『日々の映像』

2008年07月05日(土)  ウナギ産地偽装 悪質極まりない詐欺だ

消費者をあざむく食品偽装が頻発している。魚秀から神港魚類に256トン(約205万匹)が販売されたという。取り扱った量は多く、おおよそ205万人が中国産のうなぎを日本産と思って食べたことになる。魚秀は中国産を国産と偽って高値で販売したことで約3億円の利ざやを稼いだとされている。これだけの利益があるから、国産の偽装作業に1億円もの手数料を支払うことが出来るのだ。

中国産ウナギの産地偽装は警察が一斉捜索に入り、事件に発展した。容疑は不正競争防止法違反(虚偽表示)だが、手口が悪質極まりなく、取り扱った量は多い。これは消費者を食い物にした詐欺だ。「やり得」(偽装が得になる)を許さない法整備が絶対に必要である。詳しくは以下の報道に送る。


ウナギ偽装で報酬1億円 魚秀側、詰め替え業者に
2008年7月4日  朝日新聞
ウナギ産地偽装、「魚秀」営業所長がPCで証明書偽造
2008年7月4日 読売新聞
ウナギ産地偽装 悪質極まりない詐欺だ 
2008年7月4日中日新聞【社説】
ウナギ産地偽装で「口止め料1000万円」、マルハ子会社に
2008年6月26日読売新聞
ウナギ産地偽装で、厳罰化の波!
超悪質! 産地も製造元もデッチあげ
2008年 07月 04日 日刊のモバイル記事

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ウナギ偽装で報酬1億円 魚秀側、詰め替え業者に
2008年7月4日1時6分  朝日新聞

 中国産ウナギの偽装事件で、ウナギ輸入販売会社「魚秀(うおひで)」(大阪市)側から、箱の詰め替え作業などの偽装行為の実行役とされる高松市の水産会社元専務に、報酬として約1億円が支払われていたことが、兵庫、徳島両県警の合同捜査本部などの調べなどでわかった。
 調べなどによると、魚秀の中谷彰宏社長が取引関係にある高知県内の水産加工会社取締役を通じて、高松市の水産会社元専務らに偽装工作を依頼。元専務らは2〜3月、高松市内の倉庫で国産用の箱への詰め替え作業などをし、魚秀の非常勤役員でもある取締役から約1億円を受け取った。2人とも現金の授受を認めているという。
 魚秀は中国産を国産と偽って高値で販売したことで約3億円の利ざやをかせいだとされ、合同捜査本部はこの利益から報酬が工面された疑いがあるとみて調べている。
 同本部は3日、7都府県計24カ所を家宅捜索。請求書など計905品目1295点を押収した。魚秀の中谷社長から神港魚類の担当課長に提供された1千万円については、神港魚類から任意提出を受けた。同本部は3日、担当課長から任意で事情を聴いたが、課長は偽装計画への関与を改めて否定したという。
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ウナギ産地偽装、「魚秀」営業所長がPCで証明書偽造
2008年7月4日 読売新聞
 中国産ウナギかば焼きの産地偽装事件で、ウナギ販売業「魚秀(うおひで)」(大阪市)の福岡営業所長(41)が、「愛知県三河一色産」などと記された産地証明書をパソコンで偽造していたことがわかった。水産物卸売業「神港魚類」(神戸市)の担当課長(40)は、兵庫、徳島両県警の合同捜査本部の調べに、関与を否定しているが、魚秀側は営業所長と課長が偽装を相談した際、課長が「一色産」への偽装を提案したとしており、合同捜査本部は課長が当初から偽造を知っていたとみて追及する。
 産地証明書には、製造者「一色フード」、原料産地「三河一色地区」などと記載され、架空会社だった一色フードの押印もある。
 捜査関係者によると、神港魚類には3月中旬、10枚以上が一括して宅配便で届けられた。この証明書について、魚秀側の関係者が農林水産省の調査に対し、営業所長が偽造したことを認めたという。
 神港魚類によると、課長は1月、上司の役員に「証明書は必ず手に入る」と強調して取引を起案。社内承認後、「商社に証明書の入手を依頼した」とする出張報告書を役員に提出した。
 ところが、6月中旬の農水省の調査で、課長が証明書の送付状を廃棄していたことが判明。証明書の依頼についても、商社は「知らない」としている。
 合同捜査本部は3日、7都府県の計24か所を不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で捜索し、経理書類など計約1300点を押収した。
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ウナギ産地偽装 悪質極まりない詐欺だ 
2008年7月4日中日新聞【社説】
中国産ウナギの産地偽装は警察が一斉捜索に入り、事件に発展した。容疑は不正競争防止法違反(虚偽表示)だが、手口が悪質極まりなく、扱った量は多い。これは消費者を食い物にした詐欺だ。
 万葉歌人の大伴家持が「夏やせによしというものぞ鰻(うなぎ)とり食(め)せ」と詠んだように、夏ばて防止とくればウナギのかば焼きだ。しかし、その産地表示が信用できないとなれば、消費者は買い求める気になるだろうか。
 土用の丑(うし)の日を前に購買意欲を失わせるような事件が起きた。徳島県が拠点の水産物輸出入販売会社「魚秀」(大阪市)とマルハニチロホールディングス子会社「神港魚類」(神戸市)が中国産ウナギを国産と偽装した疑いで兵庫、徳島両県警の捜索を受けた。
 原産地は中国なのに「愛知県三河一色産」と偽り、製造者を「愛知県岡崎市一色町」が所在地の架空会社に仕立てていた。
 ウナギの産地としては愛知県幡豆(はず)郡一色町が有名だ。卸売市場では国産は中国産の二−三倍の値で取引されるという。一色ブランドと混同させ、利益を得ようとした狙いがあったのではないか。
 流通経路の設定も手が込んでいる。実際は二社間で取引したのに、東京の商社を介在させて代金を授受したようにみせていた。
 魚秀から神港魚類に二百五十六トン(約二百五万匹)が販売されたという。取り扱った量は多く、どれほどの人が口にしたのか。
 魚秀社長は「中国製ギョーザ事件で売り上げが不振となり、在庫をさばきたかった」と釈明したようだが、手口や量からは場当たり的な行為とはとても思えない。
 農林水産省が調査に動いた直後、魚秀社長が神港魚類社員に現金一千万円を渡したという。「口止め料」という話もでている。計画的に偽装し、隠ぺい工作まで試みていたというしかない。
 最大の被害者は消費者だ。食の安全からブランド品を求める心理につけこまれ、高い買い物をさせられた。使用禁止の抗菌剤まで検出されている。捜査当局は徹底解明してほしい。
 ミートホープ、赤福餅(もち)、船場吉兆、飛騨牛と、食をめぐる不正は後を絶たない。多くは内部告発から発覚しており、隠し通せるものではないことを示している。
 不正が露見すれば、営業自粛どころか、廃業に追い込まれることさえある。業者は食品表示を軽くみてはならない。偽装には、得られる利益と見合わない罰が待つ。

