『日々の映像』

2007年09月07日(金) 年金不祥事2〜3 日のニュース

09月04のMOONさんの日記を引用しよう。
「全くうんざりするようなニュースだ。
次から次に、ボロボロと
よくもまあ、でてくるもんだ。
公務員個々人のモラルの問題を通り越して
行政組織そのものの金属疲労というか
構造的劣化をきたしているとしか思えない。

これから年金の財源を支えていくのは若者である。
結果的に若者に対して年金不信、政治不信を植えつけている
という観点で、実に罪深い。

結果的に、イメージとして明るい未来を描けないという
今日的な状況を生み出している。」
全くこの通りである。

年金不祥事の2〜3日のニュースを収録しておこう。
1、<年金着服>計99件、総額3億4274万円  毎日新聞
2、半数近く刑事告発せず 社保庁職員の年金横領 産経新聞
3、企業年金124万人未払い、総額1544億円に・連合会発表 日経
4、社保庁、厚年基金と記録照合・08年度中に  日経
5、年金連合会、不動産開発に投資・大手と連携、賃料収入を期待
6、厚生年金基金
7、 確定拠出年金、8万人分の年金記録が放置  読売
8、年金横領 国民が納得できる追及が必要だ 読売社説
9、厚労相「盗っ人は最後の一人まで」…年金着服で徹底調査へ 読売




1、<年金着服>計99件、総額3億4274万円 社保庁調査
(毎日新聞 - 09月03日 21:51)
 社会保険庁は3日、社保庁職員と市町村職員による年金保険料の着服や不正受給が計99件あり、総額3億4274万円に上ると発表した。また、公的記録が一切ないのに、加入者保管の領収書などで年金記録が新たに180件訂正されたことも公表。こうした「消えた年金記録」の背景に、保険料の着服などがあると指摘されているが、同庁は「関連性は分からない」と述べるにとどまった。

 発表によると、社保庁職員の年金保険料などの着服や不正受給は、同庁発足の62年からこれまでに50件で総額1億4197万円。市町村へのアンケート方式での調査では、市町村職員による国民年金保険料の着服は、23都道府県45市区町村(不正当時)・納付組合で49件、計2億77万円に上る。

 社保庁職員による着服の内訳は、▽年金保険料22件約3365万円▽年金給付金14件約8047万円▽健康保険料などその他15件約2784万円(同一職員による重複あり)。全50件のうち今回初めて公表したのが18件で、過去に報道機関の取材で明らかになったケースを除くと、積極的に公表していたのは24件だけだった。

 41人が懲戒免職処分となったが、処分前退職で処分できなかったケースも5件、職員が行方不明になるなどして3件では被害額が補てんされなかった。また、27件について刑事告発しており、うち11件が有罪になったという。

 市町村職員による着服は、市町村職員が国民年金保険料の収納業務を行っていた01年度までの間にあり、北海道、青森、秋田、千葉、長崎の各道県内の市町で4件ずつあった。京都府与謝野町(旧岩滝町)のケースなど2件は被害金額も判明しなかった。

