『日々の映像』

2007年08月06日(月) 中越沖地震の記録 (27)

1、IAEAの調査団、6日から柏崎刈羽原発の現地調査
2、避難生活なお1004人、ガス復旧も進まず…中越沖地震
3、「もう農業やめたい」…小屋や機具損壊、被災地の打撃深刻
4、刈羽の住宅、5割が半壊以上
5、被災道具をコンテナで預かる
6、新潟県中越沖地震復旧・復興会議 
7、東電要請で石油元売りが供給増…火力発電所出力増で



1、IAEAの調査団、6日から柏崎刈羽原発の現地調査
2007年08月05日19時43分
 新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所の調査のため、国際原子力機関(IAEA)の調査団が5日、来日した。6日から現地で被害状況の調査や関係者からの聞き取りをし、10日に経済産業省原子力安全・保安院などと意見交換をする。フィリップ・ジャメ団長は成田空港到着後、取材に応じ、「事実関係に関する情報を集めて教訓を明らかにし、国際社会に伝えていきたい」と述べた。
 調査団は欧米の地震工学の専門家ら計6人。ジャメ団長はIAEAの原子力施設安全部長。
 調査団の派遣については、IAEAのエルバラダイ事務局長が地震発生2日後の先月18日、「国際的な教訓を得るためにも全面的な調査が必要」と述べ、派遣の意向を示していた。しかし、日本政府は事態の収拾や調査は自力で可能と判断。「現場が混乱し、受け入れる余裕がない」として、いったんは断った。
 だが、同月22日に新潟県が調査団を受け入れるよう文書で政府に要請。保安院は同日、情報の国際的な共有は重要だとして、調査団の受け入れを決めた。



2、避難生活なお1004人、ガス復旧も進まず…中越沖地震
 中越沖地震(7月16日発生)の被災地では5日現在、柏崎市などの54か所の避難所で、1004人が避難生活を余儀なくされている。
 家屋被害は全壊1087戸、大規模半壊374戸、半壊2119戸。上水道は復旧したが、都市ガスは同市と刈羽村で、復旧対象戸数の58%にあたる約1万8000戸の供給がストップしている。
(2007年8月5日20時36分 読売新聞)



3、「もう農業やめたい」…小屋や機具損壊、被災地の打撃深刻
 新潟県中越沖地震で、大きな被害を受けた柏崎市や刈羽村では、農作業小屋が倒壊したり、農機具が壊れたりして、農家に深刻な打撃を与えている。再建費用が重くのしかかる農家からは、「もう農業をやめたい」との声も出始めている。

 両市村では毎年約200戸のペースで農家が減り続けており、県やJAでは借り入れた再建資金の利子補給など、被災農家への経済的支援を始めた。

 「つぶれた小屋を見ると、何もやる気が起きない。先祖代々の農家だったが、もう廃業するしかない」

 柏崎市藤井の入沢時男さん(66)は2日、庭先でぺちゃんこになった農作業小屋を見てうなだれた。がれきのすき間からは、壊れた精米機や乾燥機、コンバインが見える。

 入沢さんの水田は13アール。独立した息子2人は会社勤めで、後継ぎはいない。8月下旬から早場米の収穫が始まるが、稲刈りは知り合いの農家に頼んだ。「被害額は1000万円を超える。農業を続けるための資金繰りはつかない」と話す。

 新潟県によると、農業用施設の被害は、ため池や排水路などがほとんどで、「水田や畑そのものの被害は比較的少なかった」という。しかし、農機具の出し入れが簡単にできるよう間口が広く、柱の数が少ない農作業小屋は多数被害を受けた。

 JA柏崎によると、2日現在、柏崎市と刈羽村で確認された農業用建物の被害は376戸。そのうち119戸が全壊し、建物だけでも被害額は5億7000万円に上る。今秋は収穫できても、来春以降の作業を不安視する農家も多い。

 自宅敷地の農作業小屋が全壊した柏崎市中田の高野美智子さん(47)は、「田んぼが無事でも、コンバインがなければ稲刈りはできない。被災を機に、田んぼをほかの人に貸すことも考えている」と漏らす。

 2000年に両市村で5235戸あった農家は、05年には4290戸まで減少している。「これ以上、農家を減らしたくない」と、県は先月26日、被災農家が金融機関から融資を受けた場合、利子の一部を5年間負担する制度を設けた。融資については、JAが10億円の枠で1戸あたり2000万円までの支援を始めた。

(2007年8月3日3時6分 読売新聞)



4、刈羽の住宅、5割が半壊以上
 中越沖地震で刈羽村の住宅被害調査が4日までに全体の65%を終了し、半壊以上が5割に上ることが分かった。柏崎市は7割の住宅で調査を終え、約1割が半壊以上。木造の被害の割合が非木造よりも目立っている。

 同村の住宅調査は約1400棟が対象。3日までに918棟を調査した結果、9割に被害がみられ、全壊は15%の139棟、大規模半壊は12%の111棟、半壊は24%の218棟を数え、一部損壊は約4割にあたる364棟。

