『日々の映像』

2008年05月02日(金)  食料争奪戦・北朝鮮、深刻な食糧危機に

 ピーターソン国際経済研究所は30 日、北朝鮮が1990年代後半に終息した飢饉(ききん)以来の深刻な食糧危機に向かっているとの報告書を発表した。それによると、北朝鮮の食糧価格は1年前の3倍近くに高騰。そのペースは、国内のインフレ率や国際的な食糧価格の上昇率をはるかに上回っており、飢えに苦しむ人が増加しているという。

 北朝鮮は「90年代の飢饉では、北朝鮮人口の約5%に当たる最大100万人が死亡した」(産経新聞から)という空前の飢饉を経験している。北朝鮮の昨年の穀物生産量は300万トンで、今年10月までの穀物不足量は166万トンに達すると、自由アジア放送(RFA)が4月26日に伝えている。

 食糧事情が良好とされる平壌でも今月から6か月間にわたり配給が中断されるなど、5月以降に大量の餓死者が発生するとの懸念が出ている。これでは1990年と同じ餓死者が出るのではないだろうか。餓死者を大量に出すようであれば、もはや国家とはいえないと思う。

北朝鮮、深刻な食糧危機に 米研究所報告 
2008.5.1 09:30 産経新聞
北朝鮮の食糧難現実化の兆し、中国の輸出制限が影響
2008年4月22日 YONHAP
食糧難で北朝鮮の人権状況が悪化、国連特別報告者
                     2008/04/10ソウル聯合
北朝鮮穀物生産が昨年300万トン、166万トン不足
                        2008/03/26 ソウル聯合

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北朝鮮、深刻な食糧危機に 米研究所報告 
2008.5.1 09:30 産経新聞
 米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所は30日、北朝鮮が1990年代後半に終息した飢饉(ききん)以来の深刻な食糧危機に向かっているとする報告書を発表した。
 それによると、北朝鮮の食糧価格は1年前の3倍近くに高騰。そのペースは、国内のインフレ率や国際的な食糧価格の上昇率をはるかに上回っており、飢えに苦しむ人が増加している。
 これに伴い、行政機能は滞り、国内の統制が強化された。報告書は、統制強化と海外からの食糧支援により北朝鮮が「最終的には危機を乗り越える」と予測しながらも、同国が食糧支援国との関係を悪化させていることに懸念を示している。
 報告書によると、水害などに伴う90年代の飢饉では、北朝鮮人口の約5%に当たる最大100万人が死亡した。(共同)
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北朝鮮の食糧難現実化の兆し、中国の輸出制限が影響
4月22日15時1分配信 YONHAP NEWS

【瀋陽22日聯合】北朝鮮の食糧難が現実化する兆しを見せている。韓国と国際社会からの食糧援助が中断される中、中国も今年から食糧輸出の制限政策を実施していることから、北朝鮮は資金があっても食糧を輸入できない事態に陥っている。
 瀋陽のある中国人貿易商は、北朝鮮の事業パートナーから2000トンの食糧購入要請が入り苦悩している。この貿易商によると、北朝鮮側から「いくらでも出すので食糧を確保してほしい」との依頼を受けたが、中国で物量を確保するのは困難で、第三国を通じた食糧輸入ができるか打診している状況だという。現在北朝鮮では、住民が市場で糧食を求めることはできるが、当局の取り締まりにより価格も大きく上がっており、住民は配給への依存を強めている。このため配給用の食糧を確保しようと、北朝鮮の貿易会社は血眼になっているという。

 別の中国人貿易業者は、「北朝鮮の貿易会社からトウモロコシ1万トンの購入依頼を受け、北京まで行って八方手を尽くしたが結局輸出許可を受けられず断念した」と話す。中朝国境に位置する丹東の貿易会社関係者も「昨年と違い、今年に入ってからこれまで北朝鮮への食糧輸出実績は1件もない。現時点では食糧輸出がいつ再開されるかも予測できない」とため息をついている。

 中国は今年初め、北朝鮮に対し5万トンのトウモロコシ輸出クォータを割り当てているが、これも中央の貿易会社がほとんどを占めており、地方の貿易会社には回ってこないため、地方の食糧難はより深刻さを増している。ただ、中国政府が今月末に輸出クォータを追加で割り当てるとのうわさもあり、これら貿易会社も期待をかけている。

 こうした中、食糧密輸も増えている。中国政府は食糧輸出制限措置の実施で食糧密輸が増えることをあらかじめ予想しており、通関手続きを強化するなど取り締まりに力を入れている。それでも中朝国境で密かに行われる小規模な食糧密輸にまでは手が回らないようだ。丹東の消息筋は「通常の食糧輸出が制限され、鴨緑江河口地域では小型船舶を使い数トン程度の食糧を北朝鮮に積んでいく密輸が増えている」と明らかにした。