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ウナギ産地偽装で「口止め料1000万円」、マルハ子会社に
2008年6月26日03時04分 読売新聞
 ウナギ販売業「魚秀」(大阪市)と水産業界最大手「マルハニチロホールディングス」の100%子会社の水産物卸業「神港魚類」(神戸市)が中国産ウナギのかば焼きを国産の「一色産ウナギ」と偽って販売していた問題で、魚秀が先月、神港魚類の担当者に現金1000万円を渡していたことが分かった。

 担当者は農水省などに対し「不正に対する口止め料と受け止めた」と説明している。一方、偽装によって得た利益は少なくとも5億円に上ることも判明した。
 徳島・兵庫両県警では不正競争防止法違反の疑いもあるとして関係者から任意で事情を聞いている。
 神港魚類の担当課長(40)が魚秀の中谷彰宏社長から現金を受け取ったのは先月下旬。日本農林規格(JAS)法に基づき両社に改善指示をした農水省によると、魚秀側は同省に対し「不正は今年2月ごろ神港魚類と相談して始めた。
 現金は(一緒に偽装の手法を考えてくれた)謝礼の意味合いで渡した」と説明。これに対し、神港魚類側は「不正は農水省の調査を受けるまで知らなかった。現金は口止め料だと思う」と話している。
 一方、偽装の動機について、魚秀は「今年1月に発覚した中国製冷凍ギョーザの中毒事件の後、中国産品が売れなくなったため」と説明。
 ギョーザ事件後、中国産ウナギのかば焼きは価格が急落し、6月現在、1キロ当たり1800円〜1900円で、国産の4000〜5000円との価格差が広がっている。魚秀は偽装ウナギで今年3〜4月に約7億円を売り上げているが、同省では中国産として販売していれば2億円程度だったとみている。
 一色産ウナギで有名な愛知県一色町は、全国のウナギの約4分の1を生産している。市町村別では全国1位の生産高を誇り、太平洋に面している。今回偽装の舞台に使われた架空の製造会社の所在地は同県岡崎市にある「一色町一色」で、約30キロ離れた内陸部にあり、字名の一色は実在しなかった。
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ウナギ産地偽装で、厳罰化の波!
超悪質! 産地も製造元もデッチあげ
2008年 07月 04日 日刊のモバイル記事
ウナギ産地偽装問題で一斉捜索! 7月3日、兵庫、徳島両県警の合同捜査本部は、水産物販売会社・魚秀と卸会社・神港魚類の関係先26カ所を、家宅捜索。容疑は、不正競争防止法違反の虚偽表示です。調べによると、魚秀は4〜6月、中国産ウナギの蒲焼を国産と偽装した上で、卸会社3社に3.64トンを大量販売。このうち2社の取引は、神港魚類が仲介していました。おまけに、架空の会社を製造元にデッチあげるなど、手口は超悪質! 捜査本部は、より罪の重い詐欺容疑も視野に入れています。事情聴取を受けた魚秀の社長は、観念したのかあっさり偽装を告白。一方、社長から口止め料として?現金1000万円を受け取った神港魚類の担当課長は、関与を否定。「(社長らが)自分に偽装責任をなすりつけるシナリオを作った!」と主張しているようですが、真相はいかに?
「やり得」を許さない仕組みが不可欠!
さて、今年も昨年同様、「偽」の流れが引き続いているようですが、巷では「食品偽装に対する罰が手ぬるい!」との声が台頭。食品表示を取り締まる法律の1つ、JAS法(日本農林規格法)の厳罰化を求める機運が高まっています。一方、今回の事件の容疑=不正競争防止法違反の場合、虚偽表示罪の最高刑(個人)は、懲役5年または罰金500万円。これが詐欺罪となった場合は、2倍の懲役10年! ただ、相手をだます「故意」と、偽装で得た「不法の利益」の存在が必要なため、立証が困難しそう……。いずれにしても、消費者をあざむく食品偽装がこれだけ頻発している以上、「やり得」(偽装が得になる)を許さない法整備が必要!と言えそうです。
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石田ふたみ