『日々の映像』

2007年08月19日(日) 中越沖地震の記録 (39)


1、放射能漏れ公表遅れを批判、柏崎刈羽原発でIAEA  朝日新聞
2、住宅被災度の再調査始まる 中越沖地震  朝日新聞
3、炉内点検、1基だけで年内いっぱい 柏崎刈羽原発  朝日新聞
4、柏崎刈羽原発:IAEA「情報は迅速に公表されるべき」  毎日新聞
5、柏崎刈羽原発:地震被害1948件に  毎日新聞
6、中越沖地震で浮いた古木が網に、最盛期のマダイ漁ピンチ  読売新聞
7、罹災証明に不満相次ぐ、300人以上再調査を申請  読売新聞
8、柏崎刈羽と福島第1・第2、東電が活断層を再調査へ
9、刈羽 住宅半壊以上44.3% 柏崎の4倍弱  新潟日報
10、地震から1カ月 柏崎1000人仮設へ   新潟日報


1、放射能漏れ公表遅れを批判、柏崎刈羽原発でIAEA  朝日新聞
2007年08月18日12時00分
 国際原子力機関(IAEA)は17日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発の調査結果をまとめた報告書を日本政府に提出、公表した。報告書は、今回の地震によって得られた教訓を生かし、原発の安全性を再評価する必要性を強調。特に周囲の活断層が原発に与える影響について慎重に検討するよう求めた。調査団長のフィリップ・ジャメ原子力施設安全部長は記者会見で、今後必要なデータが集まれば、最終評価のために、改めて現地を訪れる意向を示した。
 「予備的な調査結果および教訓」と題した報告書は「原子炉は安全に停止し、目に見える深刻な損傷はなかった」とし、緊急時の安全機能が正常に働き、被害は予想を下回るものだったとしている。だが一方で、時間的制約から施設を歩いて見て回る程度の限られた現地調査だったと指摘。最終的な結論は、なお今後の詳細な調査結果を待つ必要があるという。
 特に報告書は、今回の地震の教訓や新たな基準や方法をもとに、原発の安全性の再評価が必要になると指摘。現時点で顕在化していない亀裂やゆがみなどが長期的に運転に支障を与える可能性について警告した。また周辺の活断層について、原発直下に及んでいないか、特に注意して調査する必要があるとした。会見に出席した調査団メンバーは「原子炉の安全運転に影響を与えるような活断層があるかどうかを慎重に見きわめるべきだ」と述べた。
 また原子炉圧力容器や炉心、核燃料など、原発の安全にかかわる核心部分についての、東京電力や国の詳細な調査はまだ最終結論が出ていないことを指摘。事故の際に、安全機能が正常に作動するか、施設の老朽化が予想以上に進んでいないかなどについても、運転再開前に検査・分析する必要があるとした。
 微量の放射能を含んだ水が海に排出された事実の報告が遅れたことについては、「たとえ重大な放射能漏れでなくとも、情報伝達はより迅速に行われるべきだった」と批判した。消火設備の不備も指摘された。
 ジャメ調査団長は、原発の再開時期について、詳細な調査・分析に必要な時間や現場の状況から、「1年以上かかる」との見通しを示した。



2、住宅被災度の再調査始まる 中越沖地震  朝日新聞
2007年08月18日10時22分
 新潟県中越沖地震で大きな被害が出た柏崎市で18日朝、住宅の被災度に関する再調査が始まった。市は今月10日までに市内の建物約6万棟の調査を終了。17日から被災度を公的に証明する「罹災(りさい)証明書」の発行を始める一方、判定を不服とする人を対象に再調査の申請も受け付け始めたところ、初日だけで403人から申し込みがあった。


家屋の被害状況を調べる調査員ら=18日午前、新潟県柏崎市西港町で
 罹災証明書は、被災度を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」または「被害なし」に区分する。市は仮設住宅の入居対象者を「半壊」以上に限ったため、「一部損壊」以下とみなされて仮設に入居できなかった被災者から再調査を求める声が相次いだ。

 同市西港町の主婦金子道子さん(79)も自宅の被災が激しく、いまだに避難所暮らしを余儀なくされているが、仮設には入居できなかった。「市はしっかり調べてほしい」と18日の再調査を見守った