 同市では約3万1800棟が対象で、3日までに2万2507棟を調査。約95%に何らかの被害がみられ、全壊は683棟、大規模半壊は243棟、半壊は1502棟。一部損壊が1万8888棟で8割強を占める。また、半壊以上の被害は木造で10%に上る一方、非木造では5%程度にとどまっている。

 同市は4日、被災住宅を解体する業者の指定登録受け付けを開始。初日は約130社が申請した。解体工事を登録業者に依頼すれば、解体費は個人負担だが、収集運搬費は市が負担する。
新潟日報2007年8月4日



5、被災道具をコンテナで預かる
 中越沖地震で甚大な被害を受けた柏崎市西山町五日市集落に、家財道具を一時保管するコンテナハウス20基が設置され、住民が5日、家具や衣類などの搬入を始めた。同集落の渡辺丈夫総代(63)は「集落のまとまり維持につながってほしい」と期待している。

 コンテナは2カ月間、東京のNGOから借り受けた。同地区の集会場の隣に設置され、この日までに申し込んだ13世帯が今後、鍵を自分で管理する。

 同集落51世帯のうち、八割以上は応急危険度判定で「立ち入り危険」の赤紙が張られた。集落の維持が危ぶまれる中、渡辺総代は「それぞれ事情もあるが、近所で荷物を預かって家の片付けを後押しすることで、連帯感を維持したい」と願いを込める。

 同所の会社員早川実さん(52)は妻誠子さん(51)と、タンスや衣類などを軽トラックに乗せて運んできた。誠子さんは「近くていつでも出し入れできるから本当に助かる。広いので、捨てようと思っていた娘のひな人形も保管することにした」としきりに感謝していた。
新潟日報2007年8月5日




6、新潟県中越沖地震復旧・復興会議    
平成19年8月1日

1 趣 旨
  新潟県では、7月16日の「平成19年新潟県中越沖地震」発生直後から、
 被災者の救助・支援、被災したインフラの復旧などの緊急対応を進めてまいり
 ました。
  今後、被害を受けた地域社会の経済活動や被災者生活の速やかな復旧・復興
 に向けた県全体の課題へ対応するため、明日8月2日、「新潟県中越沖地震復
 旧・復興会議」を設置します。

2 名 称
  新潟県中越沖地震復旧・復興会議
  (議長:泉田知事 副議長:関根副知事、小熊副知事、神保副知事)

3 目 的 
  今後の復旧事業と復興施策等について総合調整を図り、中越沖地震により甚
 大な被害を受けた地域社会の経済活動及び被災者生活の速やかな復旧・復興を
 図る

4 構成員
  各部局長(知事部局、県警、病院等)、各地域振興局長
 国関係機関、新潟大学震災復興科学センター等 ※適宜、出席をお願いする
   事務局 県民生活・環境部震災復興支援課
   ※当面の間、国への要請項目の整理は、知事政策局で対応

5 主な機能 
 (1) 復興施策の総合調整と確実な実施
 (2) 復旧事業の推進  
 (3) 国等との連携確保


本件に関する問い合わせ先 
  震災復興支援課 丸山課長
  電話:025−280−5218(直通)
  内線:2374



7、東電要請で石油元売りが供給増…火力発電所出力増で
 新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所の運転が停止した東京電力は、電力不足を補うため、火力発電所の出力を増やすのに必要な重油や原油の供給増を石油元売り各社に要請し、協力を得ることになった。
 電力需要が急増する夏場への備えに一定のメドを付けた形だが、原発を石油火力に切り替えると日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量が2%程度増えると見込まれ、東電は新たな対策が課題になる。
 東電の今年度の重油や原油の使用量は、当初予定の540万キロ・リットルから1050万キロ・リットルにほぼ2倍に増える見通しだ。
 石油元売り各社は、東電の要請を受け、石油供給を増やす体制をとった。ジャパンエナジーは8〜9月、東電への重油の供給量を12万キロ・リットル増やす。このうち4万キロ・リットルはタイや韓国から輸入し、残り8万キロ・リットルは在庫で対応する。昭和シェル石油も、インドネシアやタイからの輸入などで、8月の重油供給量を4万キロ・リットル増やす。
 コスモ石油も8月に予定していた東電への重油供給量を1・8倍に増やし、出光興産も1・6倍に増やす方針だ。東電との取引量が最も多い新日本石油も子会社の製油所の稼働率を引き上げるなどの対応を進める。
 東電は、火力発電所の出力増や、電力6社からの電力融通などの緊急対策で、停止した柏崎刈羽原発で見込んでいた電力711万キロ・ワットの62%分を補える。
 ただ、燃料費などが増加するため、業績が悪化するだけでなく、CO2排出量が当初予想より28%(2800万トン)も増える計算だ。これは、05年度の日本全体の排出量12億9300万トンの約2%に相当する。(豊田千秋)
(2007年8月5日23時40分 読売新聞)


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石田ふたみ