『日々の映像』

2008年07月07日(月)  新型インフルエンザ情報

 6月22日「未知の脅威 新型インフルエンザ」と題して記述した。情報に対してどう理解するかは人によって異なる。ここでは情報を提供するだけで、どう受け止めるかまでをここに記述するものでない。

 今日は2008年6月20日付けの「与党鳥由来新型インフルエンザ対策に関するプロジェクトチーム」の発行した「鳥由来新型インフルエンザ対策の推進について」(A-4/10ページ)の冒頭部分の引用と、新聞情報を整理したい。

 鳥由来新型インフルエンザ対策の冒頭部分に次のように書いてある。

「WHO〔世界保健機構〕の発表によれば、5月28日現在、世界のおける鳥インフルエンザの感染者は382人となっており、そのうち、死亡者は241人に達している。そのうち、インドネネシアでは感染者は133人、中国では30名であい、東南アジアを中心に感染国は世界15ヵ国に拡大し、今後ともその発生は収束しないと見込まれている。
 このようた状況の下、今後鳥インフルエンザウイルスの変異のよる人から人へ感染する新型インフルエンザウイルスの発生は、もはや時間の問題であると言われ、予断を許さない状況が続いている。
 この鳥インフルエンザが、わが国で発生した場合には、感染者は3200万人、また死亡者は17万人から64万人のも達するおそれがあるとされている。我が国の社会経済の損失も、非常に大きなものになる可能性が否定できない。
 鳥由来新型インフルエンザから、国民の生命と健康を守り、我が国社会の混乱を回避するためには、まさに国家の危機管理の問題として、政治の責任において国及び地方公共団体が総力を挙げて対処することが求められる。
 このような認識の下、今年1月、「与党鳥由来新型インフルエンザ対策に関するプロジェクトチーム」を開催し、これまで14回にわたり議論を重ねてきた。この半年間における議論を踏まえ、早急に以下の対策に取り組むべきことを提言する。」
〔提言の目次のみ書き込みします〕


新型インフル、医師らに8月からワクチン接種を実施
                    2008年7月5日 読売新聞
新型インフルエンザ:流行前ワクチン臨床試験、来月から六千人に
                    毎日新聞 2008年7月5日 東京朝刊
新型インフルの事前ワクチン 8月にも臨床研究
                    2008年7月6日 日経
新型インフル感染3分の1に 休校や鉄道運休などの対策で
                    2008年7月4日 日経
新型インフル対策が始動 テロ並み危機管理提言…実現どこまで
                    2008年6月30日 読売新聞
新型インフルで試算、2週間で全国36万人に感染拡大 感染研
                    2008年6月18日 日経
新型インフルエンザの大流行に備え、自宅に食料
                    2008年5月14日 読売新聞
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新型インフル、医師らに8月からワクチン接種を実施
             2008年7月5日 読売新聞
 新型インフルエンザ対策を検討している厚生労働省の研究班(研究代表者=庵原俊昭・国立病院機構三重病院長)は4日、医師や検疫所職員ら6400人を対象にした大流行前ワクチンの接種を、8月から実施すると公表した。
 ワクチンは、中国やインドネシアで人に感染した鳥インフルエンザウイルスをもとに作製。安全性と有効性が確認されれば、来年度は医師のほか、警察、消防職員、電力、ガス会社員など社会機能の維持に従事する1000万人に事前接種する方針だ。
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新型インフルエンザ:流行前ワクチン臨床試験、来月から六千人に
毎日新聞 2008年7月5日 東京朝刊
 新型インフルエンザ発生に備えたプレパンデミック(大流行前)ワクチンの臨床試験について、厚生労働省は4日、医師や検疫所職員などを対象に6400人分の接種を8月から実施すると公表した。
 鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)から製造したワクチン2種類の安全性と有効性を確認することが目的。確認できれば来年度にも医師や警察などの「社会機能維持者」1000万人に事前接種する方針。【関東晋慈】
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新型インフルの事前ワクチン 8月にも臨床研究
                         2008年7月6日 日経
 新型インフルエンザ発生に備え、政府が備蓄しているワクチンの有効性や安全性を検討する厚生労働省研究班(研究代表者=庵原俊昭・国立病院機構三重病院院長)は4日、医師など約6400人が対象の事前接種の臨床研究を8月にも始める計画を明らかにした。
 事前接種の臨床研究で使うのは鳥インフルエンザウイルスをもとに製造された「プレパンデミック(大流行前)ワクチン」で、政府が2000万人分を備蓄済み。今年度の臨床研究は、新型インフルエンザの発生前に接種することに効果が見込めるかどうかや、安全性などを検証するのが目的。感染症指定医療機関や検疫所などの職員から希望者を募って実施する。
 参加医療機関の数について庵原院長は同日、「50―100カ所の間で調整中」と説明。接種被験者は「(現時点で)4000―5000人は集まっているだろう」と話した
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新型インフル感染3分の1に 休校や鉄道運休などの対策で
                        2008年7月4日 日経
 三菱総合研究所と千葉大学、国立感染症研究所などは3日、新型インフルエンザの発生時に「学校閉鎖」「鉄道運休」「流行前のワクチン接種」をすべて実施した場合、感染者数は何もしなかった場合の約3分の1になるという予測結果を発表した。人の移動データなどをもとにシミュレーション(模擬実験)した。3対策を組み合わせて対応すれば、被害を大幅に軽減できる可能性がわかったという。
 文部科学省の助成による研究成果。新型インフルエンザ発生時の国や自治体による対策作りなどに役立ちそうだ。
 推計に使ったのは、JR中央線の沿線にある5つの都市(八王子市・立川市・吉祥寺駅周辺・新宿駅周辺・東京駅周辺)をモデルにした。総人口は8800人。
 東京駅周辺で最初に10人の患者が発生したと仮定。何も対策をしなかった場合には流行の第一波は6週間目にピークを迎え、その後は終息に向かう。この間に34%が感染した。(07:00)