3、炉内点検、1基だけで年内いっぱい 柏崎刈羽原発  朝日新聞
2007年08月18日02時37分
 東京電力は17日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発の原子炉の点検について、最初の1基で年内いっぱいかかる見通しを明らかにした。ほかの6基の点検終了時期は未定という。故障があれば修理に時間がかかる。数年かかるとされてきた運転再開は、さらに遅れそうだ。
 地震時に検査中で、原子炉圧力容器のふたが開き核燃料も取り出されていた1号機を優先する。
 21日からまず、原子炉内に水中カメラを入れ、上半分について、燃料集合体を支える上部格子板がずれていないか、中性子を測る局所出力領域モニターが外れたりしていないかなどを5日間にわたって点検する。その後、炉内機器を取り外すための天井クレーンの安全性を確認したうえで、9月中旬から再度全体的な点検に入る。
 並行して7号機の点検にも着手するが、原子炉圧力容器のふたを開けたり燃料を取り外したりする機器の点検に10月下旬までかかり、炉内点検はその後になる見通し。
 東電はまた、今回の地震を踏まえて、海域(原発の沖合50キロ、海岸線と並行して150キロ)、原発から半径30キロの陸域と長岡平野西縁断層帯のある一帯の地質調査をすることを明らかにした。
 東電は「今回地震を引き起こした断層に加え、ほかにも断層がないか調べて原発の安全性への影響を調べる」としている。



4、柏崎刈羽原発:IAEA「情報は迅速に公表されるべき」  毎日新聞
 【ウィーン会川晴之】国際原子力機関(IAEA)は17日、新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の調査報告書を発表した。耐震設計上の想定を上回る地震発生にもかかわらず、運転中の原子炉が安全に緊急停止したほか、「見た目では損傷がない」(ジャメ調査団長)など、予想より損傷が少なかったとの結論を出した。一方で、放射能を含む水が漏れていたことを国などに報告するのが遅れたことについて「情報はより迅速に公表されるべきだった」と指摘した。
 報告書では、地震の発生が午前10時13分だったが、原発6号機から放射能を含む水が漏れていたことを政府などに報告したのが午後6時52分だったと指摘。「重大な漏れでなかった場合であっても、緊急機関に指針を与えるために、国などへのできるだけ速やかな報告が重要」とした。
 会見した調査団長のジャメ原子力施設安全部長は、経済産業省原子力安全・保安院が進める調査を引き続き見守る姿勢を示すとともに、運転再開には「数カ月以上かかる」との見通しを示した。ただ、地震によるクレーンの損傷で、原子炉圧力容器のふたを開けられず内部調査が進まない原子炉もあるほか、今後の調査の結果次第では、機器の交換が必要となる可能性もある。このため、IAEA内では「7基すべてが運転を再開するには1年半〜2年程度かかる可能性もある」と分析する声もある。
毎日新聞 2007年8月18日 11時48分 (最終更新時間 8月18日 11時57分)



5、柏崎刈羽原発:地震被害1948件に  毎日新聞
 東京電力は17日、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の被害が、8日までの確認分で1948件に達したと発表した。
 7月末までに確認された被害は1478件で、8月になって470件増えた。内訳は、機械の破損・変形163件、建物のひびなど162件、水漏れ71件など。新たな放射能漏れや、法令で報告が義務づけられた故障は確認されていないという。ただ、重要機器が集中する原子炉本体(圧力容器)の内部は未点検で、この数字に含まれていない。
 また、同社は同原発1号機の圧力容器の内部点検を、21日から始めることを明らかにした。1号機は地震発生時に核燃料が入っておらず容器のふたが開いていた。25日までに、水で満たされた容器のほぼ上半分を水中カメラなどで調べる。終わるのは12月の見通し。
 1号機以外は、ふたが閉まっており、開けるのに必要なクレーンの点検などに時間がかかる。7号機のふたを10月に開ける予定だが、同原発の原子炉全7基の点検が終わるめどはないという。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月17日 21時14分



