『日々の映像』

2008年07月06日(日)  また巨大詐欺事件


 エビ養殖事業への投資を装った「ワールドオーシャンファーム」による巨額詐欺事件は集めたお金が850億円というからここに書き留めておきたい。2005年春から昨年5月ごろまでの約2年間に、約3万5000人から約848億5000万円入金も集めたという。
 
 被害者の多くは、中高年の女性で老後の蓄えや今後の生活費の足しにしようと、家族に内緒で出資していた人が多いという。いつも繰り返されているが「甘いもうけ話はない」「うまい話にはのらない」〔産経新聞の社説から〕という自覚が必要だ。日本人の金融音痴は実に多いといわざるを得ない。

 お金の健康セミナーで補完的な話をすることがあったが、金融の常識を持っていない人が実に多いのである。サバイバル研究会では、貨幣の情報をかなり集録した。

エビ養殖詐欺、国内口座の残高ほぼゼロ…750億配当などに
                    2008年7月4日03時07分 読売新聞
エビ投資詐欺、「平成電電」を模倣
                    2008年7月3日15時6分 朝日新聞
【主張】エビ養殖詐欺 うまい話は疑ってかかれ
                    2008.7.4 03:02  産経新聞

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エビ養殖詐欺、国内口座の残高ほぼゼロ…750億配当などに
2008年7月4日03時07分 読売新聞
 エビ養殖事業への投資を装った「ワールドオーシャンファーム」による巨額詐欺事件で、同社会長の黒岩勇容疑者(59)(組織犯罪処罰法違反容疑などで逮捕)らが国内の金融機関に開設した少なくとも計23口座には、預金がほとんど残っていないことが分かった。

