『日々の映像』

2007年07月24日(火) 中越沖地震の記録 (14)

以下の記事で一番ばかばかしく思ったのは「高齢者の住宅の耐震補強、政府が新支援策を検討」であった。
「政府は23日、新潟県中越沖地震で家屋が倒壊して高齢者が死亡するケースが相次いだことを受け、高齢者の住宅の耐震補強に関する新たな支援策を策定する方針を固めた。政府系金融機関が、高齢者の持つ不動産を担保に、融資する仕組みなどが検討されている。」〔記事の引用〕
 ただの融資の検討で新支援策といえるか。平均的な高齢者は、生活がやっとで融資の返済能力は無いのである。それなのに、ぬけぬけと「高齢者の住宅の耐震補強に関する新たな支援策を策定」と言っていることは、現状認識が狂っていると言わねばならない。



1、地震で原油パイプライン破断―刈羽 新潟日報
2、エコノミークラス症候群、6人に1人に兆候  朝日新聞
3、中越沖地震:被害総額は1兆5千億円にも…新潟県発表
4、柏崎刈羽原発の水漏れ、建屋に構造欠陥…原子力保安院  読売新聞
5、中越沖地震被害、負傷1800人・避難なお3000人 経済新聞
6、トヨタ、24日生産再開・地震で車減産、業界で10万台以上へ  経済新聞
7、放射能含む水、共振現象起きプール外流出 柏崎刈羽原発 読売新聞
8、高齢者の住宅の耐震補強、政府が新支援策を検討 読売新聞
9、柏崎刈羽原発、再開見通し立たず…検証に相当の時間   読売新聞
10、血栓発症率、通常の3倍にも  新潟日報
11、仮設住宅の入居申し込み開始  新潟日報


1、地震で原油パイプライン破断―刈羽 新潟日報
中越沖地震発生直後、石油資源開発(本社東京)の送油パイプラインが刈羽村で破断して原油が噴き出し、周辺の水田に被害が出ていたことが22日までに分かった。出穂期を前にして水稲は黄色く枯れ、水田所有者は「田んぼは長期間、使えないかもしれない」と不安を漏らしている。

 同社によると、柏崎市吉井で採掘した原油を長岡市雲出町まで送る約24キロのパイプラインが同村大塚地区の1カ所で破断し、原油が飛散。近くの水田約210アールに被害が確認された。飛散した油量は不明だが、同社では吸着マットで水田に浮いた油を吸い取り、水路から油が流れ出ないように対策を実施。さらに被害を受けた水田所有者や耕作者7人に謝罪し、今後、被害範囲を確定した上で補償するという。

 水田約60アールが被害を受けた同村の自営業男性(49)は「現場を見たときはショックだった。果たして今後も米を作れるのかどうか」と、うつむきながら話していた。
2007年07月23日



2、エコノミークラス症候群、6人に1人に兆候  朝日新聞
2007年07月23日20時54分
新潟県中越沖地震で避難生活を送る418人中70人(16.7%)に、ふくらはぎの静脈に血の塊(血栓)ができる「エコノミークラス症候群」(下肢静脈血栓)の兆候があることが23日わかった。うち28人(6.7%)にはすでに血栓ができていた。新潟大医学部と国立病院機構新潟病院などの合同チームが調査した。新潟病院の中島孝副院長は「とにかく体を動かし、適切に水分をとってほしい」と呼びかけている。

 合同チームは18日から調査を開始。23日までに柏崎市内の27カ所の避難所で住民たちに超音波検査をした。ふくらはぎの静脈が広がるなどエコノミークラス症候群の兆候がある人の割合は「通常の生活を送っている場合よりかなり高い」(中島医師)という。

 血栓ができた後も体を動かさない状態が続くと3〜4日で血栓が大きくなり、肺などに詰まると命にかかわるという。予防には静脈の血液を早く心臓に戻すことが重要なため、合同チームは兆候のあった70人に締め付け圧力の高いストッキングを配布。さらに医療機関を受診して経過をみてもらうよう指導した。

 04年秋の中越地震では車中泊をした人が多く、新潟大・榛沢和彦医師らの調査では、小千谷市の避難所で検査を受けた78人中29人(37.2%)に血栓があった。2年後の検査でも血栓が残っていたり、再発を繰り返したりしている人がいた。

 中越地震に比べると今回、血栓の発生率は低い。中島医師は「夏で車中泊の人が少ないことや、保健師や医療チームによって早くから運動指導などが行われていることが影響している可能性がある」としている。


3、中越沖地震:被害総額は1兆5千億円にも…新潟県発表
毎日新聞 2007年7月23日
復旧作業が行われるJR信越本線青海川駅の崖崩れ現場では土砂の上で確認作業をするJR職員の姿も見られた=新潟県柏崎市で23日午後1時50分、兵藤公治撮影 新潟県中越沖地震で、県は23日、被害総額が1兆5000億円に達する可能性があると発表した。泉田裕彦知事は会見で「個人の生活を直撃したのが今回の特徴。基金の設立を国にお願いしたい」と話した。

