『日々の映像』

2008年01月28日(月)  耐火偽装に見る企業に甘い日本の法律

 建材メーカーの「耐火偽装」が相次いで発覚している。耐震偽装が社会問題になってきたのに、多くのメーカ-が平然と耐火偽装をしていたことに驚きを禁じえない。メーカーが、国土交通省の「大臣認定」のお墨付きを手に入れるため、製品の試験で、水を含ませたり、使っていない材料を混入して、耐火力があるように見せかけていたのだ。1月25日の毎日によると耐火偽装:不適切建材は日軽金など45社98件に及ぶのである。

 耐火建材の認定制度をあざむいた責任は極めて重い。最大の問題は建築基準法で不正をしても処分規定はないのである。国土交通省は認可した同種建材計一万数千種類の再点検を決めたが、建材メーカー製品の直接検査の権限はないというお粗末さである。国交省すなわち、官組織は国民の安全よりメーカーの保護の塾足があると言わねばならない。

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耐火偽装:不適切建材は日軽金など45社98件に
毎日新聞 2008年1月25日
耐火・防火建材の性能偽装問題で、国土交通省は25日、5社21件の大臣認定製品に問題があったとする中間報告を発表した。昨年末以降の緊急調査で判明した不適切な建材は計45社98件となった。既に発覚していた大手軽金属製造販売会社「日本軽金属」(品川区)、大手建材メーカー「YKKAP」(千代田区)などについても偽装が確定したとして公表した。調査対象企業は1割近く残っており、偽装はさらに増える可能性がある。
 昨年10月にニチアスによる偽装問題が発覚、国交省は全大臣認定品の自社調査を1788社に指示した。8日の1次発表で40社77件に問題があったことが明らかになっている。
 今回偽装が発覚したのは▽「三菱化学産資」(東京都千代田区)▽「東洋鋼鈑」(同)▽「三菱樹脂」(同)など。大臣認定の試験時に添付した仕様書と異なる製品を使用したケースは計12件、大臣認定を受けた製品とは異なる製品を販売していたのが計81件となった。残り5件は調査中。これら45社の製品の使用が判明した建物は計3200棟に上る。
 日本軽金属の亜鉛メッキ鋼板は、芯(しん)材を燃えやすい素材に変更したため、不燃性能が認定時の5分の1しかなかった。記者会見した製造元の子会社「日軽パネルシステム」によると、02年に納期が迫ったが製品を注文通りの形状に加工できず、現場が無断で、加工しやすい素材を使ったという。経営陣は2年後に把握し、素材を元に戻したが、販売分は回収せず、公表もしなかった。日本軽金属の担当役員も承知していた。室伏好郎社長は「顧客への配慮が欠けていた。問題への認識不足だった」と謝罪。約10億円を負担し改修する。
 YKKAPは合金製折りたたみ戸のガラスを止めるゴム部品を認定取得時よりも燃えやすい素材に変更していた。20分の耐火性能が実際には16〜18分だった。吉田忠裕社長は会見で「商品化の過程で材質を変更したが、耐火性能は十分だと判断していた。認定の再申請も怠り反省している」と謝罪。約1億円をかけて無償改修する。【渡辺暖、辻本貴洋、高橋昌紀】





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石田ふたみ