を相次いで指摘し、GMの株価は54年ぶりの低水準にまで急落した。
 大型車を中心とする米新車市場の深刻な低迷が背景にあり、業界再編ともなれば日本メーカーの動向が焦点となる可能性もある。(ニューヨーク 池松洋、小谷野太郎)
 「クライスラーは2009年後半にも資金難に陥る可能性がある」
 米銀行大手JPモルガン・チェースは3日、クライスラーの経営状態に警鐘を鳴らすリポートを発表した。
 販売が大型車に偏り、他社が頼みとする新興国市場に出遅れているクライスラーは、米市場の低迷のあおりを最も厳しく受ける、との理由からだ。
 GMについても、米証券大手メリルリンチが2日、巨額の赤字が続く可能性が高いと指摘し、150億ドル(約1兆6000億円)の資金を調達出来なければ「経営破たんの可能性も否定できない」とのリポートを発表。GMの株価は1954年以来、54年ぶりに10ドルを割り込んだ。
 フォード・モーターについては、JPモルガンのリポートで、経営の危険性は比較的小さいと評価されたが、その理由は「傘下のボルボを売却できるし、マツダ(売却)の選択肢もある」という厳しいものだ。
 2005年以来、GMは500億ドル、フォードは130億ドルを超す巨額赤字を積み重ねている。クライスラーは非上場のため詳しい数字は明らかになっていないが、6月の販売の落ち込み幅は3社の中で最も激しく、厳しい経営状況は疑いようがない。
 6月の米新車販売台数は年換算で1400万台を割り込み、93年以来15年ぶりの低水準だった。特に3社合計の販売台数は前年同月より25・5%も減った。米メディアは「ビッグスリーが経営危機にひんしていた70年代末〜80年代前半の第2次石油ショックを想起させる落ち込み」と指摘する。
 米自動車業界では、ビッグスリーを巡るブランド売却や事業分割、新興国メーカーなどとの提携など、再編のうわさが飛び交う。
 日本勢の対応も注目される。日本メーカーは81年から94年まで対米輸出を自主規制した。2005年にトヨタが行った米市場での値上げも、不振にあえぐビッグスリーに配慮したとの観測があるなど、摩擦回避のために直接・間接の取り組みをしてきた経緯がある。
 メーカー同士でも、06年に日産とGMが提携交渉を行ったり、日産は今年1月にクライスラーへの小型車のOEM(相手先ブランドによる生産)供給で合意するなど、再編機運が続いている。米メーカーの経営不振が長引けば、日本勢がさらなる関係強化に乗り出す局面も考えられる。
(2008年7月5日 読売新聞)

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石田ふたみ