 今回明らかになった180件以外に、加入者の保管する領収書などで年金記録が訂正されたケースはこれまで55件が判明している。「消えた年金記録」と、職員の着服との関係について、会見で鈴木俊彦・企画課長は「推計できるに至らなかった。判断できない」と述べた。【野倉恵】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2、半数近く刑事告発せず 社保庁職員の年金横領
 社会保険庁や自治体職員が3億4300万円もの年金を横領・着服していた問題で、社保庁職員による事件50件のうち15件は、警察に相談もせず社保庁の“自主判断”で刑事告発を見送っていたことが分かった。横領した職員を依願退職扱いにするなど身内に甘い処分をしたケースもあった。舛添要一厚生労働相は6日、増田寛也総務相らに全容解明への協力を要請するが、横領が年金記録紛失の一因になっているとの指摘もあり、調査が手間取れば新たな年金不信を招きかねない。
悪質な手口
 今回明らかになった99件の横領・着服には、悪質な手口が少なくない。社保庁職員による横領で最も額が大きかった愛知県の半田社会保険事務所(約4444万円)では、年金給付係長がオンライン端末を不正操作し、自分の親などを架空の年金受給者に仕立て上げ、厚生年金を不正に受け取っていた。
 さらに複雑な手口だったのは蒲田社会保険事務所(東京都)のケース。年金専門官が平成6年8月から4年1カ月にわたり、加入者から預かった国民年金保険料約1266万円を着服。さらに、未払い期間が長く年金受給資格を満たしていない複数のオンライン記録を書き換えて計約2645万円を不正受給させ、これらの“受給者”から謝礼金の形で「分け前」を受け取っていた。年金専門官は事件発覚後に自殺し、被害額は弁済されていない。
 自治体職員の横領で最も大きかった昭和56年の岡山県寄島町(現浅口市)のケースでは町民課主事が、地元の婦人会が徴収した国民年金保険料の一部約6245万円を着服。主事は領収書の控えを破棄し、上司には手書きのメモで徴収金額を報告する隠蔽(いんぺい)工作をしていた。
積極的に公表せず
 社保庁はこうした横領・着服事件を長年、積極的に公表してこなかった。今回明らかになった社保庁職員の横領50件のうち18件は未公表。「公表」扱いとされた32件のうち8件も報道によって明らかになったケースで、社保庁が自主的に公表したものではない。
 社保庁が原則公表するようになったのは平成10年度から。城東社会保険事務所(大阪府)が国民年金保険料の横領などをした職員を依願退職させるなど、内々に処理していたことが発覚したためだ。甘い対応に批判が集まり、平成11年2月に宮下創平厚相(当時)が「今後は懲戒処分にしたものはきちんと公表し、刑事告発や会計検査院への報告も適切に対応したい」と表明したことがきっかけだった。
新たな告発は…
 さらに、社保庁職員による横領50件のうち22件は刑事告発しておらず(1件は不明)、15件は警察当局に相談もせずに社保庁の判断で見送っていた。社保庁は15件について「当時『社保庁内部で処分したから』『損害を弁済している』といった判断があった」と説明している。
 自治体でも、栃木県藤原町(現日光市)の住民課年金係主査が昭和59〜62年度に約5736万円を着服していたケースでは、保険料の免除申請書を偽造し、加入者に督促状が届かないよう工作する悪質な手口にもかかわらず、「懲戒免職処分を受け、全額返済されている」との判断で、刑事告発が見送られた。
 舛添厚労相は、刑事告発がされていないケースについて「横領をした連中は、きちんと牢屋(ろうや)に入ってもらいますよというのは当たり前だ」として、総務相に首長が率先して刑事告発するよう申し入れる考えだ。ただ、業務上横領罪の時効は7年で、「新たに刑事告発できるケースは限定的」(総務省幹部)という。
(2007/09/06 08:02)  産経新聞
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070906/fks070906000.htm

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3、企業年金124万人未払い、総額1544億円に・連合会発表
 転職した会社員の企業年金の資産を預かる企業年金連合会は5日、60歳以上の受給資格者の約3割にあたる124万人に、本来支払うべき年金を支給していないと発表した。未支給総額は累計で1544億円。転居などで受給者に連絡が取れなくなったのが主因だが、「加入者からの請求が支払いの前提」という連合会の方針が支給漏れ拡大につながった。国民年金などの公的年金と同様に、長期間にわたる年金加入者の管理制度の欠陥が、年金受取額の減少などの被害を呼んだ形だ。
 企業年金連合会の加入者は、転職などで勤務先の企業年金を途中で脱退した会社員や、会社の倒産に伴い解散した厚生年金基金の加入者。死亡者を除き、約2400万人の年金記録を管理している。年金受け取りが始まっている受給資格者は約400万人。
 今回明らかになったのは企業年金の中途脱退者約117万4000人、解散基金の加入者約6万7000人への支給漏れ。合計124万人の未支給者のうち、3万6000人は既に死亡していると推計している。 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070905AT3S0501C05092007.html