6、中越沖地震で浮いた古木が網に、最盛期のマダイ漁ピンチ  読売新聞
 新潟県中越沖地震で、県内有数の漁港・出雲崎港(出雲崎町)沖の海底から大量の古木が浮かび上がり、最盛期のマダイ漁に大きな影響が出ている。
 地元漁協は県の委託を受け、これまでに約100トンの古木を回収したが、「取っても取っても、きりがない」と困惑している。
 出雲崎漁協組合長の坂下甚十郎さん(69)が異変に気づいたのは、地震発生から3日後の7月19日未明。「またやるぞ」と気持ちを切り替え、船に乗り込んだが、数時間後、簡単に揚がるはずの網が異様に重い。弟と二男と力を合わせて引き揚げたところ、大量の古木がかかっていた。55年間の漁師歴で初めてだった。
 新潟大の立石雅昭教授(地質学専攻)らの調査によると、古木は3000〜6000年前のヒノキやブナ、ミズナラなど。直径30〜40センチ、長さ1メートル前後の丸太が多い。地上の液状化現象と同様に、海底でも砂が噴き出すなどし、泥の中から古木が浮かんできたとみられるという。
 出雲崎港の沖合6〜7キロはマダイの好漁場。しかし、地震後は古木がかかって漁網が傷ついたり、一緒にかかった魚が傷ついたりする被害が続出。県水産海洋研究所によると、出雲崎港沖では例年、最盛期の7〜8月に15〜20トンの水揚げがあるが、今シーズンは「4割近く」(坂下さん)に減っているという。出雲崎、柏崎両漁協では8月に入って週2日を禁漁にして古木の回収にあたっている。
 さらに、近くにある柏崎刈羽原発のトラブルによる風評被害も重なり、地震後に魚の値段は約1割下がった。出雲崎町で鮮魚店を営む男性(64)は「高校を卒業してからこの仕事をしているが、こんなに売れないのは初めて」と唇をかむ。
(2007年8月18日14時33分 読売新聞)



7、罹災証明に不満相次ぐ、300人以上再調査を申請  読売新聞
 新潟県中越沖地震の被災地、柏崎市で17日に始まった「罹災(りさい)証明」の交付には、初日の締め切りの午後5時15分までに約1150人が訪れ、このうち300人以上が認定を不服として、再調査を申請した。
 このため、交付作業は午後10時半ごろまで続いた。
 罹災証明は住宅の被害を「全壊」から「一部損壊」までの4段階に区分。被災者生活再建支援法に基づく支援金の額に影響するほか、「半壊」以上が仮設住宅の入居条件になっており、入居を認められなかった人から不満を訴える声が相次いだ。
(2007年8月17日23時3分 読売新聞)



8、柏崎刈羽と福島第1・第2、東電が活断層を再調査へ
 東京電力は17日、柏崎刈羽(新潟県)と福島第1、同第2(福島県)の3原子力発電所周辺の陸域と海域について、活断層の調査をやり直すと発表した。
 東電はすでに、柏崎刈羽原発周辺の海域の再調査を決めていたが、それだけでは不十分だと判断した。新たな活断層が見つかった場合は、原発の耐震性を再評価することになる。
 3原発とも設計前の段階で周辺の活断層を調べ、起きうる地震を考慮して建設されたはずだった。また、昨年秋に原発の耐震指針が改定されたのを受け、原発を中心に半径5キロの範囲を再調査していた。
 しかし、新潟県中越沖地震は未知の海底活断層で発生。震源から直線距離で16キロの地点にある柏崎刈羽原発は想定外の大きな揺れに見舞われ、火災が発生したり、機器や建物の損傷が相次ぐなどした。このため東電は、周辺の地質調査を抜本的にやり直すことにした。
 調査範囲は、柏崎刈羽が<1>原発を中心に半径30キロの陸域<2>「長岡平野西縁(せいえん)断層帯」の地域<3>海岸線方向に約140キロ、沖合方向に約50キロの海域。福島は<1>第1、第2の両原発を中心に半径30キロの陸域<2>「双葉断層」の地域<3>海岸線方向に約80キロ、沖合方向に約30キロの海域。
 陸域は人工的に振動を起こし、海域は船から音波を出すなどして、それぞれ地下の構造を調べる。設計段階では深さ0・5〜1キロ程度しか調べていなかったが、今回深さ3キロの範囲で断層の有無を確認する。
 柏崎刈羽原発周辺の海域は今月末から、陸域は来月上旬から、福島原発周辺は12月上旬から調査を始める。
(2007年8月17日20時40分 読売新聞)



