『日々の映像』

2007年11月02日(金) 5千万件解明は出来ないだろう


年金の不明5千万件のことをここで記述する気分になれない。今回の事態は日本の社会に計り知れない打撃を与えている。どんな打撃か。言うまでもなくなく、官僚・官組織に対する決定的な不信感である。ここでは、ニュースの目次のみを掲げたい。時間のある方は、あきれる内容に目を通してください。

「歴代社保長官に最大の責任」不明年金で検証
2007年10月31日  読売新聞
社保庁の歴代長官、責任最も重い 5千万件解明ならず
2007年10月31日2 朝日新聞
社保庁長官らの責任指摘・総務省検証委が最終報告
               2007年11月1日 経済新聞
歴代長官の罪「最も重い」年金検証委が最終報告
2007年10月31日 産経新聞
【年金問題報告書9】「手口、誤り発見する仕組み作れ」
【年金問題報告書8】「責任の第一は職員だ」
【年金問題報告書7】「社保庁に3つの組織的欠陥」
【年金問題報告書6】「横領、まだあり得る」
【年金問題報告書5】「今もない業務観察」
【年金問題報告書2】「社保庁に安易な考え」
【年金問題報告書4】「システムの検証・評価・改善すべて怠る」
【年金問題報告書3】「5000万件」発生の経緯
【年金問題報告書1】「責任感欠如が根本問題」

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「歴代社保長官に最大の責任」不明年金で検証委
 
年金記録漏れ問題の発生原因や責任を検証する、総務省の有識者会議「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)は31日、歴代の社会保険庁の長官や幹部職員の「責任が最も重い」などとした最終報告書をまとめ、増田総務相に提出した。

 報告書は、約5000万件の該当者不明の年金記録のうち、約4割が生存者か死亡者かもわからない年金記録である可能性が高いことを明らかにした。
 焦点の責任の所在について、社保庁長官のほか、厚生労働省の次官や関連する幹部も「重大な責任がある」とし、厚労相(厚相)は「統括者としての責任は免れない」と指摘した。現行の年金オンラインシステムの開発業者についても「システム開発の各段階で不備のデータの存在については認識していた。責任は免れない」と言及したほか、社保庁の職員団体(労組)も「待遇改善に偏りすぎた運動を展開し、年金記録の適切な管理を阻害した責任がある」とした。ただ、責任者の個人名には言及しなかった。
 問題が発生した直接的な原因として、年金記録の管理方法が紙台帳から磁気テープ、オンライン化へと変更される過程での入力ミスなど様々な要因によって、記録の統合に必要な氏名や生年月日、性別などが間違ったり、空欄になっている記録が残ったことを指摘。
 年金加入者の申請があって初めて記録を訂正するという「裁定時主義」にあぐらをかき、「誤りを把握・検証・補正する組織的な取り組みが行われなかった」と断定した。
 また、該当者不明の年金記録約5000万件から7840件を抽出して、住民基本台帳ネットワークと突き合わせた結果、約33・6%が「生存の可能性が高い人の記録」、約27・9%は「死亡または受給資格がない人の記録」。このほか「特定できない記録」が約38・5%に上ったことを明記した。
 最終報告を受けて、舛添厚生労働相は、厚労相が給与20%を2か月分(総額54万2000円)、厚労副大臣、政務官、事務次官、社保庁長官がいずれも給与10%を2か月分(総額28万8000円〜21万2000円)返納する方針を示した。
 福田首相は31日、首相官邸で記者団に「(来年3月末までの名寄せ完了という)政府の方針を着実に進めていくことが大事で、それが責任の取り方だ」と述べた。
(2007年10月31日23時19分 読売新聞)
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社保庁の歴代長官、責任最も重い 5千万件解明ならず
2007年10月31日22時13分 朝日
 社会保険庁のずさんな年金記録管理の原因を究明する総務省の「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)は31日、最終報告書を発表した。「記録を正確に保管・管理するという使命感、責任感が厚生労働省、社保庁に決定的に欠如していた」と批判し、歴代社保庁長官を始めとする同庁幹部の責任を「最も重い」とした。また、「宙に浮いた年金記録」約5千万件からの抽出調査で、少なくとも1割で受給漏れが起きている可能性が分かったが、被害の全体像の解明には至らなかった。
 松尾氏は31日夕、増田総務相に最終報告書を提出。「特定の時期に特定の個人に責任を求める事柄ではなく、それぞれの職にある者が職責を果たしてこなかった積み重ねが深刻な事態を招いた」との座長談話を出した。
 報告書では、宙に浮いた年金記録が発生した原因として、紙台帳から磁気テープ、コンピューターのオンラインへと記録管理方式が変更されるたびに入力ミスなどが蓄積されたと指摘。本人からの受給申請をもとに年金額を決めるときに記録を直せばいいとする社保庁の「裁定時主義」(申請主義)という安易な運営方法の結果、不正確な記録が「放置」されたとした。
 記録が統合されていない原因解明のため行った7840件の抽出調査では、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)との照合で33.6%の生存を確認。そのうち60歳以上の記録が3割を占めることがわかった。これを抽出調査の対象全体でみると1割程度になる。
 社保庁はこれまで「宙に浮いた記録の持ち主のうち60歳以上の人の分は、大半がすでに死亡しているか、加入期間が短くて受給資格がないものだ」と説明してきたが、実際には相当数の受給漏れが発生している可能性を裏付けた。
 ただ、結婚による姓の変更や入力ミスなどで本人を特定できなかった記録も38.5%あったため、受給漏れの人数や総額は不明だ。
 また、報告書では、入力済みのコンピューター記録も正確さに欠け、名前が欠落したものが9.6%あるなどとしており、政府が来年3月までに実施するとしている5000万件の照合作業に支障が生じる可能性がある。
 本人が納めたはずの保険料の記録が残っていない「消えた年金記録」については、「入力ミスのほか、職員らによる横領が原因である可能性」を指摘。過去の保険料をさかのぼって納めることができる「特例納付」制度の悪用などの例を挙げ、公表済みのケース以外にも「横領事案が発覚せず、伏在している可能性は否定できない」とした。
 一方、こうした不祥事を招いた責任については、歴代社保庁幹部への指摘のほか、事務次官ら厚労省幹部に対しても「重大な責任がある」とした。歴代厚相、厚労相についても「組織の統括者としての責任は免れない」とするなど、立場ごとに表現を変えて言及した。ただ、それぞれについて、個人の具体名には触れなかった。

