『日々の映像』

2007年07月23日(月) 中越沖地震の記録 (13) 

1、「町が死ぬ」風評被害に観光地悲鳴 産経新聞
2、<中越沖地震>震源近くは30センチ隆起 「だいち」が観測
3、被災の自動車部品メーカー「リケン」、23日に操業再開 朝日新聞
4、<中越沖地震>原発の水漏れプール写真公表 社民党視察団
5、重軽傷者1812人、住宅被害も拡大 中越沖地震1週間 朝日新聞
6、震源地近い海底に大量の古木 液状化で浮上か 毎日新聞
7、知事、IAEA調査めぐり政府を批判
8、柏崎刈羽原発のIAEA調査、政府が受け入れへ  経済新聞
9、柏崎刈羽原発6号機建屋の最上階に水浸しの跡   読売新聞
10、断水なお2万4000世帯、中越沖地震発生から1週間 読売新聞
11、日報抄
12、日報抄
13、損壊家屋1万棟超える 新潟日報



1、「町が死ぬ」風評被害に観光地悲鳴 産経新聞
7月22日14時23分配信
新潟県中越沖地震の風評被害が夏本番を迎えている観光地を直撃している。新潟県旅館組合によると、地震以降約2万人が宿泊予約を取り消した。深刻なのは柏崎市から30キロほど離れた長岡市寺泊。関東や長野からも海水浴客が訪れる日本海側有数の海水浴場だが、7月の予約の8〜9割がキャンセル。3年前の中越地震から復興した長岡市蓬平温泉でもキャンセルが相次いでいる。柏崎刈羽原発事故の影響を心配する声もあり、風評被害を払拭(ふっしょく)するには時間がかかりそうだ。

 「どうして新潟県中越沖地震なの? 寺泊じゃ棚から物ひとつ落ちてないし、海だって安全なのに…。名前を付けるなら新潟県柏崎沖地震じゃないの」

 こう吐き捨てたのは中央海水浴場の浜茶屋の女性(51)。寺泊にある4つの臨海学校用施設のうち、群馬県の吾妻広域町村圏、伊勢崎市、前橋市が臨海学校の中止を決めた。表向きは長引く余震が理由だが、原発の安全性に保護者が敏感になっている側面もありそうだ。

 この中止で約7000人の宿泊が消える。食事や土産物、水族館見学など地元経済に与える影響は大きい。「被害がなく安全なことを説明していますが、風評が理由の中止なら残念だ」(森山信太郎支所長)

 宿泊施設も深刻だ。海洋深層水を使ったお風呂とカニ食べ放題で人気の「きんぱちの湯」も例年なら8月のお盆まで予約でいっぱいだが、「7月中の予約は9割近くキャンセル。毎日75人のうち60人のキャンセルです。日帰り客も1日400〜450人だったのが100人もない」と納屋富雄支配人は話している。

 寺泊町海岸通り魚商組合の海産物店が軒を連ねる「魚のアメ横」も閑散としている。

 「人出は例年の1割。風評被害は中越地震よりひどい。このままじゃ死んだ町になっちゃう」と山田栄三郎組合長も心配顔だ。

 中越地震から立ち直りかけている長岡市蓬平温泉も「和泉屋」「福引屋」「よもやま館」では7月中のキャンセルが700件に達している。和泉屋は県と市からの3億円の制度資金で建物を再建、経営も軌道に乗り始めた直後で、女将の田崎久子さんは「返済も順調でこれからという時期。450件のキャンセルに血の気がうせました」と頭を抱えている。  (石田征広)



2、<中越沖地震>震源近くは30センチ隆起 「だいち」が観測
(毎日新聞 - 07月21日 11:14)
 新潟県中越沖地震で、沿岸部の最も震源に近い場所では最大約30センチの隆起があった一方、その南側では、西方向への移動や沈降を含む約15センチの地殻変動があったことが、陸域観測技術衛星「だいち」が観測した画像の解析で分かった。宇宙航空研究開発機構と国土地理院がそれぞれ解析した。

 画像で、緑からオレンジ色に表示されているのは衛星と地表の距離が近付く方向(地表の隆起)、青から赤は遠ざかる方向(沈降や西方向へのずれ)の変動を示している。

 今回の地震は、陸側の地殻が海側の地殻の上にせり上がる逆断層型で、地理院宇宙測地研究室の矢来博司・主任研究官は「震源のすぐ東側はせり上がりによって隆起し、震源からやや遠い南側は、西方向に移動した効果が大きいのではないか」と話している。【須田桃子】



