『日々の映像』

2007年11月03日(土) 食品偽装の通報者

食品偽装の報道が毎日のように続いている。偽装が明らかになれば、その事業所は閉鎖に追い込まれるという認識がどうして乏しいのかが分からない。違法を従業員に指示すれば、必ず外部に流れるという時代性の認識がどうして乏しいのかが分からない。

「食品表示の厳正化を求める声が高まるにつれ、こうした通報が増えてきた。農水省が設置する「食品表示110番」では、今年5月までは通報件数が、月平均100件程度だった。だが、ミートホープ社の偽装事件以来急増し、9月は300件を超えた」(読売社説から)経営者は違法行為を指示すると、従業員が食品表示110番に通報するという前提に立つ必要があるのだ。ここに理解が届かず「違法行為でも社員は会社の言うこと聞く」と思っている経営者はアッポンタンと言わざるを得ない。

1、伊勢市の和菓子メーカー「御福(おふく)餅本家」違法行為、
2、ドッグフード製造・販売会社「サンライズ」ペットフードも偽装
3、食肉製造加工会社「ミートホープ」の牛肉偽装
4、北海道土産として知られる「白い恋人」偽装で操業停止に追い込まれる。
5、秋田県大館市の食肉加工会社「比内鶏」だ。あきれた不正の数々の違法行為が暴かれている。

再度確認しておこう。「赤福」「比内鶏」とも、農林水産省や秋田県への通報で偽装が明らかになった。この通報は「内部関係者」(読売社説から)からとみられているのだ。

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福田首相:相次ぐ食品や建材偽装、法点検を指示
 福田康夫首相は1日、食品や耐震偽装などの問題が相次いでいることを受け、首相官邸に岸田文雄国民生活担当相を呼び、国民生活に関係する法律や制度、事業を総点検するよう指示した。生産第一から、消費者を重視した行政への転換をアピールする狙いがある。首相は「食べる、働く、つくる、守る、暮らす」という五つの観点を提示。緊急を要する施策は年内にまとめるよう求めた。
毎日新聞 2007年11月2日 東京朝刊

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御福餅:先付け行為27年前から常態化
 三重県伊勢市の和菓子メーカー「御福(おふく)餅本家」で製造日表示などの偽装の疑いが発覚した問題で、県は30日、伊勢地域以外に出荷される商品に対して同社が、製造日表示を実際の製造日の翌日にして、消費期限を延長する「先付け」を日常的に続けていた疑いがあることを明らかにした。
 県によると、先付けは伊勢地域を除く名古屋、大阪方面と大手スーパー向けに出荷される商品に対して少なくとも27年前から行われ、消費期限を1日延長していた。小橋正生社長が就任していた80年には既に行われていたという。このほか、原材料表示についても、重量順に表示しなければならないのに、最も使用量の多い砂糖を小豆の次に表示していた疑いがある。小橋社長が29日に県伊勢保健所を訪れ、自主申告した。【田中功一】
毎日新聞 2007年10月30日 22時19分 (最終更新時間 10月30日 23時14分)

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ペットフードも偽装…使ってないのに「ササミ」「ビーフ」
 ドッグフード製造・販売会社「サンライズ」(大阪市中央区)が、看板商品の原材料名について、実際には使っていないのに「ササミ」「ビーフ」と表示するなどして販売していたことがわかった。

 ペットフードを巡っては直接規制する法令がなく、農林水産省と環境省が法規制を視野に検討を進めている。今回の問題は、今後の検討に影響を与えそうだ。
 問題の商品は、「ほねっこ」「ゴン太のふっくらソフト」。1か月あたりの出荷量はそれぞれ約80トンと約770トン。読売新聞が24日、不正表示について文書で質問したところ、サンライズは30日に事実関係を認めた。「ほねっこ」の一部は今年2月から10月にかけ、ササミを使っていないのに原材料名に表示し、混入した白身魚は表記していなかった。「ふっくらソフト」は昨年10月から今年7月にかけ、牛肉を使用していないのに「ビーフ」と表示していた。
 同社は「ササミを調達できない時、栄養価を落としてはいけないと考え、代わりに魚を入れた」などと説明。中田立治社長もこれらの事実を把握しており、「認識が甘かった」と話しているという。
(2007年10月31日3時1分 読売新聞)
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食品偽装 消費者を裏切ったツケは大きい(10月25日付・読売社説)
 
食品偽装で消費者を裏切ったツケは、極めて大きいということだろう。
 今年夏に明らかになった北海道苫小牧市の食肉製造加工会社「ミートホープ」の牛肉偽装事件で、社長ら経営幹部4人が、北海道警に逮捕された。
 ミートホープ社は、すでに経営破綻(はたん)した。北海道土産として知られる「白い恋人」を製造していた札幌の石屋製菓も、偽装で操業停止に追い込まれている。
 こうした“教訓”を学ばず、またもや別の偽装が発覚した。三重県伊勢市の老舗和菓子メーカー「赤福」と、秋田県大館市の食肉加工会社「比内鶏」だ。あきれた不正の数々が暴かれている。
 「赤福」と「比内鶏」の経営トップは偽装が日本農林規格(JAS)法など、法律に触れることを知らなかったはずがない。長年違反を続け、商品を購入してきた消費者をだました責任は重い。
 食品を扱う企業のトップは、改めて法令順守を胸に刻んで、経営に当たらねばならない。
 「赤福」と「比内鶏」では、偽装の手口が違うが、「消費者にはわからないはず」と、高をくくった姿勢は同じだ。
 「赤福」は、主力商品の赤福餅(もち)について、「製造したその日限りの販売」をうたいながら、冷凍保存した商品を販売していた。製造月日を偽っていたわけだ。消費期限切れの売れ残り商品の餅とあんを、新しい商品に再利用もしていた。
 創業300年を誇る「赤福」の現社長は11代目で、役員はほとんどを親族で占めている。同族経営ゆえの、現場の声がトップに伝わりにくい体質が、長年の不正を許す結果を招いた。
 一方の「比内鶏」は、日本3大地鶏の一つとされる比内地鶏を使ったとして薫製などを製造していたが、その商品には比内地鶏は使われていなかった。賞味期限もごまかしていた。
 社長は、偽装の中止を求める他の役員の訴えに耳を貸さなかったという。ワンマン経営が行き過ぎたということだ。
 「赤福」「比内鶏」とも、農林水産省や秋田県への通報で偽装が明らかになった。内部関係者からとみられている。
 食品表示の厳正化を求める声が高まるにつれ、こうした通報が増えてきた。農水省が設置する「食品表示110番」では、今年5月までは通報件数が、月平均100件程度だった。だが、ミートホープ社の偽装事件以来急増し、9月は300件を超えた。
 偽装に対する監視の目は、以前より一段と厳しくなったことも、経営陣は銘記すべきである。
(2007年10月25日1時27分 読売新聞)

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石田ふたみ