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4、社保庁、厚年基金と記録照合・08年度中に
 社会保険庁は、厚生年金基金の年金保険料の納付記録と、同庁で管理する記録の突き合わせを2008年度中に実施する方針を固めた。687(05年度)の基金が提出した被保険者の記録と照合し、食い違いがないかを明らかにする。厚生年金基金の加入者である会社員の記録の納付期間や氏名、住所のミスを訂正して年金支給漏れを防ぐ考えだ。
 社保庁によると、厚生年金基金の加入者は04年度時点で約615万人。企業が基金に通知する加入者の情報と、基金が社保庁に連絡する情報が食い違う可能性があった。(07:01) 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070815AT3S0602K14082007.html

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 5、年金連合会、不動産開発に投資・大手と連携、賃料収入を期待
 国内最大の民間年金基金の企業年金連合会は、2008年度から不動産の開発事業への投資を始める。大手の不動産会社と組んで高層のオフィスビルや商業施設を新たに建設し、テナントから得る賃料収入で年金資産を増やす。最大で運用資産13兆円の5%にあたる6500億円程度を投資に充てる方針。年金マネーの不動産市場への流入が本格化する。
 企業年金連合会は転職などで勤務先の厚生年金基金を脱退したり、基金が解散した会社員の年金資産を引き取って代わりに運用し、年金を給付する民間機関。転職者の増加で運用資産はこの4年間で2倍強に急増したが、現在の運用先は株式と債券にほぼ限定している。株式運用は株価の上下で運用成績が大きく振れる一方、国内債での運用は年2%以下の利回りしか期待できない。(日経)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070815AT3S1401914082007.html

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6、厚生年金基金
 1966年に発足した企業年金制度。企業独自の年金部分と、厚生年金の一部を国に代わって運用・給付する代行部分で構成されている。企業の独自部分だけよりも厚生年金の一部を併せた方が運用効率もよいとして始まった。2005年5月1日時点で全国に781基金ある。ここ数年は資産運用利回りの低迷や加入者の減少で解散が増えている。02年4月からは代行部分を国に返上できるようになり、許可を受ければ、認可時点以降は代行部分を新たに積み立てる必要がなくなった。過去に積み立てた代行部分の資産は03年9月から返上できるようになり、代行返上する基金が増えている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7、確定拠出年金、8万人分の年金記録が放置
 
掛け金の運用方法を加入者自身が決める企業年金の一種「確定拠出年金(日本版401k)」について、2006年度末で約8万人分の年金記録が放置されていることが6日、国民年金基金連合会の調べで明らかになった。

 8万人分の記録は、資産額にして211億円に上る。このまま放置されれば将来の年金給付に結びつかないため、新たな「年金記録漏れ問題」に発展する可能性もある。

 確定拠出年金(企業型)は、労使の合意で企業に導入することができる企業年金で、加入者個人の判断で、掛け金の運用先を株式や投資信託、預貯金などの金融商品から選ぶことが最大の特徴だ。

 連合会によると、年金記録を放置している人は06年度末で8万638人おり、05年度末の4万7264人から約70%も増えた。資産額も、05年度末の133億円から60%近く増加していた。

 記録の放置は、加入者が確定拠出年金を導入している企業から、導入していない企業へ転職したり、導入している企業を退職して会社員の妻ら第三号被保険者になったりした場合に起こる。確定拠出年金の資産は、原則として60歳まで運用を続ける必要がある。60歳以前に転職した場合は、転職先企業の条件によって異なるが、連合会が実施する「個人型」の確定拠出年金に資産を移管するなどの手続きが必要だ。また、退職してサラリーマンの妻になる場合は、資産の「総額が50万円以下」などの条件を満たせば、運用をやめて一時金としてまとめて受け取ることもできる。

