『日々の映像』

2007年08月10日(金) 中越沖地震の記録 (31)

1、新潟の最高峰、突然3mへこんだ 地震で亀裂拡大も  朝日新聞
2、保険・共済金額は364億円の見通し 中越沖地震  朝日新聞
3、中越沖地震の断層の傾き、決められず 政府地震調査委  朝日新聞
4、柏崎刈羽原発、IAEAの調査終わる
5、柏崎刈羽原発「時間かけ安全性検討」、IAEAの調査終了  読売新聞
6、サウジアラビア、被災地・被災者に2億3700万円寄付 読売新聞
7、海底断層面3か所大きく滑り発生…中越沖地震で京大チーム   読売新聞
8、中越沖地震の被災店舗に激励注文、ネット通販売り上げ倍増  読売新聞
9、柏崎原発、広範囲で消火不能  新潟日報
10、西山で都市ガス復旧直後出火  新潟日報
11、被災地でNPOがマッサージ


1、新潟の最高峰、突然3mへこんだ 地震で亀裂拡大も  朝日新聞
2007年08月10日08時00分
 北アルプス白馬連峰の小蓮華山(2769メートル)の山頂が3メートル余り陥没していることが、現地入りした国土地理院の調査でわかった。長野、新潟の県境にある小蓮華山は新潟県の最高峰。同院は来年にも測量し直す予定で、標高が数メートル下がる可能性が出てきた。
 山頂陥没は今年6月、長野県小谷村山案内人組合の人たちが発見。V字状に大きく崩れ、稜線(りょうせん)に沿って数十メートルの亀裂が走っている。その後、7月16日の中越沖地震で亀裂がさらに広がったと指摘する人もいる。今後、雪解けや大雨による崩落も心配されている。
 調査した同院北陸地方測量部(富山市)の益子栄・防災情報管理官らは、全地球測位システム(GPS)で山頂の三角点の柱石があった場所を特定し、約3メートル陥没していることを確認した。
 益子さんは「新潟県最高峰としての県民の期待や登山者の気持ちを考慮し、三角点を来年にも設置し測量し直したい」と話している。



2、保険・共済金額は364億円の見通し 中越沖地震  朝日新聞
2007年08月10日07時43分
 日本損害保険協会は9日、新潟県中越沖地震で損害保険会社が支払う地震保険金の総額が、7月末時点で約64億8000万円にのぼる見通しになったと発表した。全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)も同日、建物更生共済(建更)の共済金支払いが300億円を超えると明らかにし、中越沖地震の被害に支払われる保険金・共済金の合計は364億円超になる。
 被災地は農協の組合員が多く、共済の加入世帯が多いエリア。建更加入者の被害は2万838棟だった。地震による共済金の支払いでは阪神大震災(1188億円)、04年の新潟県中越地震(772億円)に次いで過去3番目の規模になりそうだという。
 一方、地震保険で支払われた保険金では過去5番目の規模。中越地震(148億円)に次ぐ規模で、05年の福岡県西方沖地震(61億円)などを上回った。被害件数は7月末現在で6724件だった。



3、中越沖地震の断層の傾き、決められず 政府地震調査委  朝日新聞
2007年08月08日21時04分
 政府の地震調査委員会は8日、新潟県中越沖地震を起こした断層の傾きについて「現時点では決定できなかった」とする見解をまとめた。地震発生直後の委員会で「南東傾斜」としたが、その後反対向きの可能性を示す研究結果も相次いだため修正した。阿部勝征委員長は「どちらも決め手に欠けた。今後、突き止められない可能性もある」と述べた。
 断層の傾斜は、東京電力柏崎刈羽原発との位置関係を議論する上で注目されている。当初の南東傾斜なら海底の断層に、北西傾斜ならば陸地の断層につながる可能性がある。



4、柏崎刈羽原発、IAEAの調査終わる
2007年08月09日18時33分  朝日新聞
 新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所で9日、国際原子力機関(IAEA)の調査団の4日間の調査が終わった。フィリップ・ジャメ調査団長は、原発の耐震性などについて「今回は情報と教訓を集めた。まだ結論を出す段階ではない」と明言を避けた。
 調査団は地震工学などの専門家計6人。初日は東電側から説明を受けた後、火災を起こした3号機の変圧器など外観を視察。2日目からは専門分野ごとに班に分かれ、原子炉格納容器内などを1日6〜8時間かけて調べた。破損した天井クレーンの復旧にめどがたたないため、圧力容器内は確認できなかった。
 同行した経済産業省原子力安全・保安院の担当者によると、調査団は(1)6号機使用済み核燃料貯蔵プールの水があふれ、放射性物質を含んだ水が海に流れ出た経緯(2)停電時を想定した原子炉を冷却するための非常用ディーゼル発電機の状態――に関心を示したという。
 調査団は10日、都内で、保安院と意見を交換。翌11日に帰国する予定。



