『日々の映像』

2007年12月12日(水)  世界で最初に海底に沈む国

 日本には「臭いものには蓋をしろ」という特技があるようだ。東電の断層情報も都合の悪い情報なので蓋をしていたのである。海面上昇の問題について、政府の公式見解を聞いた覚えがない。かなりの情報を把握しているはずであるが、都合の悪い情報なので蓋をされているように思う。

 12月12日東京都の石原慎太郎知事が世界で最初に海底に沈む国といわれる島国のツバルを訪問している。この訪問は大きく扱われていないので、知っている人は少ないようだ。島国ツバルは、平均標高は約2メートルと、まさに水面すれすれの国土で最初に海底に沈む国とも言われている。

 この国のデーターによれば、1993年から2005年までの13年間は年平均で5.7ミリ、海水面が上昇したと言う。

     5.7ミリ×13年=74.1センチ

「島の住民の多くは海水の上昇を信じていなかったが、最近ようやく、誰もが実感するようになった」という。この1年で5.7ミリという数字は、驚異的である。このデーターが正しいとすると、100年で5.7メーター海面上昇があるとの予想が成り立つのである。ツバルは、50年以内に海底に沈むことになる。

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島国のツバル、海面上昇で緊急対策を提案…COP13

【バリ島(インドネシア)=佐藤淳】高潮から島を守る貯水池や、塩水に耐えられる穀物の導入などの緊急対策を――。(2007年12月8日2 読売新聞)


 南太平洋の島しょ国ツバルは8日、気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)で、海面上昇に脅かされる島国を救う緊急対策を提案した。島しょ国は、暴風雨や高潮の頻発ですでに国の存立が脅かされているとし、2010年までに必要な資金を国際協力で準備するよう求めている。
 ツバルは、このほかに洪水や高潮で被害を受けそうな住宅の移転、暴風雨に強い住宅の導入、地下水への塩水の浸入で不足する飲み水の確保、高波を緩和する植林など、具体的な対策を示した。実際に被害が発生した際、損失を穴埋めするための国際的な保険制度を作ることも求めている。
 島しょ国グループの代表は8日の記者会見で、「緊急に対策が取られなければ大量の環境難民が出てしまう」と訴えた。
(2007年12月8日22時25分 読売新聞)
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 地球温暖化による海面上昇の結果、「世界で最初に沈む国」といわれる南太平洋の島国・ツバル。
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/86228

被害の実情を確かめるため、東京都の石原慎太郎知事が今月12日に同国を訪れ、大潮のときには冠水する広場などを視察した。平均標高は約2メートルと、まさに水面すれすれの国土はこの先どうなってしまうのか。水没しつつある島国の実情を探った。(溝上健良)

■ようやく実感

 国際空港の滑走路では子供たちがサッカーに興じていた。
 首都・フナフティにある空港に隣国のフィジーから定期便が来るのは、週に2回だけ。そのときはサイレンが鳴って全員避難するが、普段は滑走路も格好の遊び場だ。

 滑走路の北側にある集会場は、浸水被害の“名所”となり、近年は外国人見学者が増えている。

 町役場職員のアピネル・ティリさん(47)は、「昨年2月の大潮のときには、床上浸水ギリギリのところまで海水が上がってきた。来年は浸水するだろうよ」と話す。「島の住民の多くは海水の上昇を信じていなかったが、最近ようやく、誰もが実感するようになった」とも。

■年5.7ミリ上昇

 政府のペペトゥア・ラタシ気候変動対策官によると、1993年から2005年までの間、ツバルでは年平均で5.7ミリ、海面水位が上昇した。それに伴って海岸浸食も進み、海岸線の後退が問題となっている。

 その実例が、フナフティの北西約15キロにある南北約250メートル、幅100メートル足らずの無人島・テプカ島だ。小舟にゆられること40分、島に上陸してみると、海岸線が削り取られ、根元を波に洗われたヤシの木が何本も横倒しになっていた。

 案内してくれたエセラ・フォエタシさん(31)は、「このあたりでは年に1メートルくらい、海岸線が後退している。あそこのヤシの木も、来年の今ごろは海の中だ」とポツリ。遠浅の海に潜ってみると、10メートルはあろうかというヤシの木が数本、海底に横たわっていた。

■大潮で道浸水

 満潮時に直径30メートルほどになるバサファ島にも寄ってみた。海に浮かぶ盆栽のような美しい島だ。サンゴ砂が吹き寄せられて、ここ10年で島はむしろ大きくなっているというが、これ以上、海面水位が上昇すればひとたまりもない。

 海面水位の上昇が、国民生活へ与える影響も。

 現地のタクシー運転手(47)は、「大潮のときは道路は一面、水浸しだよ」と苦笑いする。海に囲まれていることもあり、この国では車の耐久年数は短い。浸水が繰り返されれば、さらに車の傷みもひどくなる。

 高潮に伴って地面から塩水がわき出すため、塩害で耕作できなくなったタロイモ畑も出ている。

 「海水温の急激な変化でサンゴの死滅もみられ、近海の漁獲量も減っている」(ラタシさん)

 日本よりも人口密度が高いツバルでは、食糧の自給もままならなくなり、缶詰など加工食品の輸入が増えている。

■政府も省エネ

 よりよい生活を求めて、海外移住を目指す人は年に100人以上。移民申請の代行業もしている国会議員のカウセア・ナタノさん(50)は「みんなツバルを愛し、後ろ髪を引かれる思いで出ていくんだ」と嘆く。

 危機感を強めたツバル政府も自ら、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減に動き始めた。政府庁舎のエアコンは午後4時で停止。バイオ燃料の導入も始めたほか、来月からは関西電力の協力で、サッカー場の観客席の屋根に40キロワットの太陽光発電パネルを設置する工事も始まる。

 電力はすべてディーゼル発電に頼っているが、太陽光で国の電力の1%強をまかなう計画だ。ラタシさんは「他国に要求するだけでなく、自らも排出を減らし、大国にアピールしたい」と語る。

 沈みゆく国土を救うために、何ができるのか。日本をはじめ、各国の取り組みも問われている。

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【用語解説】ツバル
 日付変更線に近い、総面積約26平方キロメートルの赤道直下の島国。約1万人が9つの島に分かれて暮らしており、人口密度は日本より高い。国土はサンゴ礁からなり、標高は高いところでも5メートル程度。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、地球温暖化の影響で今世紀中に海面水位は18〜59センチ上昇するとされているが「この数値は過小評価だ」との意見もあり、今世紀中にツバルの国土全体が水没する恐れも指摘されている。

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石田ふたみ