『日々の映像』

2008年07月25日(金)  アメリカの豊かさの疑問


米住宅金融2社のローン担保証券の残高が、約530兆円もあるという。要点のみをメモしたい。
1、住宅ローン担保証券の残高が総額5 兆ドル(約530 兆円)に達している。
2、そのうち1兆5000億ドル(約160兆円)超を海外の中央銀行や金融機関などが保有している。
3、国内大手金融機関が、米政府から緊急支援を受ける政府系住宅金融2社などの発行する政府機関債や住宅ローン担保証券を、約9兆6000億円(3月末時点)保有している。
4、債券を保有している金融機関
・三菱UFJフィナンシャル・グループ   約3兆3000億円
・中央三井トラスト                7584億円
・三井住友フィナンシャルグループ         2198億円
・中央トラストフィナンシャルグループ       7584億円
・日本生命保険                2兆5000億円
・第一生命保険                  9000億円
・明治生命保険                  900億円
・東京海上                    585億円
・三井住友海上火災保険              450億円
・農林中金                 約1兆億円

国内大手金融機関が、米政府から緊急支援を受ける住宅金融公社2社などの発行する政府機関債や住宅ローン担保証券を、開示しているだけで約9兆6000億円(3月末時点)保有している。2社の債券は「暗黙の政府保証」で米国債に準じて信用力が高いとされているが、今後の情勢次第で分からない。

 救済が打ち出されたのは連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社である。

米住宅金融2社:債券など160兆円超は海外に
                      2008年7月22日 毎日新聞 
大手行、5兆6千億円保有=救済策の行方注視−米住宅金融関連債
                      2008年7月19日1 時事通信
国内勢の残高9兆6千億円 米政府住宅金融の関連債券
    2007年7月17日 共同通信
米経済が金融恐慌に突入・信用収縮で大手証券破綻
                      2008-03-31 週刊『前進』06頁
http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=22831&pg=20080725

金融庁が米住宅公社債券の保有調査
    http://www.business-i.jp/print/article/200807160053a.nwc


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米住宅金融2社:債券など160兆円超は海外に
毎日新聞 2008年7月22日 
 ポールソン米財務長官は22日、ニューヨークで講演し、経営不振の政府系住宅金融大手2社が発行する債券や保証する住宅ローン担保証券の残高が総額5兆ドル(約530兆円)に達し、そのうち1兆5000億ドル(約160兆円)超を海外の中央銀行や金融機関などが保有していることを明らかにした。
 長官は、国際金融市場の安定には「両社の経営安定が不可欠」とあらためて表明。米政府が両社を支える強い姿勢を国内外の投資家に知らせる重要性を強調した。
 米政府は公的資金の投入を検討しているが、長官は「納税者を保護する」として、損失を出さないよう慎重に行動する考えを示した。「現在の金融混乱を乗り越えるにはさらに時間がかかる」とし、金融機関の経営者にさらなる資本増強を求めた。(共同)
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大手行、5兆6千億円保有=救済策の行方注視−米住宅金融関連債
7月19日15時1分配信 時事通信
 経営不安から株価が暴落した米政府系住宅金融会社の関連債券を、日本の大手銀行が3月末時点で約5兆6千億円保有していることが19日分かった。米当局が公的資金の注入を視野に入れた住宅金融2社の救済策を公表したため影響は軽微との見方が一般的だが、救済策がうまく機能して債券価格が安定的に推移するのか、日本の金融機関は神経をとがらせている。
 米国では連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の2社の救済策が打ち出された。しかし、両社が発行する住宅ローン関連債券が格下げされ、価格が急落するような事態になれば、日本の金融機関も評価損の計上を余儀なくされる恐れがある。 

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国内勢の残高9兆6千億円 米政府住宅金融の関連債券
2007年7月17日 共同通信

 3メガバンクなど国内大手金融機関が、米政府から緊急支援を受ける政府系住宅金融2社などの発行する政府機関債や住宅ローン担保証券を、開示しているだけで約9兆6000億円(3月末時点)保有していることが15日、分かった。
 2社の債券は「暗黙の政府保証」で米国債に準じて信用力が高いとされているが、今後の情勢次第では国内勢の経営に悪影響が出る恐れもある。
 渡辺喜美金融担当相が同日、国内金融機関の保有状況を調査する考えを示したほか、日銀の白川方明総裁も「日本の保有額は欧米に比べて限定的だが、注意深く監視していく」と述べた。
 関連債券を最も多く保有していたのは三菱UFJフィナンシャル・グループで残高は約3兆3000億円。中央三井トラストは7584億円、三井住友フィナンシャルグループも2198億円保有している。
 みずほフィナンシャルグループも政府機関債を約1兆2000億円持っているが、ほとんどが米政府保証の付く連邦政府抵当金庫(ジニーメイ)債で、「リスクはほとんどない」としている。
(共同通信社)
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米経済が金融恐慌に突入・信用収縮で大手証券破綻
(2008-03-31 週刊『前進』06頁(2337号5面1)
http://www.zenshin.org/cgi-bin02/mt4i.cgi?mode=individual&no=310&eid=178

