『日々の映像』

2007年08月05日(日) 中越沖地震の記録 (26)

2007年08月05日(日)
1、原発の揺れ、04年中越地震の10倍 「耐震性を過信」 朝日新聞
2、蒸し暑い避難所 対策に氷柱も 毎日新聞
3、サポート情報 ライフライン  毎日新聞
4、二重ローン350戸 15戸は三重の恐れ 毎日新聞
5、柏崎市の避難者が千人切る 毎日新聞
6、被災地のガス供給復旧進まず 新潟日報
7、柏崎刈羽原発:198立方メートルの油、土壌に漏出か  毎日新聞 
8、柏崎刈羽原発:6号機の天井クレーンで新たな部品の破断  毎日新聞
9、刈羽の住宅、5割が半壊以上  新潟日報



1、原発の揺れ、04年中越地震の10倍 「耐震性を過信」
2007年08月05日06時11分
 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原発で観測された揺れは、04年の中越地震の最大約10倍に上ることがわかった。3年前は、揺れが設計時の想定値内に収まったが、今回は想定値の2倍近い揺れだった。東電幹部は「中越地震で大丈夫だったのだから、耐震性は問題ないと確信していたことは否めない」としている。
 04年中越地震は、震源は原発から約28キロ、深さ約13キロ、マグニチュード6.8。原発がある刈羽村では震度6弱を記録した。今年の中越沖地震は、震源は原発から約16キロ、深さ約17キロ、マグニチュード6.8。震度6強を観測している。
 東電によると、04年中越地震の観測データで現在残っているのは5、6号機分。
 地震で天井クレーンに3カ所の破損が見つかった6号機では、設計時の最大地震動の想定値(水平方向)は、地下3階で263ガル(ガルは加速度の単位。1ガルは1秒間に秒速1センチの加速)、1階338ガル、4階471ガル、天井部785ガルと地表から離れるほど大きくなっている。想定値は国の耐震指針に基づいて設定した。
 04年中越地震では、それぞれ59ガル、64ガル、85ガル、140ガルで、想定値内だった。しかし、今回の中越沖地震では336ガル、459ガル、731ガル、1459ガルで、想定値の1.3〜1.9倍。3年前と比べると約5〜10倍だった。5号機でも、3年前の揺れと比べると約6〜8倍の大きさだった。
 東電幹部は「中越地震でもあのような揺れで収まったという自負があった。今回の地震で大きな被害が出ている以上、過信と言われても仕方がない」と話す。
 新潟県の斎田英司・危機管理監は「想定外の地震に見舞われた原因を国の責任で解明してほしい。耐震基準も見直しが必要だ。現在の指針に沿って耐震設計を進めて大丈夫なのかを明確にしてほしい」と求めている。
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2、中越沖地震:蒸し暑い避難所 対策に氷柱も

避難所に持ち込まれた氷と扇風機=新潟県柏崎市の柏崎小学校で4日午後5時10分、西本勝撮影 新潟県中越沖地震の被災地・柏崎市で、避難所の猛暑対策が急務となっている。2日は台風5号接近に伴うフェーン現象で、最高気温は36.7度に上昇。県と市は各避難所に扇風機や氷柱を配布するなど、暑さ対策に取り組んでいるが、夏の震災の課題が浮き彫りになった。

 最多で1万1410人(17日)いた避難所の住民は3日夜、初めて1000人を切ったが、まだ約900人を数えている。

 市によると、避難所となった小中高校の体育館に元々、冷房設備はない。市は地震後、県内のリース業者に体育館用大型冷房機を依頼したが、参院選で県内の大型冷房機はすべてリースされていた。市幹部は「地震に選挙の影響が出るとは思わなかった」と振り返る。

 市は7月20日ごろから、県が用意した氷柱(幅・奥行き25センチ、高さ75センチ)を1日約150〜350本配布。その後、米国からのクーラー96台、東北電力などから援助の扇風機700台も配った。高齢者の熱中症予防にスポーツドリンク計5000本も配布し、「暑ければ我慢しすぎないように」と呼びかけた。市は参院選後、大型冷房機2台を避難所2カ所に設置。他の避難所では避難者の減少で、扇風機割り当てを世帯から個人単位に切り替えた。

 しかし今年初の猛暑日となった2日夜、大きな体育館では冷気が伝わりにくく、被災者は寝苦しさに悩まされた。柏崎小に避難している無職、下條輝子さん(66)は氷柱を「随分助かります」と言いながらも、「夜は蒸し暑くて眠れない」と漏らす。

