2007年12月20日(木) |
仮想水(バーチャルウォーター) について |
12月3日〜4日、大分県別府市にて、第1回アジア・太平洋水サミット が開催され、最終日の4日、「別府からのメッセージ」を発表して終了した。 これに関連してバーチャルウォーターのことを整理しておきたい。
1、肉や小麦などを輸入することは、それを作るのに要した水を輸入することでもある。この間接的に輸入する水を仮想水というのだ。 東大生産技術研究所の沖大幹教授の試算によると、牛肉は1キロで20トンの水が必要だ。牛の飼料を育てるのに水を使い、牛も大量の水を飲む。 2、牛丼1杯当たりに2トンもの水が使われている計算。 3、仮想水の総輸入量は約640億立方メートル/年と推計しており、これは日本国内での総水資源使用量約900億立方メートル/年の3分の2程度にあたるという膨大なバーチャルウォーターなのだ。 中国は砂漠化の進行が激しい。国全体としては水不足の国である。その中国が野菜類を日本に輸出することは誤りだと思う。野菜の輸出でなく水を日本に輸出しているのだ。
一番の問題は900億立方メートルもの水が汚染されていないかである。国民が食べる食料は、国で作るという発想が必要だ。
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第1回アジア・太平洋水サミットの開催について 平成19年12月5日 12月3日〜4日、大分県別府市にて、第1回アジア・太平洋水サミット が開催され、最終日の4日、「別府からのメッセージ」を発表して終了した。 この水サミットは、水の問題について、アジア・太平洋地域諸国の首脳級が議論する初めての国際会議で、主催者は、アジア・太平洋水フォーラム(NPO。会長は森喜朗元総理)/第1回アジア・太平洋水サミット運営委員会。アジア・太平洋地域の36の国・地域(我が国を含む)が参加し、福田総理大臣を含む10の国・地域より首脳級が、約20ヶ国より閣僚級が、またユネスコなどの関係国際機関代表、国連「水と衛生に関する諮問委員会」議長のオランダ国皇太子殿下も参加し、全体規模で約300人の参加があった。外務省からは、宇野治外務大臣政務官が初日に出席、太平洋島嶼国首脳等との朝食会、ハン・スンス気候変動国連事務総長特使との個別の会談も行った。 NPO主催のこのサミットには、日本政府側も開催に当たって必要な支援を行った。 12月3日の開会式では、本年11月1日に国連「水と衛生に関する諮問委員会」名誉総裁にご就任された皇太子殿下もご出席され、お言葉を述べられた他記念講演を行われた。また、福田総理大臣が日本政府を代表して歓迎の挨拶を行い、この水サミットでの活発な議論が、北海道洞爺湖サミットにきわめて大きな力と知恵を与えてくれるものと期待している旨述べた。 12月4日に発表された議長総括:「別府からのメッセージ」では、水サミット参加者が、水の問題の重要性を改めて確認した上で、アジア・太平洋地域各国政府への提言として、水と衛生をアジア・太平洋地域の各国の経済・開発、政治課題における最優先課題とし支援を拡充すること、北海道洞爺湖サミットに向けての具体的な目標として、1)国連ミレニアム開発目標の1つの水と衛生に関する目標を達成できるよう支援を行うこと、2)途上国による気候変動への適応を支援するため直ちに行動を起こすことを設定する、などについて共通の見解に達した旨が記された。 「水」に関して厳しい状況にあるアジア・太平洋地域において(注)、首脳級が集まって、水問題の解決が最優先の課題であるとの共通の認識を再確認した意義は大きい。 (注)安全な飲料水、衛生施設にアクセスできない人口(約7億)が世界の中で最も多い地域。世界の水災害(洪水、暴風雨等)の死者の80%以上が集中。