 同社が集めた約850億円のうち約750億円は、出資者を信用させるため、配当などに回されていたことも判明。差額の約100億円が“粗利”とみられるが、黒岩容疑者は「90億円は海外送金した」と周囲に話しており、警視庁では、経費以外の大半は海外に隠匿されているとみて、流出先の特定を急いでいる。
 同庁幹部によると、同社が出資者からの集金用に使っていた金融機関の口座は九つあり、2005年春から昨年5月ごろまでの約2年間に、約3万5000人から約848億5000万円入金があった。
 資金は入金後すぐに9口座以外の別の口座に移されていたが、別口座はゆうちょ銀行や都市銀行などに少なくとも14口座が確認された。
 名義は同社や関連会社のほか、黒岩容疑者や黒岩容疑者の長男の厚宏容疑者(28)のものもあった。
 同庁がこの14口座を分析したところ、約744億円は出資者への配当支払いや元本の返金に使われており、出金の時期は同社が資金集めを始めた05年春から約1年半の間に集中していたという。
 集めた金との差額は約100億円に上るが、現在、集金用も含めた計23口座には、ほとんど預金は残っていないという。
 同庁では、配当などが滞り始めた06年末以降に集められた資金が、米国に送金された48億円など、海外に移されたとみている。
(2008年7月4日03時07分 読売新聞)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エビ投資詐欺、「平成電電」を模倣
2008年7月3日15時6分 朝日新聞
 フィリピンでのエビ養殖事業への投資話をかたった「ワールドオーシャンファーム」(WOF、破産)による組織的詐欺事件で、同社は、07年に社長らが詐欺容疑で逮捕された通信ベンチャー「平成電電」の手法を模倣したとみられることが警視庁などの合同捜査本部の調べでわかった。
 商法で規定されている「匿名組合」を受け皿に資金を集める方法。不特定多数からの預かり金を禁じた出資法違反にあたるとして摘発されるのを免れるため、匿名組合方式を悪用したと捜査本部はみている。
 複数のWOF幹部はこれまでの任意の事情聴取に「匿名組合方式による資金集めなので違法ではないと思った」と説明してきたという。
 調べでは、会長の黒岩勇容疑者(59)=組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕=らは07年までの約2年間、「フィリピンに東京ドーム450個分のエビ養殖場がある」と宣伝し、「匿名組合員」として出資者を募集。約3万5千人から約849億円を集めたとされる。
 WOFの匿名組合契約書によると、黒岩容疑者らは「ブラックタイガー(エビ)の養殖」「不動産売買」「その他利益率の高い投資」を同社の事業と説明。「1口10万円を出資すれば、10日ごとに5556円を支払い、年間の予想分配金は元本の100%」とうたっていた。
 商法上の匿名組合は、ベンチャー企業の育成などに活用され、投資ファンドの形態としても使われる。事業者の事業に組合員が出資し、利益と損失を分配する仕組み。同社の契約書でも「天変地異や経済状況などで業績に変化があったときは、予想分配金が増減することがある。この場合、元金の一部が返らないこともある」と記載していた。
 黒岩容疑者らは全国の高級ホテルなどで開いた出資者向けの説明会で、「平成電電も使っている匿名組合なので出資法に違反しない」とPRしていた。
 黒岩容疑者は99年に設立した「アイエーエス(IAS)プロデュース」で、健康食品を一括購入すると助成(配当)金がもらえるとうたい、約2万人から約400億円を集金。配当を滞らせ、02年、会員らから詐欺や出資法違反容疑で広島県警などに告訴されたことがある。この時はフィリピンに逃亡し、結局事件化されなかった。
 捜査本部は、こうした経験をふまえた黒岩容疑者らが、摘発逃れの意図とともに、急成長企業だった平成電電の名前をあげることで出資者を安心させる狙いがあったとみている。
    ◇
 平成電電 「空いているNTTの電話回線を借り、割安の固定電話サービスを行う」とうたって02年設立。関連会社が運営する匿名組合が金集めの受け皿となり、約1万9千人から約487億円を集めたが、06年6月破産手続きが開始された。関連会社が通信機器を購入し、平成電電へのリース料から配当金を払うと出資者には説明されたが、途中から機器は購入されていなかった。警視庁は07年3月、虚偽の説明で金を集めたとして元社長らを詐欺容疑で逮捕。現在東京地裁で公判中。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【主張】エビ養殖詐欺 うまい話は疑ってかかれ
2008.7.4 03:02  産経新聞
 また、巨額詐欺事件が警察の強制捜査で明るみに出た。今度はエビの養殖事業と銘打って、全国から投資資金を集めていた。被害総額は約850億円にものぼる。典型的なマルチ商法だ。
 警視庁をはじめ関係捜査機関は、事件の早期全容解明に総力を挙げるとともに、犯罪収益金の回収に努めてほしい。この事件では対策弁護団が結成されており、被害にあった人は積極的に弁護団や警察に相談することだ。
 警察当局は組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で投資会社「ワールドオーシャンファーム」(WOF)の黒岩勇会長ら17人を逮捕し、本格捜査に入った。このような組織的詐欺事件の捜査は、被害拡大防止の面からも短期捜査が重要だ。捜査当局には急ピッチでの実態解明を望みたい。
 WOFは、フィリピンでエビ(ブラックタイガー)養殖事業に出資すれば、「1年で元本の2倍になる」と、全国約3万5000人から巨額の資金を詐取していたとみられ、わずか2年で850億円もかき集める「巨大詐欺集団」を結成していた。
 これだけ短期間に巨額資金を詐取した悪質商法事件もあまり例がない。黒岩容疑者らが、いかに周到な準備をし、投資会員集めに奔走していたかがうかがえる。
 警察庁によると、同様な事件での被害額の多さは、過去6番目にあたり、捜査が進めば被害額はさらに増える可能性もある。徹底的に追及し、事件の全体像に迫ることを期待したい。
 さらに黒岩容疑者らは、犯罪で得た資金を隠匿(いんとく)するマネーロンダリング(資金洗浄)のため、海外の銀行口座に送金していた。
 捜査当局や対策弁護団によると、黒岩容疑者は、米国の口座に48億円を隠したほか、香港にも26億円を送金したという。米国の口座は米連邦捜査局(FBI)によって凍結された。
 資金の海外流出先を特定するためにも、外国の捜査機関と緊密な連携、協力態勢を築くことも今後の喫緊の課題だろう。犯罪で得た資金とわかれば、捜査当局が回収して被害者に分配できる。
 被害者の多くは、中高年の女性で老後の蓄えや今後の生活費の足しにしようと、家族に内緒で出資していた人が多い。弁護団も指摘するように、「甘いもうけ話はない」「うまい話にはのらない」という自覚が必要だ。




 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