 新潟地方気象台によると、新潟県では今週も連日最高気温は30度程度に上がる見込み。市は▽暑さ対策チームの設置▽電力に制約のある体育館に発電機を設置し大型冷房機を導入▽冷房のあるコミュニティーセンターへの避難者と冷房機の集約−−などを検討している。【酒井祥宏、畠山哲郎】

毎日新聞 2007年8月5日 3時00分



3、中越沖地震:サポート情報 ライフライン
 ◇鉄道 JR信越線・柿崎−柏崎間、越後線・柏崎−吉田間が不通。越後線は10日に臨時ダイヤで運転開始予定。信越線は少なくとも8月中は運行できない。柿崎−柏崎、柏崎−出雲崎、出雲崎−吉田間は代行バス運転。柏崎−直江津間も一部、代行バス運転を実施中。6日から直江津−長岡間で直行バスを運転する。
 ◇ガス 日本ガス協会によると、4日午後8時現在、柏崎市、刈羽村の3万978世帯のうち1万9845世帯で供給停止。10日までに約3000世帯を除いて復旧する見通し。
 ◇道路 国道352号の柏崎市椎谷−大崎間、同市大湊地内の2カ所が通行止め。大湊は10日ごろ復旧の見込み。
毎日新聞 2007年8月4日 20時51分


4、二重ローン350戸 15戸は三重の恐れ
 新潟県中越沖地震の被災地で、04年10月の中越地震の被害から自宅を再建するためのローンを抱えたままだった家が約350戸あり、今回の被災で二重ローンに陥る可能性があることが県の調査で分かった。さらに別の約15戸は中越地震時にローンを抱えていたため、このローンと中越、中越沖両地震による2度の住宅再建で三重ローンになる恐れがあるという。県は既に被災住宅の再建支援のための基金創設準備を進めているが、これらの世帯に対して優先的に利子補給を拡充する方針だ。
 県が中越沖地震の被害が甚大だった地域で、中越地震の「県中越大震災復興基金」から住宅再建資金の利子補給を受けていた件数を調べたところ、柏崎市で146件、刈羽村で18件、長岡市で約200件あることが分かった。1世帯で複数のローンへの支援を受けているケースがあるものの、戸数に換算すると約350戸に上るという。
 また、当時、中越地震で二重ローンとなった世帯を支援する「住宅債務(二重ローン)償還特別支援」を受けているケースを調べると、柏崎市で1件、長岡市で14件あり、今回の地震で三重ローンになる恐れがあることが分かった。
 県は今回の地震でも新たな基金を創設する方針で準備中で、二つの地震で被災した世帯には利子補給拡充による先行支援を決定。中越地震で家を失っても払い続けているローンは利子補給の期間を5年から残り全期間に、新たに再建した自宅のローンには5年から最大15年に延長する。さらに、中越沖地震の新たなローンは新基金から利子補給する。【渡辺暢】
毎日新聞 2007年8月4日 15時00分


5、柏崎市の避難者が千人切る
 新潟県中越沖地震で最大の被害を受けた同県柏崎市の避難者が3日、1000人を切った。
 市によると、最も多かった時は市内76カ所の避難所に1万1410人が避難した。水道の復旧などに伴い、避難者が日々減り、3日午後8時現在で一般避難所48カ所と障害者用福祉避難所4カ所の計952人となった。一方、152世帯421人(2日現在)に避難勧告・指示が出されている。
 市は今後、避難所を統合し、冷房の効率化や子供の遊ぶスペースの確保などを進める。【酒井祥宏】
毎日新聞 2007年8月4日 1時33分


6、被災地のガス供給復旧進まず
 中越沖地震で被災した柏崎市と刈羽村では、都市ガスの復旧率が4日現在も3割にとどまり、約2万戸が不通のままだ。通常営業に戻れない飲食店や宿泊施設などは、ガス不通の長期化に焦りの色を濃くしている。

 「ほらこんなにがらんとしてるでしょ。ガスが出ないから宿泊予約を断ってるの」。「海の柏崎」を代表する同市鯨波海水浴場で民宿と浜茶屋を営む佐藤直子さん(56)は、人影のない浜茶屋を指してため息をつく。海水浴客はお盆までが書き入れ時。「早くガスを通してほしい」と訴える声は切実だ。

 同市駅前2の老舗中華料理店「盛来軒」は、都市ガスが使えずに休業中。店主の赤頭勉さん(65)は「店の周りで毎日修復作業をしているのに、うちの復旧はいつなのか。休ませたままの従業員のこともある。地区ごとの復旧見込みを広報してくれないものか」と嘆く。