9、刈羽 住宅半壊以上44.3% 柏崎の4倍弱  新潟日報
中越沖地震で半壊以上の被害を受けた住宅の割合が刈羽村で44・3%に上り、柏崎市(10・8%)の4倍以上に達していたことが16日、同市などが行った住宅被害調査で分かった。同市の行政区ごとの被害状況と比べても刈羽村が突出しており、中越地震に続いて大きな被害を受けた同村の住民からは「地盤が悪いから仕方ない」とあきらめの声も漏れている。

 同村は中越沖地震後、村内の全住宅1324棟の被害を外観と屋内から調査。全体の12・2%に当たる162棟を「全壊」、131棟(9・9%)を「大規模半壊」、294棟(22・2%)を「半壊」と判定した。赤田町方、大塚、枯木の3集落では住宅半壊以上が7割に達し、村全体の住宅被害額は120億円を超えた。

 同村は2004年の中越地震で約59億円の住宅被害が発生したほか、今年3月の能登半島地震では震度5弱を観測、震源に近い糸魚川市や上越市の震度4を上回った。同村総務課は度重なる地震被害の背景を「植物が腐ってたい積した層が広がり、地盤が軟弱なことも一因」と説明する。

 同村刈羽の無職、山本健二さん(71)は「村はどこも昔は湿地帯。地盤がいい所なんてないよ」とやりきれない表情。自宅が傾いた同村十日市の会社員、高桑儀実さん(57)も「自分の家の地盤は、まだましだと思っていたが…」と途方に暮れる。

 一方、柏崎市は既に市内ほぼ全域の住宅2万8589棟の外観調査を終え、全壊は789棟(2・8%)、大規模半壊は318棟(1・1%)、半壊は1976棟(6・9%)だった。

 地区別にみると、刈羽村に近い同市北東部の中通、西山町、北鯖石の3地区で半壊以上が20%台だったが、同市南西部の上条・黒姫地区では1%未満だった。

 柏崎市と刈羽村は17日から、住宅被害調査に基づき保育料の減免などに必要な「り災証明書」を発行。同市は結果に納得できない人を対象に18日から家屋内の2次調査を行う。

中越沖地震で大きく崩れ、ブルーシートが張られた家や土蔵が並ぶ集落、刈羽村全体では半壊以上の住宅被害が4割を超えた=16日午後4時半すぎ、同村刈羽

2007年08月17日



10、地震から1カ月 柏崎1000人仮設へ   新潟日報
 中越沖地震発生から16日で1カ月。被害が大きい柏崎市や出雲崎町、刈羽村でも仮設住宅への入居が始まった。一方で仮設に入れず借家住まいを選んだ人や、地盤が崩れて我が家の再建に手を付けられない人もいる。家族の団らんが1日も早く戻ることが被災者共通の願いであり、今後の大きな課題になっている。
 柏崎市西山町別山の避難所で生活する介護職員小玉美代子さん(37)は「夜仕事から帰ると、消灯までに急いでご飯を食べてお風呂に入る。子どもとゆっくり向き合う時間はない」と漏らす。
 自宅は一部損壊。長岡市で仮住まいを続ける夫と離れ、「この土地を離れたくない」という子ども2人と柏崎市に残った。仮設住宅には入れず、自宅近くに家を借り、今月中に引っ越す予定だ。美代子さんは「家族がそろったらみんなでご飯を食べようね」と長女に話し掛けた。
 同市西山町中央台で夫と暮らす山田久恵さん(65)は、傾いた家の下に何本も走る亀裂を指さした。22年前、当時の西山町が造成した団地の土地を買い自宅を構えた。亀裂は広がり、家屋の傾きは増している。倒壊の恐れがある家屋は団地の45棟のうち11棟に上る。
 夫の義行さん(72)は行政に団地全体の斜面にあるコンクリートの壁を早急に直してほしいと訴えているが、「時間がたつほど、団地での生活をあきらめる人が増えそうだ」と語る。
 自宅が地震で倒壊し、両足が不自由な夫(88)と柏崎小学校の福祉避難所に身を寄せる同市の女性(82)は「夫は物忘れがひどくなり、私も避難所生活で足腰が弱くなった」と肩を落とす。手すりなしでは歩けない夫のトイレや風呂の介助を1人でこなしており、今後の介護生活に強い不安を抱いていた。
2007年08月17日

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石田ふたみ