5、柏崎刈羽原発「時間かけ安全性検討」、IAEAの調査終了  読売新聞
 国際原子力機関(IAEA)の調査チームは9日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所の調査を終了した。
 10日に経済産業省原子力安全・保安院を訪れ、意見交換を行う。
 調査団長のフィリップ・ジャメ原子力施設安全部長は「日本側は専門家が対応し、多くの情報を提供してくれた。原発の安全維持への努力も良い」と評価した。ただ、同原発の安全性については「結論を出すのは時期尚早。ウィーンの本部に持ち帰って、時間をかけて検討する」と述べた。
 保安院などによると、調査団は1〜7号機すべての外観や内部を調査。特に微量の放射性物質を含む水が外部へ漏出した6号機の水漏れの経路や、緊急時の要となる非常用ディーゼル発電機の機能維持に関して、詳細な説明を求めた。また、耐震設計専門家による詳細な聞き取りも行われた。
(2007年8月9日18時51分 読売新聞)



6、サウジアラビア、被災地・被災者に2億3700万円寄付 読売新聞
 在日サウジアラビア大使館は9日、新潟県中越沖地震の被災地・被災者を支援するため、同国政府が200万ドル(約2億3700万円)を寄付すると発表した。
 発表文によると、寄付は「サウジアラビア政府と日本政府の戦略的で重層的な友好関係」に基づくとしており、犠牲者、被災者に対して「お悔やみとお見舞い」を表明している。寄付の対象など詳細は不明。
(2007年8月9日19時54分 読売新聞)


7、海底断層面3か所大きく滑り発生…中越沖地震で京大チーム   読売新聞
 新潟県中越沖地震は、海底断層の3か所が大きくすべって起きたことが、京都大原子炉実験所による地震観測記録の解析で明らかになった。
 東京電力柏崎刈羽原子力発電所や柏崎市周辺の建物は、主にこの3か所による揺れで、大きな被害を受けたとみられる。8日に開かれた政府の地震調査委員会で報告された。
 地震は断層がずれることで起きるが、震源となる断層面は均一ではなく、急激にすべる個所があって、そこが大きな揺れをもたらす。
 同実験所の釜江克宏教授らは、柏崎市周辺や柏崎刈羽原発に設置した地震計で、東西方向の地震波に3回の大きな揺れが観測されていることに着目。地震波の波形記録を使いコンピューター解析した。
 解析結果では、最初の揺れは4キロ・メートル四方の岩盤がずれ、次にその南西でやや深いところにあるにある4キロ・メートル四方の部分、最後に一番南にある3キロ・メートル四方の岩盤がすべって、大きな揺れが起きたという。
 ただ、震源域付近は地下構造が複雑で堆積物も多いために解析が難しく、3番目にすべった位置は暫定的な解析結果だとしている。
 一方、地震を起こした海底断層の向きについて、北西深部から南東の地上方向か、その逆向きかで研究者の意見が分かれているが、釜江教授は「観測結果から見て、断層が北西から南東に上がる向きと考えるのが妥当」と話している。
(2007年8月9日13時40分 読売新聞)



