『日々の映像』

2008年02月27日(水)  ワーキングプア

 2008年2月25日朝日新聞に「働けば食える仕事の提供は企業の責任だ」とう社説が掲載されていた。私は「働けば食える社会の仕組みを作るのが政治の責任だ」と言いたい。

 今は「年収200万円以下が1000万人を超えた。働き手の3人に1人、約1700万人は正社員以外だ」(朝日社説から)という凄まじさなのである。 社会を支えるはずの若い世代が、自分の暮らしも維持できない事態が広がっているのだ。これが私たちの住む日本の社会だ。 これでは、本格的な高齢者社会になった時、社会の基盤を揺るがしかねない恐ろしさがある。詳しい対策案などは社説をご覧ください。

 ここでは ワーキング プア の基本情報を取り上げて起きたい。

1、ワーキング プア(working poor)は、正社員並みにフルタイムで働いても、ギリギリの生活さえ維持が困難、もしくは生活保護の水準以下の収入しか得られない就労者の社会層のことである。

2、2006年の平均年収は435万円と9年連続で減少した。年収200万円以下の労働者は2006年には1985年以来、21年ぶりに1000万人を突破したという。

・働けば食える」仕事の提供は企業の責任だ 」              2008年2月25日朝日新聞社説
・ワーキング プア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%97%E3%82%A2
働いても働いても豊かになれない
                        NHKスペシャルから

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・ 「働けば食える」仕事の提供は企業の責任だ 」
・   ・就職氷河期の世代にセカンドチャンスを
・                        2008年2月25日朝日新聞社説
 働いても収入が少なく、まともに食べてさえいけないワーキングプア(働く貧困層)が広がっている。
 背景にあるのは、経済のグローバル化だ。工場が新興国へ移るかもしれない。日本の労働者が、海の向こうの安くて豊富な労働力との競争にさらされる時代になった。加えて、バブル後の不況から脱出するため企業が人件費をリストラし、賃金低下に拍車をかけた。
 いまや、年収200万円以下が1000万人を超えた。働き手の3人に1人、約1700万人は正社員以外だ。家賃を払えずインターネットカフェに寝泊まりする人が、とくに若い世代で増えている。
 社会を支えるはずの若い世代が、自分の暮らしも維持できない。これが私たちの目ざす社会だったのか。
 このままでは、高齢者が増えていったときに立ち行かなくなる。貧富の分裂が進み、社会の基盤を揺るがしかねない。そんな恐れさえ感じる事態だ。 
 
 そんなことにならぬよう、今のうちから手を打たなければいけない。そこで、取り組むべき柱を三つ提案したい。
 第一は、働く土台を安定させ、底上げしていくことだ。
 労働規制を立て直して不安定な働き方を抑え、「同じ価値の労働に同じ賃金」という均等待遇をめざす。さらに非正社員も雇用保険や厚生年金に加入させる。これまでに私たちはそう提案した。
 これを一歩進めて、働いても食べていけないような最低賃金を引き上げる。労働者派遣法を見直して、日雇いのような働き方を減らす。
 これらは企業の責任だとはいえ、大きな負担に違いない。企業を追い込んで肝心の雇用を減らさぬよう、慎重に進める必要がある。苦しい中で大幅な改善策を打ち出した会社には、法人税を軽減するなどの支援策もとりたい。
 貧しい層でもとくに配慮すべきは、不況のさなかに社会へ出た就職氷河期の世代だ。いま20代半ばから30代。多くがなお安定した職につけずにいる。
 この年代層が少なく人員構成がゆがんでいる会社も多いのだから、中途採用する手立てを考えられないか。とくに政府や自治体は率先して採用すべきだ。
 均等待遇をめざすと、正社員の給料が下がることも考えられる。最低賃金を上げると、物価上昇に跳ね返ることがあるかもしれない。つらいことだが、社会を健全に保つコストだと考え、受け入れざるを得ないだろう。
 第二の柱は、貧しい層の生活を支えながら、自立を促すことだ。
 不安定な低賃金労働が広がり、家族や親類、友人を頼れなくなった人も多い。「どこかで転ぶと下まで落ちてしまう。いまの日本は滑り台社会」。貧困問題に取り組むNPO法人の事務局長、湯浅誠さんはそう実感する。
 転んだときには早めに手を差し伸べ、再び職を得て自立できるよう支援することが大切だ。貧しい生活が長引くほど、再出発が難しくなるからだ。
 その意味で、生活保護は運用を見直すべきだ。現状では、現役世代はなかなか受給が認められない。不正受給を排除するのは当然だが、本当に困っているなら支給して、自立へ導く方がいい。
 東京都には最近、ネットカフェ難民からひっきりなしに電話がかかってくる。部屋を借りるとき60万円まで無利子で貸す制度を始めるからだ。部屋探しを手伝ったり、仕事探しなどの相談に乗ったりと、総合的に取り組む方針という。
 自立できるまで一時的に住める公営の寮を増やすのも一案だ。
 職につくには、まず生活指導から始めなければならないケースもあるだろう。自立支援は手間ひまがかかって大変だ。だが、貧困を減らせるかどうかは、ここにかかっている。
 