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新型インフル対策が始動 テロ並み危機管理提言…実現どこまで
                      2008年6月30日 読売新聞
 自民・公明の与党作業部会(PT)が、ワクチン供給体制の強化などを求めた「新型インフルエンザ対策に関する提言」の一部は、27日決まった「経済財政改革の基本方針(骨太の方針2008)」にも盛り込まれ、具体化に向け動き出す。
 新型インフル対策を危機管理問題と位置づけた提言は、省庁の壁を超えた取り組みの重要性を強調したが、地方の医療体制の確保までは踏み込めず、課題も多い。(科学部 本間雅江、高田真之)
政治主導
 「新型インフルエンザは確実にアジアから始まる。提言を実行したら、世界でもトップの体制になるはず」
 提言を作成したPT座長の川崎二郎・元厚生労働相は20日の最終会合後、報道陣にこう訴えた。
 新型インフルエンザ発生の引き金とされる鳥インフルエンザは、インドネシアなどアジアを中心に猛威をふるい、犠牲者は243人(19日現在)に上る。切迫性が高まる中、遅々として進まない官僚中心の対策作りに業を煮やした形で、有志国会議員がPTを結成、1月から議論を重ねてきた。
 提言は60項目、海外発生時に駐在邦人帰国のための自衛隊の運用、海上保安庁による密入国の防止策など多岐にわたる。国の基本的対応を示した「行動計画」(2005年策定)、それに基づく「指針」(07年策定)と重複する部分もあるが、省庁や医療機関などの責務を明確に記載し、食料備蓄など国民がとるべき行動も改めて載せて注意を喚起した。
 テロや動乱並みの危機管理の必要性を強調したが、PTが予算化させようと数値目標を掲げたのは、水際対策の柱となる「(大流行後)ワクチン製造の期間短縮」と「抗ウイルス薬の備蓄増加」の2点だけ。その他の施策は具体的内容に乏しく、予算化は不透明な情勢だ。厚労省幹部も「緊縮財政の中、実行性は疑問だ」と危ぶむ。
積み残しも
 むしろ、備蓄ワクチンをだれから優先的に接種するかなど、当初はPTが決めるはずだった複数の課題を先送りした形で、現場対策の実施主体と位置付けられる都道府県からは不満が上がる。
 指針によると、知事は感染拡大を抑えるため、住民に集会の自粛や移動制限などを要請できるが、これを強制する法的な裏付けはない。このため複数の自治体が改善を求めたが、憲法を侵害しかねない要求に、提言は「法整備の必要性を検討する」にとどまった。「権限がないまま流行に臨まねばならない」とある自治体担当者は困惑する。
 患者と最前線で向きあう医療機関も同様だ。都道府県は医療機関に新型インフルエンザ患者専用の窓口となる「発熱外来」を準備することになっているが、設置に名乗りを上げる病院は少ない。ある大学病院副院長は「患者が殺到した時に院内感染を防ぐための支援をしてくれるのか、具体的な記載がない」とし、発熱外来などの設置に二の足を踏む。
 押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は「日本の対策は、水際での侵入阻止に偏り過ぎている。流行拡大の抑制を重視する米国のように、移動制限や学校閉鎖や、抗ウイルス薬の予防投与などを組み合わせた対策が必要だ」と語る。
与党PTによる主な提言
抗インフルエンザ薬の備蓄量を国民の40〜50%分まで引き上げる
細胞培養法などの研究開発を推進し、半年で国民全員分の流行後ワクチンを製造する
新型インフルエンザ発生時の在外邦人の帰国に向けた自衛隊機などの活用
大規模災害時同様に都道府県知事に権限を付与する法的整備の必要性を検討
インフルエンザウイルス研究センターの設置
社会機能維持者や感染率が高い地域、若年者を優先したワクチン接種
ワクチン「発生半年内に国民全員分」
海外から新技術 製造拠点必要に

