『日々の映像』

2008年03月23日(日)  犯罪の匂いが高い年金記録消滅


 年金問題に次の2つの問題がある。
1、年金の受領記録があるが誰のものが分からない。特定は出来ない記録は3000万件の達する

2、国民年金の加入者が保険料納付の証拠となる領収書を持っているのに、社会保険庁のコンピューターにも原簿の手書きの紙台帳にも一切記録がない「消えた年金」が、1541件に達している。

 総務省の年金記録問題検証委員会は、「保険料着服事例を調査した結果、『横領事案等が伏在する可能性は否定できない』と、職員による着服事例が多数に上る可能性を指摘している。」これほどの信用失墜の事態があうだろうか。国民は納めた年金の領収書はありが、国庫の納付されていないのだ。

 政府が国民の信頼を少しでも取り戻したいと考えるのであれば、横領事件の立件のため数百人単位の捜査チームを投入すべきである。

年金記録:1541件消滅…照合で回復困難
2008年3月22日毎日新聞 
年金3000万件、特定は困難か
2008年3月16日 読売新聞)
不明年金記録『公約遂行と国民だれ一人信じない』 野党は批判 責任追及へ
2008年3月15日 朝刊
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年金記録:1541件消滅…照合で回復困難
毎日新聞 2008年3月22日
 国民年金の加入者が保険料納付の証拠となる領収書を持っているのに、社会保険庁のコンピューターにも原簿の手書きの紙台帳にも一切記録がない「消えた年金」が、少なくとも1541件に上ることが21日、分かった。コンピューター上の記録が消えた例も6978件に達し、改めてずさんな記録管理の実態が明らかとなった。同庁は4月以降、コンピューターと紙台帳の照合作業に着手するが、どちらにも記録が残っておらず、照合だけでは回復が難しい年金記録が大量に存在することを裏付けた。
 社保庁によると、06年8月〜07年12月の年金記録に関する相談受付件数は約731万件。うち、コンピューターには納付記録がないが、手書き台帳に記録が残っているなどして納付が認められたのが6978件。中でも本人は領収書を保管しているのに、公的記録が一切残っていない例が1541件(07年9月時点)あった。同庁は06年12月時点の集計でこの例を55件と公表しており、9カ月で30倍近くに達した。
 記録が消える原因は入力漏れや原簿の紛失などだが、総務省の年金記録問題検証委員会は、27件の保険料着服事例を調査した結果、「横領事案等が伏在する可能性は否定できない」と、職員による着服事例が多数に上る可能性を指摘している。
 「消えた年金」は、コンピューター上の記録が誰のものか分からない「宙に浮く年金」とは別問題。1541件のケースは本人が領収書を保管していたために記録が訂正されたものの、昔の領収書を残している例はまれで、消えた年金の実数ははるかに多いとみられる。証拠がない場合、総務省の年金記録確認第三者委員会に申し立てるが、これまで受け付けた4万5600件中、処理を終えたのは全体の9.1%、4150件にとどまっている。【大場伸也、野倉恵】
毎日新聞 2008年3月22日 2時30分
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年金3000万件、特定は困難か
2008年3月16日 読売新聞)
 該当者不明の約5000万件の年金記録の名寄せ結果で、社会保険庁が14日に、持ち主の特定が困難な「未解明な記録」とした2025万件以外にも、多数の特定困難な記録が存在する可能性が高いことが15日、明らかになった。
 社保庁が「死亡した人」の記録などとして、一定の解明ができたと分類した記録の中にも、さらに検討が必要な記録が数多くあるためだ。与野党双方から、「実際の特定困難な記録は、全体の6割の3000万件程度に達する可能性がある」との見方が出ている。
「死亡」記録の再検討必要
 社保庁は14日、5000万件の名寄せの結果を〈1〉持ち主の特定が困難で、今後解明を進める2025万件〈2〉死亡した人などの記録として、一定の解明が済んだ1898万件〈3〉持ち主が特定される可能性がある1172万件――に3分類して発表した。〈2〉と〈3〉を合わせた約3000万件について舛添厚生労働相は14日、「(記録の中身が)明白になった」と強調した。
 だが、〈2〉に分類された「死亡した人などの記録」は、遺族からの死亡の届け出によって判明したものだ。社保庁は「死亡の届け出の際、年金記録の処理も終わったはずだ」とみなして、「解明済み」の記録に分類したが、実際には、遺族が宙に浮いた記録の存在に気づかず、処理されなかった可能性が高い。該当するのは約315万件に上ると見られる。
 民主党の長妻昭政調会長代理は、「本来の年金を受け取れずに亡くなった人の記録が相当数含まれているはずだ」と指摘する。昨年7月に施行された年金時効撤廃特例法により、未支給の年金は、配偶者だけでなく、生計を共にしていれば、子や孫も含めた遺族が全期間分をまとめて受け取れることになっており、社保庁は、持ち主の遺族を特定する義務がある。
 また、社保庁は、同一人物とみられる記録が複数ある場合、「1件の持ち主が名前や生年月日で特定できれば、残りも自動的に特定できる」と説明。特定困難な記録として、まとめて「1件」として分類した。
 しかし、それらが同姓同名の別人かどうかの確認はしておらず、自民党の年金行政改革議員連盟(会長=中川秀直・元幹事長)は、「本来は、複数の記録を、すべて特定困難な記録に算入すべきだ」と疑問視している。このような複数記録は479万件に上るという。
(2008年3月16日 読売新聞)
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不明年金記録『公約遂行と国民だれ一人信じない』 野党は批判 責任追及へ
2008年3月15日 朝刊
 野党各党は十四日、「宙に浮いた」年金記録約五千万件の四割に当たる二千万件以上が解明できていないことが判明したことを受け、昨年の参院選で与党が訴えた「三月末までに五千万件の名寄せを終える」との公約に違反するとして一斉に批判した。
 民主党の鳩山由紀夫幹事長は記者団に「参院選で政府・与党は『一人残らずきちんと照合する』と聞こえる発言を繰り返したが、あまりにもひどすぎる結論だ」と指摘。
 さらに、町村信孝官房長官が「公約は遂行してきた」との発言したことに「公約が果たされたと信じている国民はだれ一人いない」と反論した。
 社民党の重野安正幹事長は記者会見で、「福田首相、舛添要一厚生労働相の政治責任は非常に重い」と、首相らの責任論に言及。
 国民新党の亀井久興幹事長も記者団に「言ったことと結果が違ったことについて、政治責任はある」と強調した。
 野党側はもともと、年金記録不備問題が、名寄せ期限の三月末を控えたこの時期に再燃するとみており、満を持しての批判再開。特に、福田内閣を「四月解散」に追い込みたい民主党にとって、ガソリン税(揮発油税など)の暫定税率問題に加え、格好の批判材料を手中にした形だ。
 同党の簗瀬進参院国対委員長は記者会見で「道路、年金、あたご(イージス艦と漁船の衝突事故)は(参院予算委員会の)集中審議で厳しく、詳細に追及していく」と、政府・与党を徹底的に揺さぶる方針を表明した。

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石田ふたみ