『日々の映像』

2008年02月25日(月)  日本の未来は本当に暗いのか

 30代前後で知的レベルの高い青年と懇談する機会が多い。彼らは中高年が想像付かないほど日本の未来の見方が厳しい。1例を挙げると、自分たちが65歳になったとき、年金はもらえないと認識している人がほぼ100%いなのである。果たしてどうなのか。

 いまから15~20年前コンピューターの導入に比例した鉄鋼などの基幹産業のリストラの嵐が吹き荒れた時代があった。詳しいことは分からないが、20年前と現在と比較すると、鉄鋼1トンあたりの作業人員は3分の1以下のなったのではないかと思う。ここで何を言いたいか。企業は国際競争力を維持するために凄まじい合理化をしてきたのである。

 これに対して行政組織は、ほとんど合理化さらないまま今日に至っている。2008年2月24日の日経新聞「省庁の抵抗を排し出先機関の統廃合を」と題する社説が掲載されていた。指摘の骨子は「2007年度末で32万8000人いる国家公務員のうち、3分の2近い21万2000人は東北、九州などの地方ブロックおよび都道府県単位で各省庁が置く出先機関の職員である。道路建設や中小企業対策、福祉・医療など幅広い分野で国の出先機関と自治体は似た仕事をしている」という内容だ。

 全国知事会はすでに独自案を作り、国土交通省や厚生労働省など八府省の出先機関のうち、8割にあたる2770機関の廃止・統合を求めている。職員数でみると、対象となる約9万6000人の国家公務員を2万人に縮減し、合理化したうえで5万5000人を自治体に移す。併せて人件費と事業費で3兆円程度の財源移譲を提案している。行政コストを下げる余地は十分にあるように思う。医療行政を含めて、日本の社会がいい方向激変する時期が必ずあると思う。

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省庁の抵抗を排し出先機関の統廃合を
2008/2/24日経新聞社説
政府の地方分権改革推進委員会が国の出先機関を統廃合して地方に業務を移す検討を進めている。国と自治体の二重行政を解消しなければ政府全体の効率化や地方分権も実現しない。中央省庁の抵抗は強いが、思い切った改革案を提示すべきだ。

  2007年度末で32万8000人いる国家公務員のうち、3分の2近い21万2000人は東北、九州などの地方ブロックおよび都道府県単位で各省庁が置く出先機関の職員である。道路建設や中小企業対策、福祉・医療など幅広い分野で国の出先機関と自治体は似た仕事をしている。昨年、政府の経済財政諮問会議の民間議員が見直し試案を示し、分権改革委員会に具体案の策定を求めた。

 同委員会は1月末から作業を本格化し、これまで経済産業省や国土交通省、農水省などの意見を聞いたが、省庁側は軒並み「ゼロ回答」だった。全国的な連携の必要性や業務の専門性などを出先機関の存続する理由にあげているが、省益優先、組織温存の姿勢がうかがえる。

 もちろん、出先機関のなかには入国管理局や税関など明らかに国の仕事と思われるものはある。しかし、霞が関の縦割り行政がそのまま地方に持ち込まれる場合が多く、街づくりや福祉・医療、雇用対策などでは国と自治体の責任があいまいになりがちだ。何か特別な事件でも起きない限り、出先機関の細々した業務の必要性やその効果について国会で十分に審議されることもない。

 全国知事会はすでに独自案を作り、国土交通省や厚生労働省など八府省の出先機関のうち、8割にあたる2770機関の廃止・統合を求めている。職員数でみると、対象となる約9万6000人の国家公務員を2万人に縮減し、合理化したうえで5万5000人を自治体に移す。併せて人件費と事業費で3兆円程度の財源移譲を提案している。委員会が夏の中間報告に向けて検討を深めるうえでひとつのたたき台になるだろう。

 地方分権は国から地方への権限移譲が柱になるが、「人とカネを移さなければ実際の改革は動かない」と同委員会の丹羽宇一郎委員長は指摘する。そうならば、明確な基準を作って大胆な見直し案をまとめ、福田康夫首相に実現を求めてほしい。

 中央省庁もよく考えるべきだ。国家公務員といっても実際には地方勤務が中心の職員が少なくない。国・地方の上下・主従意識を捨て、そうした人々が専門知識を生かして自治体で活躍してこそ、地域は活性化する。その方が公務員として真に社会に貢献できるのではないか。



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石田ふたみ