『日々の映像』

2007年08月11日(土) 中越沖地震の記録 (32)

1、柏崎市長「影響ない首都圏に違和感」 地震の原発停止で 朝日新聞
2、柏崎原発「キラーパルス」襲う? 阪神大震災でも発生  朝日新聞
3、400人が放射線チェックせずに退避 柏崎刈羽原発  朝日新聞
4、原子炉停止後、冷却装置を手動で使用…読売新聞
5、JR越後線、25日ぶりに全線で運転再開 読売新聞
6、都市ガスの供給が9割復旧、3000戸は難航…柏崎・刈羽  読売新聞
7、商店街復興へ大学生らが調査  新潟日報



1、柏崎市長「影響ない首都圏に違和感」 地震の原発停止で 朝日新聞
2007年08月11日10時19分
 新潟県中越沖地震で被災して運転停止した東京電力柏崎刈羽原発がある柏崎市の会田洋市長は10日、「(原発の電力供給先の)首都圏の電力に影響が出るだろうと考えたが、何も影響を受けていない。上京した時、そのことに非常に違和感を持った」と述べた。
 首都圏への電力供給の最大基地である同市が震災に苦しむ中、首都圏がこれまでと変わらない生活を享受していることへの反発を吐露したものだ。会田市長は「節電に努めるなど、被災地の痛みを分かち合うところがあってもいいのではないか」と対応を求めた。



2、柏崎原発「キラーパルス」襲う? 阪神大震災でも発生  朝日新聞
2007年08月10日22時57分
 新潟県中越沖地震の際に東京電力柏崎刈羽原発が、「キラーパルス」という地震波に襲われたらしいことが、愛知工大の入倉孝次郎客員教授の分析で明らかになった。10日に開かれた国の原子力安全委員会の耐震性調査チームで報告した。阪神大震災でも起きたと考えられている現象で、同席した東電担当者も「観測データに、その特徴があるようだ」と認めた。
 キラーパルスは、地震の際に断層が割れていった先で、揺れが大きくなる現象。
 入倉さんらは同原発や周辺の390カ所で得られた地震計データを解析した。その結果、周辺の揺れを基に計算すると、原発の揺れは750ガル(ガルは加速度の単位)程度になるはずなのに、実際には1号機と5号機の地表部でそれぞれ最大加速度890ガル、1223ガルを記録し、大幅に上回っていた。
 このキラーパルスは、北西傾斜(北西落ち)の断層が海底で割れ始め、南東にある原発に向かって割れていったと考えると説明がつくという。割れは原発の地下約5キロにまで達したと見る。
 阪神大震災では断層が淡路島側から神戸側に向かって割れたため、神戸側での被害が大きくなったとされる。



3、400人が放射線チェックせずに退避 柏崎刈羽原発  朝日新聞
2007年08月10日20時56分
 東京電力は10日、新潟県中越沖地震の発生時に柏崎刈羽原発の原子炉建屋内で作業していた約400人が被曝(ひばく)していないか調べずに外に出たと発表した。避難の指示が出た際、放射線測定器が地震で故障していたため緊急措置をとった。想定を超える被曝をしていた恐れは少ないという。
 東電によると、地震発生時には全7基で817人が建屋内の放射線管理区域で作業していた。1、2号機では424人が避難しようと出口に殺到したが、7台の放射線測定器のうち6台が故障したため、約400人が測定をせずに外に出た。使用済み燃料プールの近くでの作業中に、放射性物質を含む水をかぶるなどした12人は携帯型の測定器で測り、異状のないことを確かめたという。
 東電では「緊急時は測定せずに出ることは社内の内規に定めた処置で、法令違反にはあたらない」としている。
 東電はまた、地震時の原子炉の水位や中性子の値を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。稼働・起動中の4基は正常に停止した。ただ、2号機では原子炉の水位を調節するポンプが故障し、マニュアルに従って緊急炉心冷却システムのポンプを手動で動かして水位を調節。水位低下で燃料が露出するような事態を避けた。保安院では「問題ないと考えるが念のため専門家にも意見を聴く」としている。