8、中越沖地震の被災店舗に激励注文、ネット通販売り上げ倍増  読売新聞
 新潟県中越沖地震で店舗が被災した柏崎市内の商店主たちが、県内外からの注文に励まされ、インターネットによる通信販売に力を入れている。
 柏崎商工会議所もホームページに各店のリンクを設けるなど後押ししている。
 柏崎市青海川(おうみがわ)で酒販売店「新茶屋」を経営する片山静江さん(58)は、地震で自宅兼店舗が傾き、「被災直後は片付ける気力もなかった」が、地震3日後に届いた1通のメールに奮い立った。「つぶれた缶ビールでいいので買わせてほしい」。新潟市内の全く面識のない男性からだった。
 「通販なら全国の人々の助けで営業が続けられるのではないか」。向かいの車庫に仮店舗を設け、通販での営業再開をホームページなどでPRすると、地震前には売り上げの3割だった通販が、半分以上を占めるようになった。
 柏崎市西本町の「越後みそ西・西本町店」も、傾いた隣接店舗が撤去されるまでの約3週間、店舗での通常営業を再開できなかったが、インターネットを通じた売り上げは震災前の約2倍となり、「店舗での売り上げが見込めない中、通販が店を支えてくれている」という。
 片山さんらはこうした通信販売の効果を柏崎商工会議所に報告。同商議所では、通信販売で営業を再開した店の情報を集め、ホームページに各店のリンクを特設し、8日までに約60店舗を掲載した。各店には、「少しでも被災者の応援になれば」「柏崎へ行ったつもりの旅費分も商品代に添えます」などのメッセージとともに注文が相次いでいるという。
 商議所では今後、同じページから各店に注文できるサイトを開設する計画で、「店舗での売り上げが不安定な中で、全国からの注文を励みに、復興のきっかけにしたい」としている。商議所のホームページは「eこって柏崎」(http://www.e‐cotte.com)。
(2007年8月9日14時41分 読売新聞)



9、柏崎原発、広範囲で消火不能  新潟日報
 東京電力柏崎刈羽原発が中越沖地震で発生した3号機変圧器の火災を自力で消火できなかった問題で、地震による消火配管設備の損壊の影響は1―4号機までの広範囲に及んでいたことが9日、分かった。これらの消火配管は一体化しており、2ルートで水の供給を確保していたが、両方とも損傷。3号機以外でも複数の変圧器で油が漏れており、ほかでも火災が起きていた場合、さらに消火に手間取る事態になっていた。消火設備の抜本的な見直しが迫られそうだ。
 東電によると、1―4号機の屋外施設用の消火配管網は地中で一体化。1号機近くの水処理建屋のタンクから2つのルートで水を供給している。一方のルートで配管破損があっても、被害ルートの弁を閉め、もう一方だけに水を送ることで全体的に高水圧を確保できるとしていた。
 しかし、今回の地震によって両方のルートの計5カ所で配管が損傷し、大量の水が漏れたため、消火設備全体の水圧が低下。3号機変圧器の火災では、消火栓のホースの水が1メートルほど先までしか届かず、役に立たなかった。
 火災当時、同号機にいた関係者によると、消火栓の水圧が低いため消火設備の復旧を一度は試みたが、すぐに直せる状態ではなかったという。関係者は「自分ではどうしようもできず、歯がゆい思いをした」と振り返った。
 一方、1、2号機などに近接するほかの3つの変圧器でも地震によって油が漏えい。これらで火災が発生していれば、3号機変圧器と同様、自力消火できない事態に陥っていたとみられる。
2007年08月09日



10、西山で都市ガス復旧直後出火  新潟日報
 8日午後8時すぎ、柏崎市西山町西山の住宅でガスコンロと換気扇を焦がす火災が発生した。柏崎市消防本部によると、住宅は中越沖地震による都市ガスの復旧工事が終わったばかりで、住人立ち会いでガス栓を開く作業の直後に出火した。
 屋内配管からのガス漏れなどは確認されなかったが、柏崎市はガス復旧後の取り扱いについて注意を呼び掛けている。
2007年08月08日



11、被災地でNPOがマッサージ 新潟日報
中越沖地震で被災生活を続ける人たちの疲れを和らげようと8日、柏崎市椎谷の避難所、椎谷コミュニティセンターで鍼灸(しんきゅう)師らによる整体マッサージのサービスが行われた。長引く避難生活で体を動かす機会が少なくなった人が多く、鍼灸師らは丹念に全身をもみほぐした。

 NPO法人アミューズメント・バリアフリー協会(大阪)が企画。被災地に貢献しようと、鍼灸師と鍼灸師を目指す学生4人が現地入りし、10日まで活動する。

 避難所の和室に布団四枚を並べ、訪れた被災者の体を約30分かけて丁寧にマッサージ。全身の血流をよくしたり緊張を解いたりした。

 また、「散歩で足を動かし、血液循環を促すことが大切」「肩や腰を回して関節を動かすよう心掛けて」など、避難生活のアドバイスもした。体の具合や必要に応じて、針と灸による治療行為も行う予定だ。

 マッサージを受けた同所の山崎ツヤコさん(70)は「地震から3週間がたち、いろいろな疲れがたまっていた。体がふわふわと浮いていくような気分で、とても気持ちいい」と話していた。

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石田ふたみ