『日々の映像』

2007年08月03日(金) 中越沖地震の記録 (24)

1、IAEA、柏崎刈羽原発を6日から調査     朝日新聞
2、柏崎原発停止でCO2排出2%増加 東電試算  朝日新聞
3、柏崎刈羽原発の不具合1263件 修繕はほとんど進まず 朝日新聞
4、原発中枢部「変形も」、保安院が徹底検査要求 柏崎刈羽 朝日新聞
5、中越沖地震:サポート情報 ライフライン   毎日新聞
6、原発放射能漏れ、公表方法検討を…新潟県など  新潟日報
7、柏崎原発 異常1263件 10件「最も深刻」 新潟日報
8、今はただ涙出るだけ 旧家再建、苦渋の断念  新潟日報



1、IAEA、柏崎刈羽原発を6日から調査 中越沖地震  朝日新聞
2007年08月02日16時24分
 国際原子力機関(IAEA)が6日から5日間の日程で、新潟県中越沖地震の被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発を調査する。経済産業省原子力安全・保安院が2日、明らかにした。
 IAEAは5日に来日し、6日から9日まで同原発に滞在して地震による原発の被害状況について調べる。10日は保安院の担当者と意見交換する。IAEA原子力施設安全部の地震対策の専門家や、米国や欧州の専門家ら6人が調査にあたるという。
 調査には保安院の担当者も同行する。調査団は報告書をまとめ、公表する見通しだ。
 柏崎刈羽原発の高橋明男所長は「データや現状をそのまま見ていただき、ご説明したい。海外の方の価値観も聞いてみたい」と話した。
 IAEAのエルバラダイ事務局長が先月18日に調査団を送る意向を示した。地元新潟県は保安院に対して調査団を受け入れるよう政府に要請し、政府も受け入れる意向を正式に伝えていた。



2、柏崎原発停止でCO2排出2%増加 東電試算  朝日新聞
2007年08月02日17時34分
 新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原子力発電所にある原子炉7基がすべて止まった事態は、代わりに火力発電所を運転するため、今年度の日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量を2%程度増やす要因になることが、東電の見積もりで明らかになった。世界最大の発電出力を持つ同原発の運転再開のめどがたたないことで、京都議定書で政府が国際的に約束した1990年比6%削減の達成は、ますます厳しくなりそうだ。
 東電によると、同原発では今年度、400億キロワット時の発電をする予定だった。運転停止に伴って夏場の電力需要を賄うため、重油や石炭を燃やす火力発電所を運転する。同じ電力量あたり、火発は原発の23〜44倍のCO2を出すとされる。
 このため東電は同原発が今年度いっぱい停止したとして、今年度のCO2排出量は当初予定より2800万トン(28%)多い1億2950万トンになると見通しを修正した。増加見込みの2800万トンは、日本全体のCO2排出量(05年度で12億9300万トン)の2%程度。国内のCO2はその28%を発電所が排出し、うち約3割が東電分だ。
 電気事業連合会は排出量取引などで、10年度の利用者使用電力量1キロワット時当たりのCO2排出量を90年度比2割削減する目標を掲げており、その達成にも影響しそうだ。環境省地球温暖化対策課は「影響がないとはいえないが、電力会社の努力で目標は達成できると考える」としている。
 NPO法人気候ネットワーク常任運営委員の畑直之さんは「電気事業者は外国と排出量取引をするというが、本来は国内対策で排出量を減らすべきだ。そもそもこれまでの原発稼働率見込みが高すぎた」といっている。
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3、柏崎刈羽原発の不具合1263件 修繕はほとんど進まず 朝日新聞
2007年08月01日23時01分
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所は1日、地震発生から11日間で、天井クレーンの破損など1263件に及ぶ原発内の不具合を確認したと発表した。同原発はふだんから、不具合の件数を毎月公表しているが、今回の11日間だけで、過去最多だった03年4月(805件)の1.5倍に上った。東電によると、修繕はほとんど進んでいないという。
 地震発生の7月16日から26日までに確認された施設の損傷やトラブル、職員の不的確な行為などを集計・分類した。地震で多発したため、前倒しして発表した。
 内訳は「最も危険度が高く、法律や安全協定に反する不具合」が3号機の変圧器火災や6号機の天井クレーンの破損など10件▽「危険度が高く、社外に大きな影響を及ぼす不具合」が固体廃棄物貯蔵庫内で低レベル放射性廃棄物が入ったドラム缶数百本が倒れたことなど33件。
 「周辺自治体に限定的な影響のある不具合」がタービン建屋のパネルが外れるなど21件▽「軽微な不具合」が軽油タンクの地盤沈下や建屋内の亀裂など491件▽「日常の修繕で対応できる不具合」が706件▽分類対象外2件となっている。
 一方、同原発はこの日、6号機原子炉建屋地下1階付近の非管理区域のケーブル用通路に約3トン分の水たまりができていたと新たに発表した。放射性物質は確認されていないという。
 浸水の経路は不明だが、東電は通路のつなぎ目を覆うゴムが劣化したため、地下水が浸水してきたとみている。