 北京の外交消息筋は「北朝鮮政府はこれまで中国政府に公式に食糧援助を要請していないものと承知している」とした上で、核申告問題が円満に解決し、6カ国協議が再開すれば国際社会の食糧援助が開始され、北朝鮮の食糧難もある程度緩和されるのではないかとの見通しを示している。
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食糧難で北朝鮮の人権状況が悪化、国連特別報告者
                             2008/04/10
【ソウル10日聯合】国連のムンタボーン北朝鮮人権特別報告者は10日、北朝鮮で食糧難が深刻化し、住民の人権状況も悪化していると指摘した。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューに答えたもの。深刻な食料・肥料不足のため、商売など資本主義活動を行う住民らへの取り締まりも厳格になっているとし、生存権のような人権が脅かされていると強調している。
 また、強制送還された脱北者への処罰も一層厳しくなっていると説明、2件の強制送還について、先ごろ寛大な措置を求める書簡を北朝鮮当局に送ったと明らかにした。北朝鮮はスイス・ジュネーブ駐在の北朝鮮代表部を通じて伝達されたムンタボーン特別報告者の書簡を受け入れていないが、報告者は北朝鮮の人権改善に関する多数の事項を送り続けている状況だ。ムンタボーン特別報告者は脱北者問題について、就任からこれまで韓国や日本、モンゴルで主に現地調査を行ってきたが、来年には調査対象国を拡大できるよう案を模索していると話した。特に脱北者の流入が急増している東南アジア地域に関心を寄せているという。

 ムンタボーン特別報告者は、北朝鮮当局の態度変化がいつにも増して重要だと指摘、北朝鮮が国際社会に対する開放と交流の幅を広げて経済発展を続けるとともに、人権状況も改善できるように望むと述べた。

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北朝鮮穀物生産が昨年300万トン、166万トン不足
                        2008/03/26 ソウル聯合
【ソウル26日聯合】国連食糧農業機関(FAO)の報告書によると、北朝鮮の昨年の穀物生産量は300万トンで、今年10月までの穀物不足量は166万トンに達すると、自由アジア放送(RFA)が26日に伝えた。
 「北朝鮮の深刻な食糧難」と題するFAOの報告書は、北朝鮮の昨年の穀物生産量は、2006年の400万トンやこの5年間の平均収穫量の370万トンを大きく下回る量だとしている。今年6月には冬小麦と春麦が収穫されるが、いずれも北朝鮮の年間穀物生産量の1割ほどにすぎず、食糧難の解消にはあまり役立たないと分析する。FAOのアジア太平洋地域の責任者、チェン・ファン氏は、昨年11月から今年10月にかけ北朝鮮では約166万トンの食糧が不足すると予想し、韓中や国連世界食糧計画(WFP)など国際社会の行動が必要だと述べたという。

 報告書はまた、北朝鮮でのコメとトウモロコシの生産量は2006年に比べそれぞれ33%と25%少なく、穀物価格が2倍以上に高騰していると指摘している。世界の主要穀物生産国が輸出量を減らし、中国が食糧輸出関税を賦課していることから、北朝鮮の食糧事業は悪化の一途をたどることになると強調した。
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北朝鮮の食糧状況は絶望的、平壌でも配給中断
                        2008/04/03 ソウル聯合
【ソウル3日聯合】北朝鮮の全域で食糧難が悪化する中、比較的食糧事情が良好とされる平壌でも今月から6か月間にわたり配給が中断されるなど、5月以降に大量の餓死者が発生するとの懸念が出ている。北朝鮮の人権状況をウォッチする人権団体の「良き友人」がニュースレターで明らかにした。平壌市の一部幹部は、1990年代後半に最悪の経済難に見舞われた「苦難の行軍」の時期でさえ、これほど長期の配給中断はなかったとコメントしている。平壌市民らは若干の予備食糧を確保しているほか、食糧が尽きても地方から購入できるため、配給中断による餓死者はないものの、手持ちの食糧が以前ほどではなく、食品価格も高騰しているため不安を感じているという。
 同紙はまた、平壌市の幹部の話として、2006年と2007年に相次いで洪水被害に見舞われ、肥料不足や、個人・機関が所有する小土地の回収などにより、北朝鮮は市場最悪の事態に陥っていると伝えている。同幹部は、「状況は外から見るよりはるかに絶望的」だとし、平壌をはじめ咸興、清津など主要都市では、「今月から餓死者がでるのではないか」とのうわさが駆けめぐっていると話している。

 北朝鮮全域の協同農場では田植えや苗付けの準備が進んでいるが、肥料やビニールシート、苗、農資材の入手が困難で懸念が広まっている。咸興市のある住民は「いま準備をしなければ今年の農作業はできない。農作業ができなければどんなことになるかわからない」と心配している。

 同団体は同日「第2の苦難の行軍を懸念する」と題した論評を出し、昨今の状況は10年余り前の「苦難の行軍」を思い出させるものだと懸念を示すとともに、この時期を逃せば人命被害が増えるため、南北双方が協力して北朝鮮住民の犠牲を防ぐ方法を求めていくべきだと強調した。

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石田ふたみ