 だが、加入者がこうした手続きをとらずに、転職や退職後も資産を放置していると6か月後には自動的に資産が連合会へと移管される仕組みになっている。

 手続きを取らない理由としては、加入者が手続きを忘れていたり、手続きが面倒なためにそのままにしているケースなどが考えられる。連合会では、資産が自動的に移管された際に、加入者へ通知を出しているが、「確定拠出年金は、個人の責任で運用する年金だ。通知などに力を入れすぎて、手数料などが高くなるのも問題だ」としている。

(2007年9月6日20時56分 読売新聞)

-------------------------------------------------------------

8、年金横領 国民が納得できる追及が必要だ(9月5日付・読売社説)
 
年金保険料横領の実態に、誰しも怒りを抑えられまい。

 社会保険庁や市区町村の職員が年金保険料や給付金を横領した事例が、少なくとも計99件、約3億4000万円あった。

 総務省に設置された第三者機関「年金記録問題検証委員会」に社保庁が報告し、初めて明らかになった。

 ただし、これは社保庁と自治体が把握している分だけだ。氷山の一角と見るのが自然だろう。さらに徹底的に追及し、全容を解明しなければならない。

 明白な犯罪行為に対し、社保庁は極めて甘い対応をしてきた。

 社保庁職員による横領50件のうち、刑事告発された事例は27件にとどまっている。18件はこれまで公表すらされていなかった。退職して処分を逃れたケースも5件ある。

 舛添厚生労働相は記者会見で「告発していない事例は今からでも告発する」と明言した。当然である。時効の壁もあるが、厳格に罪を糾(ただ)すことが必要だ。

 自治体職員による横領も49件、2億円を超える。公表されたのは32件止まりで処分状況もはっきりしない。市区町村が年金事務にかかわっていた2001年度まで、杜撰(ずさん)なのは社保庁だけではなかった。市区町村は自らの責任を自覚し、現在進行中の年金記録の回復事務に最大限協力しなければなるまい。

 社保庁報告で、“消えた年金記録”の実例が増えていることも重大だ。

 年金の納付記録が全くないのに、加入者が領収書を保管していたため権利が認められたケースが、新たに180件も判明している。5月時点では55件しか把握されていなかった。

 年金記録の確認に取り組む人が増えたためでもあろうが、短期にこれほど見つかるということは、同様の事例が相当数存在するのではないか。

 なぜ納付記録がないのか。事務上のミスだけでなく、判明していない横領事例が潜んでいる可能性もある。年金記録を回復させれば済む話ではない。これまでの検証委の調査は、踏み込みが足りない。“消えた記録”の経緯をきっちりと調べ上げる必要があろう。

 今回の横領事例のまとめにしても、所詮(しょせん)は社保庁の手によるものだ。検証委は座長を務める松尾邦弘・前検事総長をはじめとして、捜査・調査の専門家で固めた陣容だ。原資料に自ら当たって、社保庁経由では出てこない問題案件をあぶり出してもらいたい。

 どんな不正も見逃さない、厳正な検証報告を聞かなければ、国民は納得しないだろう。

(2007年9月5日1時21分 読売新聞)

---------------------------------------------------------
9、厚労相「盗っ人は最後の一人まで」…年金着服で徹底調査へ
9月6日21時19分配信 読売新聞


 舛添厚生労働相は6日、総務省内で増田総務相と会談し、市区町村の職員による年金保険料の着服について、社会保険庁が行う追加調査への協力を要請した。

 追加調査は、すべての市区町村が対象で、<1>処分の有無とその内容<2>告発の状況、告発された場合は起訴したかどうかや裁判の結果、報道状況<3>返済状況<4>公表状況――の4項目。舛添厚労相の要請を受け、総務省も市区町村に協力を求める要請書を出すことになった。

 会談で舛添厚労相は「盗っ人は最後の一人まで草の根かき分けても探し出すという思いでやって頂きたい」と要請。増田総務相は「甘い処分で済ませることが過去にあった。一刻も早く調査する」と応じた。

最終更新:9月6日21時19分



 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