 PTが、水際対策の柱として挙げたのは〈1〉発生後に作る新型ワクチンを半年以内に国民全員分製造〈2〉タミフルなどの抗インフルエンザ薬の備蓄を現在の国民23%分から40〜50%まで増やす――の2点。しかし、クリアすべき課題も多い。
 現在の卵を利用してワクチンを製造する方法では、国民全員分を確保するのに1年半以上かかる。そのため、半年での供給を実現するには、海外の製薬企業などが持つ新技術(細胞培養法)を導入しなくてはならない。海外では、米国が複数の製薬会社に研究費を出して、この方法による新型ワクチンの治験を委託。英国やオーストリアでも、細胞培養ワクチンを優先的に供給してもらう契約を企業と結んでいる。
 提言では、どこから技術導入をするか明記していないが、PTメンバーの坂口力元厚労相は「いつ起きてもおかしくない事態に備えた緊急手段」と海外からの導入は不可欠との姿勢だ。
 しかし、ワクチン産業に外資が参入すれば、保護されてきた国内の小規模なワクチン産業が打撃を受けるとの批判もある。
 国のワクチン産業ビジョン推進委員会座長を務めた富山県衛生研究所の倉田毅所長は「安全保障の観点から国内企業が製造していたワクチンが自由競争になれば、安定供給ができなくなる恐れがある」と懸念する。
 また、新たなワクチン供給のため、製造拠点の整備が必要になる。細胞培養法は、サルや犬、昆虫、人などの細胞を使って、ウイルス(遺伝子を含む)を増やし、不活性化して感染力をなくし製品化する方法だ。国民全員分の生産体制を構築するまでは、早くても3〜5年はかかる。この間研究・開発や工場建設に数百億〜1000億円かかるとされる予算をどうするか、それ以前に新型インフルが発生した場合、どう対処するかも課題となる。一方で、細胞培養技術は「安全性が確認されていない途上の技術」と指摘する声もある。
 抗インフルエンザ薬についても、効率よく患者らに行き渡る方策が不十分とされ、具体的な配備計画を整える必要がある。
 新型インフルエンザ 国の行動計画によると、国内で流行した場合、国民の25%の3200万人が感染し、入院患者数は1日最大約10万人に上ると想定。死亡者も17万〜64万人と予想している。
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新型インフルで試算、2週間で全国36万人に感染拡大 感染研
                    2008年6月18日 日経
 国立感染症研究所は、東京在住の1人の日本人が海外で新型インフルエンザにかかり帰国すると、わずか2週間で感染が北海道から沖縄まで全国に広がり、感染者数は約36万人に達するとの試算結果をまとめた。首都圏や京阪神、名古屋市近郊など8地域の人の移動パターンをもとにコンピューターでシミュレーションした。発生時、国や自治体は外出自粛や交通制限といった迅速な対応を迫られそうだ。
 新型インフルエンザは人がかかったことのないタイプのインフルエンザで、致死率は数%とされる。大流行すると日本でも4人に1人が感染するとの政府試算があるが、米国データを参考に算出したものだ。(07:00)
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新型インフルエンザの大流行に備え、自宅に食料
2008年5月14日 読売新聞