3、被災の自動車部品メーカー「リケン」、23日に操業再開 朝日新聞
2007年07月22日19時05分
自動車部品メーカー「リケン」は23日から、新潟県中越沖地震で被災した柏崎市内の工場でエンジン部品ピストンリングなどの生産を再開する。ただ、一部製品は生産機械の再設置などに手間取っており、地震前の生産態勢に戻るのは早くても来週になるという。

 柏崎市内の工場の一部では、なお水道、ガスが復旧しておらず、当面は水をタンクローリーで運んだり、プロパンガスで代替したりしてしのぐ。

 同社からの部品供給が止まった影響で、トヨタ自動車が全工場の操業を停止するなど、自動車メーカー各社に影響が出ていた。各社は24日以降の操業について、リケンからの部品納入状況をみたうえで判断する。



4、<中越沖地震>原発の水漏れプール写真公表 社民党視察団
(毎日新聞 - 07月22日 21:11)

柏崎刈羽原発6号炉の使用済み核燃料プール付近。あふれた水で床が濡れている=社民党柏崎刈羽原発調査団提供


 中越沖地震で放射性物質を含む水が漏れた東京電力柏崎刈羽原発6号機の使用済み燃料プール周辺の写真を、視察した社民党調査団が22日、公表した。プール脇には今も大量の水が残り、損傷の修復が進んでいないことを示している。

 国会議員や弁護士らでつくる調査団は、3号機変圧器の火災現場や6号機4階の使用済み燃料プールをガラス越しに視察した。調査団の海渡雄一弁護士は「(原子炉の入った)建屋内の壁に亀裂が入っていた。原子炉の被災状況を速やかに公表すべきだ」と語った。【関東晋慈】



5、重軽傷者1812人、住宅被害も拡大 中越沖地震1週間 朝日新聞
2007年07月22日22時11分
 死者10人を出した新潟県中越沖地震が発生してから23日で1週間を迎える。重軽傷者は、柏崎市役所の聞き取り調査で新たに判明した約500人が加わって計1812人になった。住宅の被害も調査が進むに伴って増え、全壊960棟、半壊761棟に上る。22日も小学校や体育館など避難所で、2700人余の被災者が過ごした。
 
避難所は、柏崎市の61カ所を始め、刈羽村6カ所、出雲崎町2カ所、燕市1カ所の計70カ所。住宅の周りで土砂崩れの危険が高まっていることなどを理由に、今も避難指示・勧告が多くの地域に出されており、22日には柏崎市西山町五日市などの3世帯12人に避難勧告が新たに出された。避難指示・勧告の対象は計146世帯334人を数える。

 被災して自宅で暮らせない住民のために、新潟県はまず柏崎市民が入居する仮設住宅から建設に着手する。23日に工事を始め、8月15日までに完成させる方針だ。柏崎駅前公園など23カ所に833戸を建設する。

 ライフラインは、柏崎市と刈羽村を合わせて約2万2000戸で断水が続き、ガスも両市村の約3万2000戸で未復旧。一方、大規模な地滑りの発生で路面が崩落した、長岡市大積千本町の国道8号は復旧し、23日午前9時に1週間ぶりに通行止めが解除される。
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6、震源地近い海底に大量の古木 液状化で浮上か 毎日新聞
 中越沖地震の震源地に近い新潟県出雲崎町沖の海底に、大量の古木が堆積(たいせき)していることが分かった。地震の液状化現象で、地中に埋まっていた古木が浮き上がった可能性があるという。網に絡まり漁業に支障があることから、地元漁協が実態調査を進めている。
 出雲崎漁協(坂下甚十郎組合長)によると、古木が見つかったのは19日未明。出雲崎漁港から数キロ沖合でタイ漁をしていた漁船が、水深約70〜100メートルの海底から網を引き揚げたところ、直径30〜50センチの古木がいくつも絡まっていた。古木の多くは角が取れた楕円(だえん)形で、長さ1メートル以上の棒状のものもあった。既に100個以上引き揚げられている。坂下組合長は「50年漁をやっているが初めて。タイが取れずに困っている」と話している。
 県水産課によると、同様の古木は長岡市寺泊地区でも確認されている。小長井一男・東京大学生産技術研究所教授(地震工学)は「詳しい状況は分からないが、アメリカ・ロマプリエタ地震(89年10月)でも海底の液状化が確認されており、液状化現象で浮き上がった可能性がある」と話している。【伊藤直孝】
毎日新聞 2007年7月23日 3時00分