4、原発中枢部「変形も」、保安院が徹底検査要求 柏崎刈羽 朝日新聞
2007年07月29日16時40分
 新潟県中越沖地震でトラブルが相次いで見つかっている東京電力柏崎刈羽原発で、経済産業省原子力安全・保安院は原子炉の主要機器も想定外の揺れで肉眼で確認できないわずかな変形やひずみが生じた恐れがあると判断、東電に対して点検の徹底と、再稼働が可能かどうか安全評価の実施を求め、その内容を精査する方針を固めた。31日から始まる同省の調査対策委員会で具体策の検討に入る。
 原発の建物や機器は耐震上の重要度に応じてABCの3クラスに分けて設計している。Aは想定する最大の地震動に耐えられることが条件。最重要機器の原子炉圧力容器や制御棒などは「As」とし、想定よりさらに大きい地震動にも耐えられる設計になっている。
 今回の地震では、全7基で地震動の強さを示す加速度値が想定を上回り、最大680ガル(設計値は273ガル)を1号機で記録した。6号機では原子炉建屋の天井クレーンが破損したほか、3号機横の変圧器では火災も起きた。
 天井クレーンは建築基準法で定める一般建築物の強さの1.5〜1.8倍のB、変圧器は一般建築物並みのCに区分されている。Aの点検はこれからだが、保安院は、炉内の機器や配管部分などで、目に見えない変形やねじれが生じている恐れがあるとみている。
 このため、保安院は東電に対し、まず詳細な点検を求める。その後の安全評価では、地震計データをもとに対象範囲を決めて、建屋や機器、配管にどの程度の力がかかり、その力にちゃんと耐えられていたかどうかを分析するよう求めることにした。保安院は対策委を通じ、安全評価の妥当性や、再稼働に向けた具体策を検討していく。
 東電は全7基でクレーンの点検を始めたが、原子炉の点検作業を始めるのは、秋以降にずれ込む見通しだ。05年8月の宮城県沖地震では、東北電力女川原発1号機が想定をわずかに超える地震動を観測、運転再開まで2年近く費やしている。




5、中越沖地震:サポート情報 ライフライン   毎日新聞
 ◇鉄道 JR信越線・柿崎−柏崎間、越後線・柏崎−吉田間が不通。越後線は10日から臨時ダイヤで運行開始予定。信越線は8月中は復旧できない見通し。柿崎−柏崎、柏崎−出雲崎、出雲崎−吉田間は代行バス運転。柏崎−直江津間も一部、代行バス運転を実施。
 JR東日本は今月10日までの予定だった夜行列車の全区間運休を31日まで延長。運休を延長する列車は以下の通り。
 特急トワイライトエクスプレス号上下(札幌−大阪、大阪−札幌間)▽特急日本海1号・3号(大阪−青森間)▽特急日本海2号・4号(青森−大阪間)▽特急北陸号上下(金沢−上野、上野−金沢間)▽急行能登号上下(金沢−上野、上野−金沢間)▽急行きたぐに号上下(新潟−大阪、大阪−新潟間)▽急行あおもり号上下(青森−大阪、大阪−青森間)
 ◇ガス 日本ガス協会によると、2日午後8時現在、柏崎市、刈羽村の3万978世帯のうち、2万2205世帯で供給停止。
 ◇道路 国道352号の柏崎市椎谷−大崎間、同市大湊地内の2カ所が通行止め。大湊は10日復旧見込み。国道405号は長野県栄村和山−切明間で落石防止工事のため通行止め。村道の迂回(うかい)路あり。工事は10月上旬までの見通し。
 2007年8月2日 20時11分 (最終更新時間 8月2日 20時13分)