 新型インフルエンザが発生し、世界的に大流行したら――。食品の輸入が止まり、国内でも流通が滞るかもしれない。買い物に出かけることも難しくなり、食料確保が大きな課題になる。災害時の食事を研究している甲南女子大名誉教授の奥田和子さんは、「今から少しずつ備蓄に取り組むことが大切」と提案する。
 これまでも震災に備えるために非常食の必要性が叫ばれてきた。新型インフルエンザの場合、流行は広域で2か月間続くとみられている。しっかりした準備が欠かせない。
 もっとも、「何をどれだけ備蓄したらいいか分からない」という人は少なくない。奥田さんは「普段と同じように∧主食・おかず・デザート・水∨の組み合わせを基本に考えて」と話す。
 主食には、米、切りもち、乾めん類のほか、ホットケーキミックス粉も活用できる。おかずの候補は、魚の缶詰からシチューのレトルトまでたくさんある。
 阪神大震災など過去の事例では、野菜不足で体調を崩したり便秘で悩んだりした被災者も多かった。「最近は野菜の煮物の缶詰もある。栄養のバランスに気をつけたい」
 デザートは、フルーツ缶やチョコレート、アメ玉など、ちょっとしたものでいい。奥田さんは備蓄品だけの生活を2週間試したことがあるが、「アメ玉が一つでも、心のやすらぎになった」という。
 新型インフルエンザの大流行で電気や水道、ガスが止まる可能性もある。そうなれば冷蔵庫も使えなくなる。湯を沸かせるようカセットコンロとボンベを準備しておくことが必要だ。また、家族が感染したときのことも考え、病人でも食べやすいレトルトのおかゆや、ベビーフード、スポーツ飲料などを用意しておきたい。
 備蓄の量について、奥田さんは「まず3日分から始め、徐々に長くしていこう」と提案する。厚生労働省は最低でも2週間分の備蓄を呼びかけている。作業には家族全員が参加し、その内容や分量を全員で把握しておくことも大切だ。
 食品には賞味期限がある。備蓄したものを無駄にしないよう、しっかり管理したい。食品それぞれに大きく賞味期限を書いたラベルを張っておくと分かりやすい。期限の迫ったものから、日常の食事の一品として食べていけば、備蓄した食料が無駄にならない。
 奥田さんが、阪神大震災の被災家庭を調べたところ、食料や飲料水を備蓄していた人は少なかった。その後も備蓄の習慣はあまり広がっていない。「新型インフルエンザが大流行した場合、他の地域からの援助は期待できない。各家庭の意識を高めることが不可欠になる」と話している。
奥田さんのアドバイス

〈1〉日ごろ、食べ慣れたものを選ぶ
〈2〉家族それぞれの好みを配慮する
〈3〉缶詰、瓶詰、レトルト食品、冷凍食品(停電に注意)、乾物など種類は多様に。同じものを続けて食べるのはつらい(調味料やジャム、梅干しも役に立つ)
〈4〉大雑把な備蓄食料のリストを作る。賞味期限が半年以上あるものを選ぶと管理しやすい
 新型インフルエンザ 鳥類などのインフルエンザウイルスが変異し、人から人へ感染しやすくなったもの。いつ発生してもおかしくないと言われ、特に強毒型ウイルス(H5N1型)の変異が心配されている。人には免疫がないため、厚生労働省は、もし全国に流行すると、医療機関を受診するのは最大2500万人で、64万人が死亡すると推計している。


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石田ふたみ