4、原子炉停止後、冷却装置を手動で使用…読売新聞
 新潟県中越沖地震で東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が被災した問題で、東電は10日、地震で原子炉が自動停止した後、炉内の水位低下防止のため緊急炉心冷却装置(ECCS)を手動で使っていたことを明らかにした。
 ECCSを手動で使うのは、東電の原発では初めてという。
 ECCSは本来、緊急時に炉心の空だきを防ぐため自動的に作動し、炉心に水を注入して事故を防ぐ。経済産業省原子力安全・保安院は「ECCSを手動で使うこと自体は問題ないが、今回はそのせいで逆に水位が上がり過ぎた場面もあり、本当に使う必要があったのか検証したい」としている。
(2007年8月10日23時39分 読売新聞)



5、JR越後線、25日ぶりに全線で運転再開 読売新聞
新潟県中越沖地震で不通になっていたJR越後線の柏崎(柏崎市)―吉田(燕市)間(約50キロ)が10日復旧した。
 同線は25日ぶりに全線の運転を再開。午前4時58分、柏崎駅を新発田行きの始発電車が出発した。
 当面は徐行運転で、1日の運行本数も平常時の約半分だが、午前8時ごろ、柏崎駅に普通電車が着くと、通勤客らが次々降り、柏崎市西山町、主婦広川美知子さん(76)は「久しぶりに病院に行けます」と話していた。
 JR信越線の柏崎―柿崎(上越市)間は依然、不通。



6、都市ガスの供給が9割復旧、3000戸は難航…柏崎・刈羽  読売新聞
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市と刈羽村で10日、倒壊家屋や被害が大きな地域などを除いて都市ガスの供給が約9割近くまで復旧した。
 しかし、約3000戸については難航が予想され、復旧のめどが立っていない。応急措置の段階が過ぎ、自衛隊の炊き出しや入浴サービスなどの支援策が徐々に終了に向かう中、未復旧世帯は取り残された格好で、飲食店などから悲鳴が上がっている。
 柏崎市ガス水道局などによると、両市村の地震後の復旧対象戸数は約3万1000戸。このうち、約2万7000戸が10日までに復旧した。未復旧なのは10日午後7時現在で4296戸だが、うち約1000戸は12日までに復旧する見通し。
 ただ、残る約3000戸については、ガス管に入り込んだ地下水の排出に手間取っているうえ、家屋が倒れる恐れがあったり、障害物のある道路に工事車両が入れなかったりして復旧の見通しがついていない。市は13日にも改めて復旧計画を立て、対策を練る。
 柏崎市南半田の女性会社員(49)方では、10日、25日ぶりにガスが復旧した。これまでは、毎日、卓上コンロとやかんで数時間かけて湯を沸かし、風呂に入っていた。少しでも早く沸くように、日中は自宅前にペットボトルやポリタンクに風呂用の水を入れて並べていたという。女性は「もう苦労をしなくていいと思うと、うれしい」とホッとした表情を見せた。
 一方、未復旧の柏崎市西本町の「いづみや食堂」は店を再開できないでいる。以前は9口のコンロを使って丼物やうどんを提供し、親しまれていた。常連客からは再開時期を尋ねる電話が掛かり、「まだやってないのか」と訪ねてくる客もいるという。
 地震の被害は、建物の内壁にひびがるなどした程度で比較的軽かったが、「ガスが止まれば商売にならない」と、店主の浅野隆さん(75)は嘆く。
 市災害対策本部は未復旧世帯に卓上コンロを配っているが、業務用に使えるほどの火力はない。浅野さんは「1週間くらいで元通りになると思っていたが……」と肩を落とした。
(2007年8月10日21時41分 読売新聞)


7、商店街復興へ大学生らが調査  新潟日報
 中越沖地震で被災した柏崎市東本町2の「えんま通り」商店街復興に向け、聞き取り調査をした県内大学の学生らが10日、現地で報告会を開いた。

 調査は6―9日の4日間、同市の新潟工科大など4大学の学生と研究者30人余りで実施。40軒の商店主らから地震被害と再建への思いなどを聞いた。同商店街には住居併用店舗が多く、迷いはあるものの商売を続ける意思を持った人が多いことが明らかになったという。

 報告会では、学生たちが商店街で聞いた個別の意見を課題別に整理。かつてのにぎわいを取り戻すために、えんま堂の歴史を生かすことや、集客力がある核店舗の導入、歩道の拡幅などのアイデアを披露した。

 報告会にはテナント入居者を含め商店主らが多数参加。「連帯感を高めるための復興Tシャツづくりや、(地震後に行った)炊き出しをやってみたらという意見はおもしろい」などの声が上がった。
新潟日報2007年8月11日

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石田ふたみ