7、知事、IAEA調査めぐり政府を批判
 中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原発のトラブルで、泉田裕彦知事は21日、「国民全体が安心できる状況にならなければ運転再開はできない。国際機関から評価を受けることが必要だ」と述べ、同原発への国際原子力機関(IAEA)の調査団派遣を早急に受け入れるべきだとの認識を示した。
 調査団派遣をめぐっては、政府が受け入れを当面見送る意向をIAEA側に伝えているが、泉田知事は「受け入れを留保すれば、何かおかしいことがあるのでは、と誤解を生む」と政府の対応を批判。「一刻も早く受け入れ、世界に現状を見てもらう必要がある」と語った。
 同原発では、2年前にIAEAから安全管理状況の調査で「防火の専門組織がない」と改善を求められながら、専門組織を設置しなかったことが判明している。
2007年07月22日


8、柏崎刈羽原発のIAEA調査、政府が受け入れへ  経済新聞
 政府は22日、新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力の柏崎刈羽原子力発電所への国際原子力機関(IAEA)による調査を受け入れることを決めた。8月初めにも4人の調査団が現地を視察する予定。23日に正式表明する。新潟県は22日、住民の不安や風評被害の解消に向け、政府に調査の受け入れを正式に要請した。
 IAEAは世界的にもまれな原発直近での地震による被害状況を把握するため、19日に日本政府に調査団派遣の意向を伝えていた。原子力安全・保安院によると、IAEAは地震で原子炉が止まり微量な放射能漏れがあったことに強い関心を示しており、地震による原発への影響に関する情報を加盟国間で共有する狙いがあるという。(07:00)



9、柏崎刈羽原発6号機建屋の最上階に水浸しの跡   読売新聞
 新潟県中越沖地震で、外部に放射能が漏れる原因となった東京電力・柏崎刈羽原子力発電所6号機の建屋最上階の様子が22日、初めて明らかになった。
 地震から1週間たった今でも、使用済み核燃料プールから床にあふれた水を吸い込むためのシートが、広範囲に敷き詰められ、水浸しとなった当時の様子をうかがわせている。
 同日、柏崎刈羽原発を視察した社民党調査団が撮影、一部報道陣に公開した。
 東電によると、プール(深さ十数メートル)の水位は、床面から1メートルほど低かったが、大きな揺れで床にあふれ水浸しになった。放射能を含む水が床にあるケーブルなどを伝わって、壁を隔てた「非管理区域」に漏れ出し、海水にも放出された。
(2007年7月22日23時8分 読売新聞)



10、断水なお2万4000世帯、中越沖地震発生から1週間 読売新聞
 新潟県中越沖地震は22日、発生から1週間を迎えた。
 被害の大きかった柏崎市と刈羽村では水道の復旧が遅れ、21日になっても柏崎は4割ほどが開通しただけで約2万2800戸が断水している。刈羽も全戸の1300戸余で水が止まっている。
 避難所にいる人はピーク時の5分の1に減ったが、今も3000人以上いる。断続的に降り続く雨や余震で土砂崩れなどの恐れがあり、柏崎市山本地区の34世帯81人に新たに避難勧告が出されるなど避難指示・勧告は143世帯322人に上る。
 水道については、柏崎市は25日の復旧を目指すが、ダムから浄水場に水を送る最上流部の導水管3本のうち2本が損傷し、応急措置が必要となって作業が遅れている。刈羽村では水道管の破損個所が多く、復旧のめどは立っていない。両市村とも、ガスは一部を除いて止まり、JR信越線も被災地周辺で不通のまま。
(2007年7月22日0時20分 読売新聞)