 県政策課によると、商工業施設の被害や売り上げの減少など商工関係で約3000億円▽住宅など建築物の被害約2000億円▽道路などのインフラで約700億円▽農林水産関係約400億円▽ライフライン約100億円−−などとしているほか、学校など公共施設の被害など「その他」を約8800億円としている。

 試算には宅地や港湾などの直接的な被害のほか、農産物の売り上げ減少や風評被害などの間接被害の見込み額も含まれる。また、その他には、地震で停止した東京電力柏崎刈羽原発の停止による電力の売り上げ減少見込み額7000億円も見込んでいる。【渡辺暢】



4、柏崎刈羽原発の水漏れ、建屋に構造欠陥…原子力保安院  読売新聞
 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機の使用済み燃料プールの水があふれ、放射性物質を含む水の一部が「非管理区域」に漏れ、海に放出された問題で、経済産業省原子力安全・保安院は23日、プールが設置された原子炉建屋4階の構造に、設計上の問題があるとの見方を示した。

 また、保安院の薦田康久院長は同日、同原発を視察して、「消防体制や放射性物質漏えいの連絡体制など改善すべきことは多い」と地震対策の問題点を指摘、「運転再開を考えるべき時期ではない」と、再開までかなりの時間がかかるとの見通しを示した。
 東電の説明によると、使用済み燃料プールの水は、地震の揺れで建屋4階の「作業フロア」にこぼれ、一部が床下に設置した「給電ボックス」に入った。
 ボックスにはケーブルを通す配管の穴があり、ケーブルの周囲は充てん材で固められていたが、完全な密封状態ではなく、すき間から水が浸入、配管を通って壁の向こう側の中3階にある非管理区域の中継ボックスに到達、床に落ちたとみられる。同社によると、プールから給電ボックスまでは10メートル以上の距離があり、水の浸入は想定していなかったという。
 ただ、6号機以外では、中継ボックスが管理区域にあり、万一水漏れが発生しても、外部に漏れ出す恐れはない。また、1〜5号機については、給電ボックスの開口部が床面よりも上にあるため、水漏れが起きにくい構造という。
 保安院は、こうした点から6号機建屋の構造に、水の漏出を引き起こす欠陥があったと推定、東電に対し改善を促す方針。
 東電は当面、給電ボックスの開口部に充てん材を補充し密封性を高める応急措置を取り、給電ボックスそのものの改良も検討する。
 また、東電は23日、原子炉建屋内の点検計画を国に提出し、来月中旬以降、各号機の圧力容器内部の調査に着手することを発表した。 
(2007年7月24日0時10分 読売新聞)


5、中越沖地震被害、負傷1800人・避難なお3000人 経済新聞
 死者10人を出した新潟県中越沖地震の負傷者は22日午後9時現在、新潟、長野両県などで1800人を超えた。住宅への被害は約9200棟に及び、ガスの供給停止が3万戸に上るなど生活インフラの傷も深く、被害の集中した柏崎市と刈羽村では約3000人が避難生活を続けている。

 新潟県のまとめなどによると、負傷者は柏崎市1339人、長岡市190人、上越市118人、刈羽村47人など。住宅の全壊は960棟で、柏崎市で908棟、同村で35棟が全壊した。

 断水は柏崎市と刈羽村の約2万4000戸で続いており、復旧には25日までかかる見通し。ガスは作業員1200人が復旧作業を続けているが、約3万戸で供給停止のまま。ガスは被災直後からほとんど復旧が進んでいない。電気は18日に復旧した。 (7/23)


6、トヨタ、24日生産再開・地震で車減産、業界で10万台以上へ  経済新聞
 トヨタ自動車は23日、新潟県中越沖地震の影響で生産を休止していた工場を24日から一部再開すると発表した。自動車部品大手リケンが23日午前から製品出荷を再開したため。いすゞ自動車なども生産休止を解除、地震発生から一週間がたち、産業界で影響の大きかった自動車も復旧に向け本格的に動き出した。ただ、自動車各社がフル稼働に戻るまでにはなお時間がかかり、休止に伴う減産は1995年の阪神大震災時の約4万台を上回る合計10万台以上となりそうだ。

 トヨタはグループ会社を含めた28工場の生産を休止しているが、まず元町工場(愛知県豊田市)など12工場で24日朝から通常稼働に戻す。一部の車両工場は24日も休止する予定。  (7/23)



7、放射能含む水、共振現象起きプール外流出 柏崎刈羽原発 読売新聞
                      2007年07月24日03時11分
 柏崎刈羽原発6号機(新潟県)から放射能を含む水が海に流れ出た問題で東京電力は23日、使用済み核燃料プールの水が地震動に共振して大きく波打つ「スロッシング」現象を起こし、プールからあふれたことを明らかにした。同原発全7基のプールで起こったとみられる。04年の中越地震時に同原発で同じ現象が起こっていたこともわかり、今後の対策の焦点になりそうだ。
 東電によると、プールの水が地震で漏れる現象は想定しているが、今回のように放射線管理区域外への水漏れ現象は想定していなかった。
 管理区域外にプールの水が漏れた6号機では、プールの水面から床まで40センチの高さがあったが、水はこれを越えるほどの勢いで揺さぶられた。管理区域外への漏出経路となった電線ケーブルまでは15メートルあった。