6、原発放射能漏れ、公表方法検討を…新潟県など新潟日報
 新潟県と柏崎市、刈羽村は2日、原子力安全協定に基づく東京電力柏崎刈羽原発への立ち入り調査(3回目)を行った。
 調査後、県原子力安全対策課は「放射能漏れの発表は、国の放出基準を基に判断し、(誤解を招かない)公表の仕方を検討する必要がある」とした。
 同行した県原発技術委員会の宮健三座長(法政大大学院客員教授)も「風評被害につながるので、県が公表する際には適切な技術的表現が必要。委員会としても検討する」と話している。
(2007年8月2日20時57分 読売新聞)



7、柏崎原発 異常1263件 10件「最も深刻」 新潟日報
 東京電力は1日、柏崎刈羽原発で中越沖地震により発生したトラブルや故障、作業ミスなどの異常(不適合事象の審議件数)が、ごく軽微なものを含めると、先月26日までで1263件に上ったと発表した。最高グレードの「As」は3号機変圧器の火災や6号機のクレーン破損など十件だった。
 不適合事象の管理システムは、2002年に同原発などで発覚したトラブル隠しを機に、同年10月に始まった。所員らから報告された事象を所内の不適合管理委員会で審議し、法令などで報告が義務づけられている「As」、社外への影響が重大な「A」、影響が限定的な「B」、軽微なトラブル「C」、日常のメンテナンス程度の「D」の5グレードに分類する。
 同原発全体では7月分(1―26日の暫定数値)の審議件数は1527件に上り、システム発足以降月間で最多。このうち約82%が中越沖地震によるもので、内訳はAが7号機の放射性物質漏れや主排気筒ダクトのずれなど33件、Bがポンプ故障など21件、Cがボルト破損など491件などだった。
 最も多かったのは、壁のひびやはく離などで367件。次いで機械の破損・変形の286件、水漏れの272件だった。
 一方、東電は1日、6号機原子炉建屋地下1階に隣接する電気ケーブル用の通路で、4カ所の水たまりを発見したと発表した。通路の接続部分のゴムパッキンが傷んで地下水が入り込んだとみられる。水量は計3トンで、放射性物質は検出されなかった。
 また、東電は同日、中越沖地震による所内のけが人が11人になったと発表した。協力企業から、作業員が地震で転倒し、腕と手首に打撲などを負ったとの報告があった。
2007年08月02日



8、今はただ涙出るだけ 旧家再建、苦渋の断念  新潟日報
2万棟以上の家屋に被害が出た中越沖地震から2週間以上すぎた。被災地の柏崎市などで仮設住宅建設は進むが、今後の生活の場の確保は被災者に重い負担となってのしかかる。被災した家の修理、再建をあきらめ、早々に借家に移り住んだ家族もある。
 「今はただ、涙が出るだけ。娘たちには『どうせ壊すんだから、きれいにしなくてもいい』って言われるけど…」。柏崎市四谷一の吉岡君江さん(79)は旧宅の倒れそうな柱や壁を怖がることもなく縁側の床を掃いた。
 栃木県生まれ。亡くなった夫とは東京で知り合い、60年前に嫁いできた。夫とともに老舗の菓子問屋を継ぎ、娘2人を育てた。菓子問屋は20年前にやめ、二女の順子さん(48)とその夫の自営業小林誠二さん(52)の3人で暮らしている。
 被災した家は築100年以上、建坪63坪(208平方メートル)の木造2階建て。玄関脇に店舗の名残をとどめる。地震によって店舗部分が大きく傾き、住居部分も激しく傷んだ。今は解体される日を待っている。
 同じ町内に借家を見つけ、先月28日から住む。借家生活については「お金をかけて直すのも大変。家賃を払う方がいいかなと思った」と打ち明け、「でも寂しいね」と繰り返した。
 誠二さんも片付けをしながら口を開く。「市は(応急危険度判定の)赤紙を張って『ここは危険だから出て行け』と言うだけ。でも仮設住宅ができるまで待っていられない」。生活再建に向け、行政からどんな支援を得られるのか分からないまま「個人で頑張るしかない」と感じている。
 君江さんは勝手口に並んだぬか漬けのプラスチック樽(たる)に手を入れた。「キュウリやナスや何でも漬けて近所の友達にも上げてきた」。そう振り返り、新しい家に運ぶ樽にふたをして、言葉を継いだ。「借家はすぐ近くだから友達も変わらない」。曇っていた顔が少しほころんだ。

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石田ふたみ