 同市駅前1のホテルニューグリーン柏崎は、客室への給湯ができていない。「客は減ってるが、どうしようもない」とお手上げの様子だ。

 ガスに替わる“自衛手段”の工夫もある。同市北園町の「理容オーロラ」は通水した25日から洗髪を再開。電気で沸かした湯をじょうろに入れ、2人掛かりでシャンプーする。店主の杵渕賢司さん(56)は「髪を洗えないお客さんが多い。ガスのありがたみが分かった」としみじみ語る。

 被災地で目立つのは、水を入れたペットボトルが並ぶ光景。水を日光で温め、浴びるためのものだ。ホームセンターなどでは、カセットコンロ用の替えボンベが売れている。刈羽村下高町、自営業吉田元治さん(74)は「カセットコンロは、都市ガスのようには料理に火が通らないし、すぐなくなる」とあきらめ顔だった。

 日本ガス協会によると、同市と同村のガス復旧率は、めどとしてきた10日でも9割にとどまる。軟弱地盤で掘削作業ができなかったり、家屋倒壊でガス管損傷の恐れがあったりするのが原因。残りの1割、約3000戸については「復旧の見通しが立っていない」としている。
新潟日報2007年8月4日


7、柏崎刈羽原発:198立方メートルの油、土壌に漏出か
 新潟県中越沖地震のため柏崎刈羽原発の変圧器多数が損傷し、内部の絶縁油が漏れていた問題で東京電力は3日、計約198立方メートルの油が発電所内の土壌にしみ込んだ可能性があると発表した。東電は今後、土壌の回収などを検討する。
 ほとんどの変圧器は、油の流出に備えて地面にコンクリートが張られ、周囲には防油堤もある。しかし地震で地面や堤にひびが入り、油が漏れたらしい。発電所の放水口では先月末、微量の油が海に流出しているのが見つかっており、土にしみ込んだ油が地下水に混じったとみられていた。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月3日 21時34分


8、柏崎刈羽原発:6号機の天井クレーンで新たな部品の破断
 東京電力は3日、柏崎刈羽原発6号機原子炉建屋の天井クレーン(重さ約310トン)で、新たな部品の破断が見つかったと発表した。7月24日、新潟県中越沖地震による鋼鉄製部品2個の破断が見つかっていたが、部品のカバーを外すと、もう1個が破断していたという。
 クレーンはレールの上を車輪で動く仕組み。破断した部品はいずれも車輪にモーターの動力を伝える車軸の一部で「継ぎ手」と呼ばれる部分だった。継ぎ手は計4カ所あり、これまで異常なしとされた2カ所にはいずれもカバーがかかっている。2日夜、カバー全体を外して、新たな破断が分かった。
 東電はすでに6号機以外の原子炉建屋天井クレーンの外観を点検し、異常なしとしていた。しかし同様のカバーは1、2、3号機のクレーンにもあり、どれも外していなかった。このため来週以降、点検をやり直す。
 クレーンの下には原子炉本体があるが、東電によると、車軸が壊れてもクレーン本体はレールから外れない仕組みで、破断が3個でも落下のおそれはなかったという。【高木昭午】
毎日新聞 2007年8月3日 21時26分


9、刈羽の住宅、5割が半壊以上

 中越沖地震で刈羽村の住宅被害調査が4日までに全体の65%を終了し、半壊以上が5割に上ることが分かった。柏崎市は7割の住宅で調査を終え、約1割が半壊以上。木造の被害の割合が非木造よりも目立っている。

 同村の住宅調査は約1400棟が対象。3日までに918棟を調査した結果、9割に被害がみられ、全壊は15%の139棟、大規模半壊は12%の111棟、半壊は24%の218棟を数え、一部損壊は約4割にあたる364棟。

 同市では約3万1800棟が対象で、3日までに2万2507棟を調査。約95%に何らかの被害がみられ、全壊は683棟、大規模半壊は243棟、半壊は1502棟。一部損壊が1万8888棟で8割強を占める。また、半壊以上の被害は木造で10%に上る一方、非木造では5%程度にとどまっている。

 同市は4日、被災住宅を解体する業者の指定登録受け付けを開始。初日は約130社が申請した。解体工事を登録業者に依頼すれば、解体費は個人負担だが、収集運搬費は市が負担する。
新潟日報2007年8月4日



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石田ふたみ