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水サミット―汚染はひとごとではない 「仮想水」(バーチャルウオーター)という言葉をご存じだろうか。 肉や小麦などを輸入することは、それを作るのに要した水を輸入することでもある。この間接的に輸入する水を仮想水というのだ。 東大生産技術研究所の沖大幹教授の試算によると、牛肉は1キロで20トンの水が必要だ。牛の飼料を育てるのに水を使い、牛も大量の水を飲む。牛丼1杯当たりに2トンもの水が使われている計算だ。 日本は世界から大量に食糧を輸入しているので、仮想水の輸入量も世界一である。世界で水の不足や汚染がひどくなれば、たちどころに日本の食卓にも響く。世界で起きる水問題は、決してひとごとではないのだ。 そんな問題意識もあって、大分県別府市で開かれたのが、初めての「アジア・太平洋水サミット」である。福田首相ら36カ国・地域の首脳らが出席し、「別府からのメッセージ」を採択した。 安全な飲み水を利用できない人たちを15年までに半減し、25年までにゼロにする。各国は途上国に手を差し伸べるために、ただちに行動を起こす。そんな目標が掲げられた。 アジア・太平洋地域は、面積が広大で人口も多い。それだけに各国が解決すべき課題も様々である。 洪水や津波の被害もあるが、最も深刻なのは水の不足と汚染だ。国連がまとめた報告書によると、安全な水を飲めない人は世界で12億人にのぼり、このうち約60%がアジア・太平洋地域で暮らしている。トイレなどの衛生施設を持たない人は世界で24億人、その70%以上をアジア・太平洋地域で占める。 今回の水サミットを機に、開催国である日本に対し、途上国の期待は一層高まるだろう。食糧とともに仮想水を大量に輸入している国としても、きれいな水を作ることに協力し、仮想水を途上国に還元することを考えたい。 その際、水不足の対策にはダムを、水質汚染には下水道を、といった対応がすぐに思い浮かぶ。だが、いずれも巨額の費用がかかる。そのうえ、大きなダムは環境を破壊する恐れもある。 参考にしたいのが、たとえば、アフガニスタンやパキスタンで医療や農業の支援活動を続けている市民団体「ペシャワール会」の取り組みだ。 アフガニスタンでは、飲み水を確保するために掘った井戸は1500本にのぼる。農業用水路は第1期の13キロが完成し、砂漠化した千数百ヘクタールの大地を潤した。この事業は延べ38万人の住民の働き口をつくることにもなった。 ほかにも、水の浄化や節水、海水の淡水化などで蓄積してきた様々な技術を役立てることができるにちがいない。 安全な水をなかなか手にすることができない人たちに思いをはせ、何ができるかを工夫する。「別府からのメッセージ」を、そのきっかけにしたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 仮想水(バーチャルウォーター) 詳細解説 農産物の生産や製品の製造、輸出入することは、その際に必要となる水(仮想水)を、購入者が間接的に消費したことになる。たとえば、日本は多くの農産物を輸入しているが、輸出国では栽培のために水が消費されており、それを仮に国内で栽培しようとすると多くの水、すなわち仮想水が必要となる。この、農産物の輸入によって日本が節約できた水資源を仮想水と呼ぶ。ロンドン大学のアラン教授によって1990年代初頭に提唱された。農産物などの輸入(移動)による水資源が足りない地域における水資源の節約や水資源の自給率向上の議論などで使用される考え方である。食パン1斤ができるまでに必要な水は500〜600リットル、ステーキ200グラムが食卓に届けられるのに必要な水は、約4000リットルであるといわれている。東京大学の沖大幹助教授らは、仮想水の総輸入量は約640億立方メートル/年と推計しており、これは、日本国内での総水資源使用量約900億立方メートル/年の3分の2程度にあたる。また、そのうちの約6割がアメリカからであると推計している。ミネラルウオーターなどの輸入量は2000年において年間19.5万立方メートルであることから、年間3000万トンに及ぶ輸入食糧に含まれる間接的な水量は、直接的な水の輸入量よりはるかに多いものと考えられる。ただし、単位面積あたりの収量は環境によって異なるため、ある製品の単位量を生産するのに必要な水量は、国によって異なることに注意が必要である。
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