 8、高齢者の住宅の耐震補強、政府が新支援策を検討 読売新聞
 政府は23日、新潟県中越沖地震で家屋が倒壊して高齢者が死亡するケースが相次いだことを受け、高齢者の住宅の耐震補強に関する新たな支援策を策定する方針を固めた。
 政府系金融機関が、高齢者の持つ不動産を担保に、融資する仕組みなどが検討されている。
(2007年7月23日22時26分 読売新聞)



9、柏崎刈羽原発、再開見通し立たず…検証に相当の時間   読売新聞
 東京電力柏崎刈羽原発では、これまでに計63件のトラブルや機器の損傷などが見つかった。東電は当初、運転再開に最低数か月かかるとの認識を示したが、被害の深刻さが明らかになるにつれ、ほとんど見通しが立たなくなった。
 一番重要な炉心の点検もこれから。炉心内部は、強烈な放射線のため、遠隔操作のカメラで点検する。修理が必要な場合、作業員は短時間しか活動できず、多数の交代要員が要る。圧力容器のふたを開けて、ウラン燃料を取り出すには、クレーンの健全性の確認も必要。点検着手は早くても来月以降だ。
 点検や修理以上に難題なのが、耐震安全性の再検証だ。地震波データを詳細に分析し、実際に建屋や機器がどの程度揺れたかをコンピューター上で再現。今回を上回る大地震に対しても安全を維持できるかどうかを確認する。東電がこうした報告書をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院が専門家の意見を聞きながら再開の可否を判断する。
 2005年8月に、やはり想定を上回る揺れに見舞われた東北電力女川原発の場合、全3基が最終的に運転を再開したのは今月で、約2年かかった。柏崎刈羽原発は、女川原発をかなり上回る激しい揺れだったうえに、海底活断層の調査もやり直すことから、再検証にも、相当の時間がかかることが予想される。
              (2007年7月23日13時35分 読売新聞)


10、血栓発症率、通常の3倍にも  新潟日報
 中越沖地震の被災者の中で、心筋梗塞(こうそく)や肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)などを引き起こす危険がある血栓の発症率が、通常の3倍になっていることが23日、新潟大などの医療チームが柏崎市内の避難所で行ったエコー検査で分かった。また強いストレスで発症するタコつぼ型心筋症も地震後、柏崎市の刈羽郡総合病院で被災者3人に確認された。医療関係者は十分な水分補給や運動、ストレス解消を呼び掛けている。

 同チームの検査は18―22日、市内約10カ所の避難所で400人に実施。そのうち6・5%に当たる26人の足の静脈に血栓が発見された。同大大学院の榛沢和彦医師(呼吸循環外科)によると、平常時の血栓発症率は1・8%で「高齢者に多いが、避難所では20代にも見つかった」という。

 血栓による心筋梗塞や脳梗塞、同症候群は中越地震で発症が相次ぎ、死に至るケースもあった。

 一方、心筋の一部が麻ひして動かなくなるタコつぼ型心筋症は、中越地震で約30人に確認されるなど、災害時に増加するといわれている。被災者の診療に当たる同病院の井田徹内科部長は「息苦しさや胸苦しさを感じたら、軽くても病院で診てもらってほしい」と話す。

 新潟大大学院の相沢義房教授(循環器学)は「血栓は脱水症状になると生じやすい。避難生活のストレスで血圧が上がると、心筋梗塞や脳卒中も起こしやすい」と注意を呼び掛けている。
新潟日報2007年7月23日


11、仮設住宅の入居申し込み開始 新潟日報
 中越沖地震の被災者向け応急仮設住宅の申し込み受付が22日、刈羽村で始まった。村役場と避難所に窓口が設けられ、村民が相談に訪れた。初日は役場の窓口で午後7時までに5件の申し込みがあった。同村の受付期間は31日まで。
 同村は仮設住宅200戸を同村西谷の源土運動広場に建設予定。県によると、完成は8月15日の見込み。住宅の被害調査で全壊に認定された世帯などが対象となる。
 初日は区長を通じて各戸に入居希望調書が配られたほか、自宅を離れて過ごす住民には避難所で書類が手渡された。
 役場の窓口を訪ねた同村刈羽の無職小林栄一さん(67)は「住めるまでに直すにはお金がかかる。この年で借金をするのも大変」と話し、職員から説明を受けていた。
 同村による住宅被害調査の担当者は、県の協力も含め8人。村税務課は「被害認定が長引けば、住民生活に影響が出る」と県に増員を要請した。
 柏崎市は23日から全戸に入居案内を配布し、26日から8月3日まで入居申し込みを受け付ける。
【写真】中越沖地震の被災地で仮設住宅の入居希望受付が始まり、相談に訪れた被災者=22日、刈羽村役場
2007年07月23日

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石田ふたみ