 3月半ば、米大手証券のベアー・スターンズが実質的に経営破綻(はたん)した。米住宅バブル崩壊はついに、アメリカ金融恐慌という段階に至った。同時に、ドル暴落が本格的に始まっている。基軸国である米帝の金融恐慌とドル暴落は、世界金融大恐慌をいよいよ現実化させる。そういう重大情勢に入った。プロレタリア世界革命を達成する時が真にやってきたのだ。階級的労働運動で帝国主義を打倒しよう。7月洞爺湖サミット粉砕へ総決起しよう。
 第1章 信用市場がメルトダウン 優良ローン証券も危機に
 3月半ば、米証券会社で第5位の規模を持つベアー・スターンズが実質的に経営破綻した。ベアーは住宅ローンの証券化業務では業界トップクラスであり、影響を最も受けた。
 3月11日には手元資金が約350億?(約3・5兆円)もあったが、13日にはほぼ底をついた。大手銀行がベアーから融資を一斉に引き揚げるとともに、顧客が預けている資産を一気に引き出したためだ。銀行による貸しはがしと「取り付け」が同時に起こったのだ。
 しかも、ベアーはファニーメイなどの住宅公社が保証をつけた住宅ローン担保証券などを担保にして短期資金を調達していた。米国債を含め優良な証券・債券を担保に短期資金を調達する仕組みで「レポ取引」と言われる。しかし、その優良な住宅ローン担保証券も暴落したものだから(後述)、この資金繰りができなくなった。
 債務担保証券=CDOなどを担保にした手形=コマーシャルペーパーによる短期資金の調達は昨夏に崩壊していたが、より優良な資産を担保にした短期資金の調達もできなくなったのだ。「信用市場のメルトダウン(炉心溶解)」と言われるほど深刻な信用収縮に陥った。この時点でベアーは実質的に経営破綻した。これは金融恐慌そのものだ。97〜98年の日本の金融恐慌と比べても、破綻に至るテンポは早く、破綻の規模も大きい。
 これに対し14日、ニューヨーク連銀が米大手銀行JPモルガン・チェースを通じて、ベアーに緊急融資する計画を発表した。市場に大量の資金供給もした。
 しかし、それでも危機は収まらず、ベアーの取引先の連鎖破綻が起きそうになった。そこで大慌てで16日、JPモルガン・チェースがベアーの買収を発表、ひとまず連鎖破綻を食い止めた。さらにFRB(連邦準備制度理事会)はベアーへの直接融資に踏み切った。
 米金融危機の噴出は昨年8〜9月、年末に続き3回目。ついに大手証券の経営破綻に至った。いまやどれほど優良な住宅ローン担保証券を持っていても、その価格暴落と資金繰り難から、あっというまに経営破綻する。
 ベアーだけでなく米大手金融機関すべてが同じ状況だ。現にリーマン・ブラザーズは破綻の恐れから、18日には株価が一時48%安まで売られた。「第2、第3のベアー」は必至である。アメリカ金融恐慌が音をたてて進み始めたのだ。
 第1節 プライムでも差し押さえ増
 ベアー・スターンズ破綻の背景には、3つの重大事態がある。第1は、住宅ローン返済の焦げつきと住宅の差し押さえが、サブプライムローン(低所得者向け高金利型住宅ローン)だけでなく、プライム(最優良)ローンにも広がっている。昨年1年間の差し押さえは前年比79%増の220万件にもなった。
 10〜12月期の差し押さえの内訳をみると、サブプライム54%に対しプライムが38%にも上った。米住宅ローンの総額は約10兆?(約1千兆円)。プライムローンを含めて、これらが次々に焦げついていく局面が始まっているのだ。
 第2に、この影響で3月に入って、サブプライム関連の住宅ローン担保証券だけでなく、優良とされてきた住宅ローン担保証券も価格が暴落し始めた。住宅公社ファニーメイ保証の住宅ローン担保証券は、実質的な政府保証とみなされて信用が厚かったが、それすらも投げ売りされるまでになった。元本の40%にまで下落する例も出てきている。単なる「サブプライム危機」ではなくなったのだ。
 サブプライムローン残高は1・5兆?(約150兆円)で、うち約8割が証券化されている。しかし、優良なローンを含めると住宅ローン10兆?のうち7・2兆?(約720兆円)もが証券化されている。このとてつもない額の証券化商品全体が暴落する過程が始まったのだ。
 第2節 ファンド勢が優良証券売り
 第3に、大手金融機関の貸し渋りが、優良な住宅ローン担保証券の暴落に拍車をかけている。
 大手金融機関は、保有する住宅ローン担保証券、あるいはその再証券化商品(CDO)の価値の暴落により、巨額の評価損をこうむっている。米大手銀行・証券・保険の計10社のサブプライム関連損失はすでに1千億?(約10兆円)を超えた。損失を処理しても新しい不良証券が次々に生まれている。企業向け融資でも損失が激増中だ。IMF(国際通貨基金)の試算では、金融危機の深刻化による関連損失は約8千億?(約80兆円)に拡大する。

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石田ふたみ