『日々の映像』

2007年08月02日(木) 中越沖地震の記録 (23)

1、柏崎刈羽原発のトラブル1263件、新たに浸水3tも発見 読売新聞
2、社説 被災者意識調査 「原発不安」に意を尽くせ   新潟日報
3、リケン全面復旧、稼動再開  新潟日報
4、ライフラインの状況  朝日新聞
5、梅雨明けの柏崎で32・6度、避難所は熱中症を警戒  読売新聞


1、柏崎刈羽原発のトラブル1263件、新たに浸水3tも発見 読売新聞
 東京電力は1日、新潟県中越沖地震の影響で柏崎刈羽原子力発電所の建物のひび割れや機器の故障などトラブルが合計1263件見つかっていたことを明らかにした。
 東電は2002年のトラブル隠し発覚後、法令で報告義務のない軽微なトラブルも「不適合事例」として毎月公表している。今回の地震では7月26日までの情報をまとめて出した。これまで公表済みの68件に、軽微なものは含まれていなかった。
 1263件の内訳は、建物の壁のひび割れやはく離が最も多く367件。機器の破損や変形(286件)、水漏れ(272件)、設備の停止(101件)と続いた。
 重要度分類では、使用済み核燃料貯蔵プールの水があふれるなど国や自治体への報告対象になる「As」クラスが10件で、すべて公表済み。排気ダクトのずれや消火用配管の破断などの「A」が33件、ひびや少量の水漏れなど「B」が21件、より軽微な「C」が491件、「D」が706件。評価の結果、対象外とされた事例は2件だった。
 また、この日、柏崎刈羽原発6号機の原子炉建屋地下1階と、6、7号機共通の中央操作室のあるコントロール建屋地下2階をつなぐケーブル用の通路で約3トンの浸水が見つかったことも発表した。通路にあるつなぎ目から地下水がしみ込んだとみられる。放射性物質は検出されていない。
 たまった水は仮設ポンプで屋外に排出する。
(2007年8月1日20時54分 読売新聞)



2、社説 被災者意識調査 「原発不安」に意を尽くせ   新潟日報
 質問に対する回答欄に、ひときわびっしりと書き込まれた項目がある。思いの丈を記した文字が欄外にまで続く用紙もあり、肉声がほとばしるかのようだ。
 「怖い」「信用できない」「地元に落ちる金が大きいのは分かるが…」。質問は、中越沖地震による柏崎刈羽原発のトラブルについての項目だ。新潟日報社が被災者六百人を対象に行った聞き取りアンケート調査の一部である。
 三年前に行った、中越地震の避難者千人へのアンケートでは、食事や風呂など最低限の生活が確保できない嘆きが目立った。被災地が中山間地で、交通網寸断の影響が大きかったためだ。
 今回の調査で特徴的なのは、生活の不自由さに加えて、原発への不安や不信が根強いことだ。「これから不安なこと」を聞いた質問では、住宅再建や生活資金問題などを上回って「原発トラブル・放射能漏れ」が42%でトップとなった。
 被災者は、自分自身や家族の健康管理、生活再建に対応するだけで手いっぱいのはずだ。「原発」までが心にのしかかれば、そのストレスはどれほどになるのか。安全性に対する住民の不安が現在進行形であることを、東京電力や行政は重く受け止めるべきだ。
 被災者の多くは柏崎・刈羽を生活拠点とし、今後もこの地で暮らしを営む人々である。原発の運転再開などをめぐる質問の回答に、「原発城下町」の住民ならではの苦悩がにじむ。
 トラブルの報告が大幅に遅れた東電の対応に対しては、半数が「許せない」と怒りをあらわにした。だが運転再開については「閉鎖すべきだ」は二割にとどまり、半数が「安全性が確認されれば再開してもいい」と答えた。
 原発の設置は電源の多様化を目指した国策として進められてきた。原発を受け入れた地方の住民だけに、リスクを負わせていいはずがない。「電力は首都圏へ、リスクは地元で」では、立地点は浮かばれない。国民の生命と安全を守ることは政治の大前提である。
 今回の地震で原発がどんな被害を受けたのか、全容は明らかになっていない。断層についての情報も錯綜(さくそう)している。企業や政府にとって都合の悪い情報であっても速やかに公開し、対策を誠実に講じていく。それしか信頼回復の道はない。
 これから仮設住宅の入居や引っ越しなど暑い中での作業が続く。災害の後、日数がたつにつれ、被災者のニーズは刻々と変化する。
 どんな支援が必要なのか、遠慮なく声を上げてほしい。地震列島日本では誰がいつ、同じ目に遭うか分からない。被災者の要望を吸い上げ、蓄積することはみんなの財産になるはずだ。
[新潟日報7月29日(日)]




3、リケン全面復旧、稼動再開  新潟日報
 中越沖地震で柏崎市内の生産拠点が被災したリケン(東京)は1日、主力工場の柏崎事業所や、同市内の関係会社などの生産が先月30日に全面復旧したと発表した。鋳物部品用の設備の修繕、試運転を終え、工場の稼働率は被災前の水準に回復した。県は被災者を中長期的に支援するため、泉田裕彦知事を議長とする復旧・復興会議を設置することを決めた。2日に初会合を開く。

 同会議は県の各部局長、国など関係機関で構成し、新潟大震災復興科学センターなどが協力。復旧事業の推進、復興施策の立案、復興関連制度の検討などを進める。同会議の設置に伴い、これまで毎日開いていた災害対策本部会議は不定期とする。

