『日々の映像』

2007年08月21日(火) 中越沖地震の記録 (41)

1、東電、原子炉の点検始める 柏崎刈羽原発 朝日新聞
2、柏崎刈羽原発「閉鎖すべし」 学者らが声明 朝日新聞
3、原子炉内を異例の「手作業」で点検 東電柏崎刈羽原発 朝日新聞
4、東京電力:電力需要6013万キロワットに 今夏最大 毎日新聞
5、柏崎刈羽原発:科学者や技術者4人、閉鎖求める声明 毎日新聞
6、柏崎刈羽原発:圧力容器の点検開始 ロープでカメラ下ろし 毎日新聞 
7、国内8原発、海底断層調査を追加実施へ 読売新聞
8、柏崎刈羽原発、原子炉圧力容器内で地震の影響調査始まる  読売新聞
9、柏崎刈羽原発の閉鎖を 新潟日報



1、東電、原子炉の点検始める 柏崎刈羽原発 朝日新聞
2007年08月21日19時54分
 東京電力は21日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の原子炉圧力容器内部の点検を始め、様子の写真とビデオを公開した。水中カメラによる点検では今のところ、機器の変形や故障はみられないという。
 この日点検したのは全7基の原子炉のうち、定期点検のために圧力容器のふたを開いていた1号機。高さ22メートルある円筒形の圧力容器の上半分を見た。
 中性子を測る計器が外れたり、核燃料を支える格子板がずれたりする可能性があったが、異常は見つからなかった。1号機の原子炉の点検には今年一杯かかる見通し。全体の点検が終わる時期はわからないという。



2、柏崎刈羽原発「閉鎖すべし」 学者らが声明 朝日新聞
2007年08月21日18時57分
 地震学や材料工学の研究者らで組織する研究者グループが21日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発は「運転再開を前提とせず、閉鎖を視野に事後処理をするべきだ」とする声明を発表した。経済産業省にも声明文を送るとしている。
 発表したのは、「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」。国の新耐震設計の検討会の委員だった石橋克彦・神戸大教授(地震学)や、中性子による原子炉の劣化を研究している井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)ら4人。
 石橋教授は記者会見で「今後も原発周辺で再び大地震が起きる可能性がある」と指摘。かつて原発の設計に携わった田中三彦さんは「重要機器の安全性を検証するのは、事実上地震の揺れをもとにシミュレーションするほかなく、安全解析は不十分だ」と話した。


3、原子炉内を異例の「手作業」で点検 東電柏崎刈羽原発 朝日新聞
2007年08月21日11時17分
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所で21日、地震後初となる原子炉内部の点検が始まった。点検に使用する機器の作動確認が終わっていないため、手作業中心の異例の手順をとっている。
 炉内の点検は通常、重量約35トンの可動式の燃料交換機を炉の真上に移動させ、水中カメラを下ろして、炉内の壁面などを撮影する。
 今回は、燃料交換機の作動確認が間に合わず、モーター類を動かせないため、作業員8人が人力で燃料交換機を炉上に移動。釣り糸を垂らすように、手作業で炉内に水中カメラを入れた。
 1号機は当時、定期点検中で、原子炉圧力容器のふたが開いており、核燃料も取り出されている。点検はまず原子炉上部から始め、9月上旬から炉心周囲を本格的に調べる。2〜7号機は圧力容器のふたが閉まった状態で、ふたを開けるための天井クレーンの安全確認が必要なことから、炉内点検は10月以降になる見通しだ。
 東電は「少しでも速やかに点検作業を進めたい」としている。



4、東京電力:電力需要6013万キロワットに 今夏最大
 東京電力の最大電力が21日、6013万キロワットとなり、今夏一番の電力需要を記録した。6000万キロワット台は今夏初めて。東電は6230万キロワットの電力供給を確保していた。しかし、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が停止しているため、電力需給は逼迫(ひっぱく)しており、当面厳しい綱渡りが続く。
 この日は、埼玉県熊谷市で最高気温が36.7度になるなど関東各地で35度を超える猛暑日になり、冷房設備がフル稼働。それに、オフィスや工場の本格操業が重なり、電力需要が膨らんだ。
 東電は電力供給が不足する場合に備え、停止していた塩原水力発電所(出力90万キロワット、栃木県那須塩原市)を緊急運転するため、準備を完了。さらに、「随時調整契約」を結んでいる大口需要家に操業の一部停止を要請する検討も始めていた。しかし、同日の最大電力は想定の範囲内だったため、塩原発電の緊急運転や随時調整契約の発動は見送った。
 東電によると、気温が30度を超えると、1度上昇するごとに電力需要は170万キロワット増える。このため、同社は緊急時に備えるとともに、さらなる節電を一般家庭やオフィスに呼びかけている。【内山勢】
毎日新聞 2007年8月21日 18時42分