11、日報抄
 中越地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発に対する国際原子力機関(IAEA)の調査団派遣を、日本政府がやんわりと断った。「派遣受け入れを当面見送る」。世界に知られたくないことがあるのだろうか
▼「豆腐の上の原発」という言葉が、十一年前に出版された「原発を考える50話」(岩波ジュニア新書)に出てくる。柏崎原発の地盤が不均質なことを指した言葉だそうだ。国内の他の原発にも当てはまる言葉だ。大量の冷却水と広い敷地を必要とする原発は、海岸地帯など地盤に問題を抱えたところに建てられることが多い
▼「地盤のデータをごまかしたり、都合の悪いデータを隠したりしたことが九州の原発などであった」と「50話」はいう。東電が行った柏崎原発の断層調査についても、疑問が相次いでいる
▼中越沖地震の震源となったと見られる海底の活断層の規模を、東電は八キロと推定していた。広島工業大学の中田高教授は「専門家が地形図をよく見れば二十キロ以上の断層と分かる」と指摘する
▼まだある。柏崎原発近くの長岡平野西縁断層帯を、政府の地震調査委員会は長さ八十三キロとした。だが東電は十七・五キロという調査結果を出したと、名古屋大学の鈴木康弘教授は困惑する。石川県の志賀原発など、断層に対する電力会社の「過小評価」が目に付く
▼地震で原発が大事故を起こせば、震災の様相はこれまで経験しなかった破局的なものになる。その自覚が電力会社にどれだけあるのだろうか。「想定外の地震」「当時の知見では、活断層ではないという判断はやむを得なかった」などと繰り返していると、取り返しのつかない国難を招く。
[新潟日報7月22日(日)]



12、日報抄
 世界のメディアは、激しい揺れに襲われて放射能漏れや火災を起こした東京電力柏崎刈羽原発を大きく報じている。中越沖地震は、日本の原発が地震の巣の上にあることを国際社会に伝えた震災として、人々の記憶に残ることになりそうだ
▼米原子力規制委員会の警告を思い出す。「原発の重大事故の発生確率は故障によるものよりも、地震による方がはるかに大きい」。柏崎原発は最も避けなければならない断層の上に建てられていた可能性が高いことが、気象庁の解析で明らかになった
▼神戸大学の石橋克彦教授はいう。「普通、原発の事故は単一要因故障といって、どこか一つが壊れる。それを多重防護システムや安全装置で守ることになっている。だが突然激しい地震の揺れに襲われると、機器や配管のあちこちに損傷が生じ、多重防護システムでは対応できなくなる恐れがある」
▼地震が原発にとって最大の脅威といわれるゆえんだろう。原発が被害を受ける規模の地震が発生すれば、周辺もライフラインが寸断され、人的被害が出る。死の灰の降る中で救援や原発事故の応急対応は困難を極める
▼二月の衆院委で石橋教授が訴えた「原発震災」のシナリオは悪夢だ。「おびただしい人が被ばくし、土地や水も汚染され、混乱は海外に広がる。大震災の時は世界が同情し救援に来てくれるが、逆に厳しい非難を浴びかねない」
▼柏崎市長は原発の使用停止命令を出した。中越沖地震を詳報した英科学誌ネイチャー(電子版)は「原発が閉鎖になる可能性がある」と論評している。安全性を県民をはじめ全世界に説明できるまで、運転を再開してはならない。



13、損壊家屋1万棟超える 新潟日報
 中越沖地震から6日目となった21日、被災地の損壊家屋が1万棟を超えた。柏崎市は被災以来止まっていたガスの供給を、避難所となった瑞穂中学校など216戸で再開。同市の応急仮設住宅は833戸が、23カ所に建設されることが決まった。
 損壊家屋の調査では、全壊が953、半壊が552、一部損壊が6106などに増え、総被災数は1万170棟となった。
 同市の応急仮設住宅は佐藤池第2野球場などに建設、8月15日までにすべて完成する予定。今月26日から8月3日まで入居申し込みを受け付ける。
 同市は番神2の1世帯2人に出していた避難勧告を、雨によるがけ崩れの危険度が増したことなどから21日、指示に切り替えた。同市山本地区の一部でもがけ崩れなどによる家屋崩壊の危険があるとして、34世帯81人に避難勧告を出した。被災地の避難指示、勧告は、143世帯322人になった。
 同市の水道は1万7450戸で復旧し、復旧率は43・3%となった。給水再開個所では下水も使える。
 刈羽村では被災家屋の危険度を示す応急危険度判定が終了。全1474棟のうち「危険」と判定されたのは291棟、「要注意」は497棟だった。
 避難所生活が困難な被災者に向けた「一時避難所」が開設され同日、上越市の温泉旅館などに17人が入居した。
2007年07月22日


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石田ふたみ