 柏崎市は1日、中越沖地震の災害復旧費など約5億6000万円の補正予算を専決処分したことを明らかにした。また、行政や県弁護士会などが個別に開設していた相談窓口を同市役所の「被災者相談所」に一元化。同市の市街地循環バス「かざぐるま」が同日、運転を再開した。

 同市と刈羽村のガス復旧率は、同日午後6時現在で25・33%。2万3130戸で供給が止まったままだ。
新潟日報2007年8月2日



4、ライフラインの状況  朝日新聞
2007年08月01日
<避難所>
 柏崎市では31日午後8時現在、52カ所に1234人、福祉避難所6カ所に51人が避難。刈羽村は午後6時現在、5カ所に165人が避難している。

 <入浴>
 海上自衛隊の掃海母艦「うらが」を使った入浴サービスは午後3〜8時。整理券は不要。
 陸上自衛隊の野外風呂を使った入浴サービスは次の通り。
 【柏崎市】柏崎小、松浜中、北鯖石小、二田小、西山町いきいき館、中川コミュニティーセンター、南部コミュニティーセンター、北条北小、北条コミュニティーセンター、北条中、特別養護老人ホーム「しおかぜ荘」、比角小、中通コミュニティーセンター、大洲コミュニティーセンター、田尻小、ワークプラザ柏崎、保健福祉センター「元気館」(要介護者のみ)、半田コミュニティーセンター、宮川コミュニティーセンター、特別養護老人ホーム「なごみ荘」、ケアセンター久松(要介護者のみ)、柏崎病院(入院患者のみ)
 【刈羽村】生涯学習センター「ラピカ」、PLANT―5

 <ガス>
 31日午後8時現在の復旧率は旧柏崎市で23.8%、西山・刈羽地区で13.7%。7013戸で使えるようになった。

 <くらし>
 ◆中小企業者への支援
 県が「平成19年新潟県中越沖地震対策資金」を創設。融資限度額は7千万円(知事特認2億円)で、期間は10年以内。
 地震被害で最近3カ月間の売り上げが2割以上減少している中小企業は「新潟県セーフテイネット資金(経営支援枠)」の対象になる。融資限度額は4千万円で、期間は10年以内。
 問い合わせは商業振興課金融係(025・280・5240)へ。
 <ボランティア>

 ◆手話通訳の派遣延長
 柏崎市福祉課の窓口で、被災者の相談に応じている手話通訳者の派遣期間が、10日まで延長される。11日以降も状況に応じて延長を検討。問い合わせは、県障害福祉課地域生活支援係(025・280・5212)へ。
 
◆災害ボランティアバスの運行休止
 県が被災地にボランティアを送迎しているバスの運行を、2日から一時休止する。被災地の交通事情が改善されてきたため。今後は仮設住宅への入居時など、必要になった際に再開を検討する。問い合わせは県災害対策本部災害ボランティア調整班(025・280・5980)へ。

 <交通>
 
◆JR
 信越線は「柿崎―柏崎」が不通で、この区間はバスによる代行輸送をしている。一部のバスは「直江津―柏崎」の運転。「直江津―柿崎」「柏崎―長岡」は臨時列車で徐行運転中。
 越後線は「柏崎―吉田」で不通が続き、「柏崎―出雲崎」「出雲崎―吉田」で代行輸送を実施中。
 
◆高速道
 柏崎市内の渋滞緩和のため、一般車両は午前8時から午後8時まで、柏崎ICから出られない(緊急車両は除く)
 
◆一般道
 ▽通行止めの道路
 【柏崎市】国道352号(椎谷、大湊)小千谷大沢線(大沢)東柏崎停車場線(東本町)礼拝長岡線(西山町和田―同町内方)=31日午後6時現在、県警まとめ
 ◆路線バス
 
【越後交通】
 柏崎市街地循環線(かざぐるま)が1日から、う回運転で再開される。ただし「東本町2丁目」「諏訪町1丁目」「裁判所前」「市役所前」の各停留所は休止。
 
【越後柏崎観光バス】
 「柏崎駅―鯨波」「柏崎駅―川内」「柏崎駅―谷根」の3路線が、1日から特別ダイヤで運行を再開する。
 まだ運休中の区間は「柏崎駅―出雲崎」「柏崎駅―椎谷」「柏崎駅(山本経由)妙法寺」。



5、梅雨明けの柏崎で32・6度、避難所は熱中症を警戒  読売新聞
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市内で1日、今季初の真夏日となる最高気温32・6度を記録した。
 同県はこの日、梅雨明けし、地元の小学校では閉鎖されていたプールが久しぶりに開放された。子供たちは歓声を上げたが、蒸し暑い避難所で暮らす市民からは、脱水症状などへの不安の声が出ている。
 プールが開放されたのは、同市山室の市立南鯖石(みなみさばいし)小。1日にようやく開放にこぎつけると、待ちわびた子供たちは、水しぶきを上げて大はしゃぎ。5年の石塚雄也君(10)は「早くプールに入りたかった。あしたからは毎日でも来たい」と声を弾ませていた。
 真夏の到来で、各避難所を回る保健師らは、熱中症に注意するように呼びかけている。約50人が避難している同市学校町の市立第一中学校体育館にはクーラーが4台あるものの、「冷房が苦手なお年寄りが多い」(市職員)として、スイッチは入れず、20台ある扇風機と自然の風で暑さをしのいでいる。
 3人の子供と避難している同市西本町の事務員荻原みち世さん(40)は「夜は涼しく、昼間との気温の差が激しい。これだけ暑いと脱水症状が怖い」と話していた。
(2007年8月1日23時14分 読売新聞)

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石田ふたみ