5、柏崎刈羽原発:科学者や技術者4人、閉鎖求める声明 毎日新聞
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発について、石橋克彦・神戸大教授(地震学)や井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)ら科学者や技術者4人が21日、閉鎖を求める声明を発表した。
 4人は、原子炉内部の被害状況が不明のまま「損傷は予想を下回った」とする報告書を公表した国際原子力機関(IAEA)の姿勢を批判。(1)一帯は地震活動度が高く今後も大地震が起こる可能性がある(2)敷地内に大規模な地盤変形が起こり耐震指針に違反する(3)機器や構造物にひずみが残り強度が落ちている可能性がある−−ことなどを理由に「運転再開を図ることは許されない」と訴えている。【西川拓】
毎日新聞 2007年8月21日 19時19分



6、柏崎刈羽原発:圧力容器の点検開始 ロープでカメラ下ろし
 東京電力は21日、新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発1号機の原子炉本体(圧力容器)の点検を始めた。水中カメラでの点検で、今のところ異常は見つかっていない。点検終了は1号機だけで12月になる見通しだ。
 圧力容器は直径約6.2メートル、高さ22メートルの円筒形。中には核燃料を支える器具や緊急炉心冷却装置、原発のブレーキである制御棒など重要機器が集中し、放射線を防ぐため水が満たされている。
 この日は午前9時から、炉の真上に渡した燃料交換機に作業員が乗り、双眼鏡で水中の炉内を観察。さらに、炉の底から10メートルの高さにあり燃料を支える役目をする「上部格子板」まで、ロープで水中カメラを下ろした。緊急炉心冷却装置の配管の一部などを見た結果、昼までには異常は確認されなかった。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月21日 19時41分 (最終更新時間 8月21日 19時59分)



7、国内8原発、海底断層調査を追加実施へ
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所を含む国内8原発が、大地震を起こす恐れのある海底断層の見落としがないか追加で探査を実施することが、電力各社が経済産業省原子力安全・保安院に20日提出した報告書で分かった。
 柏崎刈羽を除く全16原発が、今回の地震動に耐えられるか緊急評価を行うことも判明した。
 電力各社は、原子力安全委員会が昨年9月に原発の耐震設計指針を改定したのを受け、原発の耐震性の再評価を進めている。そのさなかに中越沖地震が発生したため、経産省が各社に対し、評価計画の見直しと早期実施を求めていた。
 報告書によると、東電の柏崎刈羽、福島第1、福島第2、日本原電の東海第2、中国電力の島根など7原発と、六ヶ所再処理工場を抱える日本原燃が、海底探査を追加実施する。東北電力女川原発も、補足的な海底探査を計画している。指針改定後に総合的な海底探査を行ったばかりの原発や現在実施中の原発は追加を見送った。
 一方、16原発が柏崎刈羽原発の地震動データを利用し、同規模の地震が直撃したと想定して耐震性を検証。1か月以内に経産省に報告する。柏崎刈羽も同様に再検証する予定。
 さらに、各原発が地質調査と最大地震動の想定作業を実施。その後、原子炉や非常用発電装置など最重要設備について、耐震性の再評価を行う。柏崎刈羽原発を除くと、遅くとも2009年中には評価作業を終了する見込み。
 原発以外では、日本原燃が今年10月に、日本原子力機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」が同12月に、評価を終える予定。
(2007年8月20日23時22分 読売新聞)



8、柏崎刈羽原発、原子炉圧力容器内で地震の影響調査始まる  読売新聞
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所で21日、地震による原子炉圧力容器内の影響を調べるための点検が1号機で始まった。
 1号機は震災時、定期点検中で圧力容器のふたは開いていた。午前9時から東電と下請けの協力企業の作業員計約20人が作業を始め、目視と水中カメラを使って炉内の変形やボルトのゆるみがないかなどを確認する。点検は年内いっぱいかかる見通しで、ほかの6基の点検も今後、行われる。
(2007年8月21日10時54分 読売新聞)



9、柏崎刈羽原発の閉鎖を 新潟日報
 新潟県中越沖地震で被害が出た東京電力柏崎刈羽原発について、技術者や地震の研究者らが「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」を21日結成。都内で会見し「周辺で再び大地震が発生するかもしれず、運転再開は許されない」などとする声明を発表した。
 呼び掛け人は石橋克彦神戸大教授、山口幸夫原子力資料情報室共同代表ら4人。
 同原発周辺は「活断層が多く、大地震の活動期が続く可能性も高い。大地震発生が終わったとは言えない」と指摘。
 設計時の想定を大きく上回る強さの揺れに襲われた結果、「多くの施設、機器に変形が残り、亀裂が生じた可能性もある。ひずみがあるかを検証することは不可能で、顕在化していない亀裂やひずみが運転に支障を起こす恐れがある」とした。
 声明は、震源域が少しでも違っていれば放射能の大量放出が起きていたかもしれないとし「運転再開は深刻な危険を地元と日本、世界に押し付けることになる」と強調した。
共同ニュース2007年8月21日

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石田ふたみ