 職につくときも、ついてからも、仕事の能力を向上させることが欠かせない。それが第三の柱である。
 新興国の人たちよりも高い能力を身につけないと、新興国の低賃金に引きずられる。グローバル経済の宿命だ。経済のソフト化が進んで、知的能力が経済発展を左右するようになっている。
 職業能力の向上は企業がかなり担っていたが、終身雇用が崩れて転職がふつうになってきた。非正社員や失業中の人も能力を高められる仕組みを、社会的に充実させなければならない。
 若者たちの失業が日本より早く深刻になった英国などでは、職業訓練に力を入れたことが知られている。
 貧しくて訓練を受けられない人には、訓練中の生活を支えることも必要だ。きめ細かく自立と能力向上を支援するのは、地域政府の役割だろう。
 人材が育てば企業の力になる。給料が上がれば、消費が増えて売り上げも向上する。当面は費用がかかって負担になるが、結果としては、社会全体にとって大きなプラスになるのだ。
 日本は新興国の追い上げを食らい戦々恐々としている。だが少し前まで、そんな日本が欧米を追い上げていた。
 欧米はそれをどう切り抜けようとしてきたのか。その成果と苦労に学びつつ、新しい貧困を克服していきたい。

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ワーキング プア(working poor)は、正社員並みにフルタイムで働いても、ギリギリの生活さえ維持が困難、もしくは生活保護の水準以下の収入しか得られない就労者の社会層のことである。[1]
直訳では「働く貧者」だが、働く貧困層と解釈される。
発展途上国などで見られる典型的な貧困層とは異なり、新自由主義の先進国で見られる新しい種類の貧困として近年問題視されている。
ここでは、特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。

[編集] 概要
「働けば働くほど支出が増えて貧しくなる状態」とも言える。ワーキングプア増大の背景には1980年代以降の欧米で導入された新自由主義政策の影響が大きいとされる。新自由主義とは弱肉強食の理論であり、構造的に強者と弱者の二極化を促進させ格差社会を生み出す。なお、新自由主義的な経済政策を推し進めていた国際通貨基金も、“新自由主義的経済政策の推進は理論的にも実践的にも誤りだった”と2005年に認めている。
アメリカなどにおいては、就業していることから失業問題ではなく、賃金水準が低く、また技能の向上や職業上の地位の向上の可能性が低いことから労働問題として捉えられている。

[編集] 規模
ワーキングプアにあたる所得の世帯数は、日本全国で2002年約650万世帯ほどと推定され、2006年以降、社会問題として採り上げられるようになった。推計根拠は総務省の就業構造基本調査。これに基づいて試算すると、ワーキングプアの規模は次のとおり[2]と言われている。
1997年 514万世帯 14.4%
2002年 656万世帯 18.7%
労働者単位で見ると、民間企業で働く労働者の平均年収は1998年以降減少傾向で推移しており、2006年の平均年収は435万円と9年連続で減少した。年収200万円以下の労働者は2006年には1985年以来、21年ぶりに1000万人を突破したという。
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働いても働いても豊かになれない
                        NHKスペシャルから
働いても働いても豊かになれない…。どんなに頑張っても報われない…。
今、日本では、「ワーキングプア」と呼ばれる“働く貧困層”が急激に拡大している。ワーキングプアとは、働いているのに生活保護水準以下の暮らししかできない人たちだ。生活保護水準以下で暮らす家庭は、日本の全世帯のおよそ10分の1。400万世帯とも、それ以上とも言われている。

 景気が回復したと言われる今、都会では“住所不定無職”の若者が急増。大学や高校を卒業してもなかなか定職に就けず、日雇いの仕事で命をつないでいる。正社員は狭き門で、今や3人に1人が非正規雇用で働いている。子供を抱える低所得世帯では、食べていくのが精一杯で、子どもの教育や将来に暗い影を落としている。

 一方、地域経済全体が落ち込んでいる地方では、収入が少なくて税金を払えない人たちが急増。基幹産業の農業は厳しい価格競争に晒され、離農する人が後を絶たない。集落の存続すら危ぶまれている。高齢者世帯には、医療費や介護保険料の負担増が、さらに追い打ちをかけている。

 憲法25条が保障する「人間らしく生きる最低限の権利」。それすら脅かされるワーキングプアの深刻な実態。番組では、都会や地方で生まれているワーキングプアの厳しい現実を見つめ、私たちがこれから目指す社会のあり方を模索する。
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『働いても働いても豊かになれない…』。

今年7月に放送したNHKスペシャル「ワーキングプア」は、生活保護水準以下の暮らししかできない“働く貧困層”の厳しい現実を見つめ大きな反響を呼んだ。NHKに届いたメールやファックスをもとに、今回、ワーキングプアのさらなる実態を取材。「第2弾」として放送する。

この10年の雇用環境激変の影響を、最も大きく受けた女性たち。その窮状を訴える声が数多く寄せられた。雇用が回復した今も「正社員」は依然として狭き門で、複数の派遣やパートの仕事を掛け持ちしても、生活ギリギリの給料しか得られない女性が急増している。
 一方、中小零細企業の経営者からは、『景気回復など実感できない』という声が相次いだ。海外との激しい価格競争の渦に巻き込まれ、廃業に追い込まれる企業が続出。地域全体が地盤沈下するところも出ている。再チャレンジしようにも、衰退した地域の中では、なかなか新しい仕事を見つけることはできない。

 さらに老後への不安も高まっている。医療費などの負担が増え、年金だけでは暮らせず、70歳を過ぎても清掃や廃品回収の仕事を続けるお年寄りも数多い。なぜ真面目にコツコツ生きてきた人たちが報われないのか。どうすればワーキングプアの問題を解決することができるのか。一人一人が抱える現実を直視し、社会のあるべき姿を探っていく。

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石田ふたみ