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社保庁長官らの責任指摘・総務省検証委が最終報告
11月1日日経
 年金記録漏れ問題の原因究明や責任を追及する総務省の年金記録問題検証委員会(座長、松尾邦弘前検事総長)は31日、最終報告書をまとめ、増田寛也総務相に提出した。社会保険庁によるずさんな記録管理を批判し、歴代長官や幹部職員の責任が「最も重い」と指摘。人事などガバナンス(統治の体制)の欠如が無責任体質をまん延させたとして、誤りを発見・是正する仕組みを構築するよう求めた。
 最終報告では厚労省と社保庁の年金記録管理への基本姿勢を問題視。年金加入者が年金給付の裁定を請求した時点で記録を確認すればよいとする申請主義を「裁定時主義」と位置付け、「安易で、厳密な姿勢を欠いている」と批判した。年金記録の正確性を担保するには「本人に定期的に年金記録を確認する仕組みを制度化すべきだった」との認識を示した。(23:33)
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歴代長官の罪「最も重い」年金検証委が最終報告
2007.10.31   産経新聞
 年金記録紛失問題の原因究明を行う「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)は31日、最終報告書をまとめ増田寛也総務相に提出した。責任の所在について歴代の社会保険庁長官ら幹部の責任が「最も重い」と指摘。厚相・厚生労働相らの監督責任にも言及したが、個人名はあげなかった。一方、基礎年金番号に未統合の5000万件のサンプル調査の結果、入力ミスなどで該当者の特定に支障が生じる可能性のある記録が38.5%にのぼったことも明らかにした。
 松尾座長は31日の記者会見で「二度と繰り返さず、国民の信頼を一刻も早く回復できるよう、検証結果を記録問題解決や社保庁改革に必ず生かしてほしい。今回膿(うみ)を出し切り改革することで50年、100年後に評価されるようにしなければならない」と強調した。
 報告書は、問題を起こした根本原因として「国民の大切な年金記録を正確に作成し、保管・管理する使命感、責任感が決定的に欠如していた」と厳しく批判。加入者らが年金請求を申し出た際に記録修正すればいいという「裁定時主義」の事務処理方法にも問題があったとした。
 その上で、入力ミスや誤った読み仮名のまま氏名入力された記録がありながら業務引き継ぎをしっかり行わず、「氏名・生年月日・性別」の3要素が完全一致することを条件とした名寄せ作業を行ったため、膨大な記録が統合されずに残ることになったと結論付けた。
 組織上の問題点についても言及。「三層構造」と呼ばれる社保庁特有の閉鎖的な人事体制によって「年金記録を探し出すノウハウが組織的に活用されなかった」としたほか、オンライン化などに反対した労働組合については「自分たちの待遇改善を目指すことに偏り過ぎ、年金記録を正確に保つ使命感や視点が希薄になった」と批判した。
 責任の所在については歴代社保庁長官や幹部のほか、事務次官ら厚生労働省の監督責任も明記。歴代厚相・厚労相についても「組織上の統括者としての責任は免れない」とした。ただ、ずさんな記録管理は長年にわたり、特定の個人の責任を問うのは困難と判断して個人名の明記を避け、あいまいさを残した。
 報告書は検証委員会が、住民基本台帳ネットワークの情報と突き合わせて行った5000万件のサンプル調査結果も盛り込んだ。記録の該当者の特定に支障が生じる可能性のある38.5%を、5000万件にあてはめて計算し直すと1900万件超となる。38.5%以外にも不正確データの存在も指摘しており、ずさんな記録管理の実態が改めて裏付けられた形。政府は全記録の統合作業を進める考えだが、難航も予想される。
【年金問題報告書9】「手口、誤り発見する仕組み作れ」
【年金問題報告書8】「責任の第一は職員だ」
【年金問題報告書7】「社保庁に3つの組織的欠陥」
【年金問題報告書6】「横領、まだあり得る」
【年金問題報告書5】「今もない業務観察」
【年金問題報告書2】「社保庁に安易な考え」
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【年金問題報告書3】「5000万件」発生の経緯
【年金問題報告書1】「責任感欠如が根本問題」


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石田ふたみ