『日々の映像』

2007年12月19日(水)  福田内閣支持率の急落

 首相は945万件について、「公約違反というほど大げさなものなのか」と語った。さらに「公約でどう言っていたか頭にさっと浮かばなかった」と、国民の神経を逆なでするような言葉も飛び出した。これでは支持率が急落するわけだ。支持率は調査新聞によって、かなりの違いがある。ここでは12月16日の日経の調査を参考とした。

 日本経済新聞社が14〜16日に実施した世論調査で、福田内閣の支持率が43%と11月の前回調査より12ポイント低下した。不支持率は13ポイント上昇の46%となっている。ヤフーの調査によると、支持は24・1%に減少する。更にネット調査によると、なんと支持3・1%不支持96.9%となっている。

 兎も角、国民が納めた保険料が分からないと言う大失態に対する厚生労働相と福田首相の発言が余りに軽いことが、支持率急落の原因だと思う。


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内閣支持43%に急落、「年金」「防衛省」不満映す・日経世論調査
 
日本経済新聞社が14―16日に実施した世論調査で、福田内閣の支持率が43%と11月の前回調査より12ポイント低下した。不支持率は13ポイント上昇の46%で、9月の内閣発足以来初めて支持を上回った。海上自衛隊によるインド洋での給油活動に関しては「再開すべきでない」が44%を占め、39%の「再開すべきだ」と逆転した。
 内閣支持率の急落は、該当者不明の約5000万件の年金記録について、来年3月までに照合・通知を終える「公約」の実現が困難になったことや、防衛省を巡る一連の不祥事が影響したとみられる。2ケタの落ち込みは安倍前政権で年金記録漏れ問題が参院選の争点に浮上した5月の調査以来。 (2007年12月16日日経21:30)

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「軽すぎる」政治家の言葉はなぜ? 年金問題
2007.12.16 産経新聞

このニュースのトピックス:福田内閣
 誰のものか分からない年金記録約5000万件のうち、約2割が統合困難であることが判明し、「最後の1人、最後の1円まで確実に年金を支払う」という政権公約の実現は絶望的になった。ところが、福田康夫首相や舛添要一厚生労働相からは公約撤回に対する謝罪の言葉は聞かれない。民主党など野党は、1月15日まで再延長された国会で政府・与党を追及していく構えだ。政治家の言葉の軽さに、年金不信だけでなく政治不信も広がりつつある。


言葉の軽さ

 「記録統合作業はエンドレスで、できないこともある」。舛添要一厚生労働相は11日の記者会見で、あっさりと公約断念を表明した。

 来年3月までの照合完了−。なぜ、政府・与党は、できもしない公約をしたのだうか。夏の参院選で、自民党が劣勢を盛り返そうと、誤解を承知で誇張し過ぎた結果、公約の中身が変質したことに原因がある。

 「最後の1人まで記録をすべてチェックし、正しく年金を支払う」。

 参院選前、安倍晋三首相(当時)が何度となく街頭演説で使ったフレーズだ。自民党は「5000万件を1年間ですべて統合できる」とのチラシを作成した。政府や自民党は記録の持ち主の手がかりを探すための作業に過ぎない「照合」と、記録の持ち主を特定し修正する「統合」を、しばしば混同して使った。

 この結果、「来年3月までの照合完了」は「来年3月までの問題解決」として国民に浸透していった。自民党のチラシについては、野党が何度も国会で取り上げ批判したが、明確に訂正されることはなかった。

 福田康夫首相も10月3日の衆院本会議で「来年3月までに実施する」と安倍政権の作業スケジュールの踏襲を明言。舛添氏は「最後の1人、最後の1円まで確実にやる」とさらに踏み込んだ。

 だが、福田政権は、国民が年金記録の公約をどのように理解しているのか、あまり気に留めていなかった節がある。

 首相は945万件について、「公約違反というほど大げさなものなのか」と語った。さらに「公約でどう言っていたか頭にさっと浮かばなかった」と、国民の神経を逆なでするような言葉も飛び出した。

 14日には「誤解を招いたという意味では、説明した人の責任でもある」と謝罪を口にしたが、これは混乱を招いたことをわびただけとみられる。「みなさんが公約違反だと決めつけているから、いくら抗弁しても、なかなか説明するのは難しい」とも述べているためで、相変わらず公約違反との認識は持っていないようだ。

 安倍政権は年金対応のまずさがきっかけで支持率が急落した。それだけに、与党内では、福田首相の発言と世論の温度差の乖離(かいり)に懸念が広がりつつある。

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なぜ特定困難?

 社会保険庁が発表した5000万件の内訳によると、照合プログラムで基礎年金番号と統合可能な記録は全体の2割の1100万件だ。これに対して、4割にあたる1975万件は手作業で手書き台帳などにさかのぼらなければならず、そのうち945万件は、手書き台帳と照合したとしても統合が困難であることが分かった。

 どうして、多くの記録の統合困難となったのだろうか。社保庁によると945万件の大半は、(1)社保庁職員のオンラインシステムへの入力ミス(2)加入者が就職条件をクリアするために氏名や年齢を虚偽申請(3)企業が節税対策で架空の人物を届け出ていた(4)海外に移住したり、かつて日本で働いていた外国人の記録−とみられるという。

 (1)の場合、データのどの部分が間違っているのかが分からず、無理に類推すれば別人の記録と混同する可能性も高まる。(2)と(4)は、本人や企業からの申し出がない限り手がかりをつかむのは難しい。(3)は、持ち主が現れるはずもない。

 945万件以外も統合作業が簡単だとは言い難い。社保庁は照合プログラムの一致条件を広げるなどして、さらに調査を行うが、最後は手書き台帳との照合が必要だ。ところが、手書き台帳には戦災で焼失したり、劣化で判読不能になっているものもあるためだ。

 死亡とみられる280万件や結婚で姓が変った510万件は、記録確認を促す「ねんきん特別便」の送りようがない。社保庁は自治体の広報などで呼びかけるが、遺族年金などの仕組みを詳しく知らない人は少なくなく実効性は未知数だ。
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年金記録紛失問題をめぐる主な発言

【7月12日】

・最後のお1人にいたるまで、記録をチェックし、まじめにこつこつ保険料を納めた方々にしっかりと正しい年金をお支払いする(安倍晋三前首相)

【8月28日】

・5000万件は「最後の1人、最後の1円まで確実にやる」ということで取り組む(舛添要一厚生労働相)

【10月3日】

・平成20年3月までをめどに、基礎年金番号に未統合の5000万件の年金記録について名寄せを実施し、記録が結びつくと思われる方に加入履歴を送る(福田康夫首相)

【10月31日】

・どうしても分からない記録が出ることはあり得るが、9割以上順調に進めば、作業が失敗という評価にはならない(舛添厚労相)

【11月21日】

・選挙のスローガンだから、いい加減に言った話ではない。そういう意気込みでやるし、現実に一生懸命やっている。ただ「来年3月までに最後の1人、最後の1円まで」とは言っていない(舛添厚労相)

【12月11日】

・統合作業はエンドレスだ。できないこともある(舛添厚労相)

・選挙中だからある程度簡素化して言ってし

まった(町村信孝官房長官)

【12月12日】

・公約違反というほど大げさなものなのかどうかね、と思いますけどね(福田首相)

【12月13日】

・公約でどういう風に言っていたかが頭にさっと浮かばなかったから、「公約違反というほど大げさなことではないのではないか」と言った(福田首相)

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石田ふたみ