『日々の映像』

2007年07月21日(土) 中越沖地震の記録 (11) 

1、被災損壊家屋が倍増6000棟に  (日報)
2、中越沖地震:短期施設に高齢者が集中、定員超過 柏崎市
3、中越沖地震:観光シーズン大打撃 新潟キャンセル1万件超  毎日新聞
4、中越沖地震:アスベスト対策急務 被災施設で飛散確認
5、東電、夏の電力確保・6電力から融通  日経
6、おにぎりなど救援物資の食料品、大量に余って廃棄処分  読売新聞
7、県外ボランティア殺到で“渋滞”、柏崎市が異例の自粛要請 読売新聞
8、移動式クーラー、ほっとする被災者…米が96台寄贈 読売新聞
9、線路やホームに大きな被害 不通が続く信越線など  産経新聞
10、国道8号線は23日に復旧開通  新潟日報



1、被災損壊家屋が倍増6000棟に  (日報)
 
中越沖地震から4日目となった19日、被災地では住宅損壊など被害状況の調査が進んだ。損壊家屋は6000棟を超え、前日より倍増。柏崎市は市街地や交通の要衝での渋滞が深刻なことから、21、22の両日、同市内での車の移動自粛を呼びかける。

 住宅損壊は全壊が949戸、大規模半壊が16戸、半壊が242戸などそれぞれ増え、施設被害は計6048戸に上った。

 公共施設では学校や福祉施設が被害を受け、小中学校は校舎のガラスが割れるなど195校が被災。福祉施設は165施設で駐車場に段差ができるなどしている。

 柏崎市は市中心部や高速道、国道に通じる各所が連日渋滞し、救援、復旧作業に支障が出ているため、不要不急の車両の乗り入れや移動の自粛を呼びかける。会田洋市長は「地震後初の週末のため多くの車の流入が見込まれる。呼びかけで渋滞が改善しない場合は県警と協議し、規制も考えなければならなくなる」としている。

 同市は21、22の両日に同市を訪れるボランティアには、北陸自動車道米山インターチェンジ近くの柏崎コレクションビレッジに集まってもらい、市が用意するシャトルバスへ乗り換えてもらうことを決めた。

 また同市は19日、倉庫が満杯状態のため食料以外の救援物資の受け入れを停止した。

 刈羽村は新たに100戸の仮設住宅建設を県に要望し、計200戸となった。

 同日午後6時現在の避難者は4069人。
新潟日報2007年7月19日



2、中越沖地震:短期施設に高齢者が集中、定員超過 柏崎市

高齢の被災者のため特設されたベッドがひしめくデイサービスセンター=新潟県柏崎市北園町の特別養護老人ホーム「しおかぜ荘」で20日夜、小川昌宏撮影 新潟県中越沖地震で被害が大きかった同県柏崎市で、一般の避難所暮らしに耐えられない要介護の高齢者が地元の短期入所施設に集中し、定員を大幅に超過する事態になっていることが分かった。定員の3倍という施設もあり、高齢者が廊下にベッドを並べて寝て、職員も人手不足から夜勤のローテーションが組めない状態という。被災地では、避難所生活の長期化による要介護者の増加が懸念されている。

 同市は地震後、市内の特養ホーム併設型7施設などで緊急受け入れを実施。20日現在、7施設で総定員を145人も超える高齢者315人が生活している。

 同市北園町の特養ホーム「しおかぜ荘」(短期入所定員20人)では70人が暮らす。デイサービスに使っている1階フロアには1メートルもない間隔でベッド33床が並び、ベッドは廊下にもはみ出している。

 職員は食事や排せつの介護で手いっぱいで、本来行っているリハビリなどは全くできていない。受け入れが緊急だったため被災者の持病なども把握できず、職員の疲労も限界に達しており、田中哲男理事長は「まるで野戦病院」と話す。

 地震当日の16日に緊急入所した同市新花町の外山辰治さん(78)は脳梗塞(こうそく)の後遺症で車いす生活を送っている。自宅は大きな棚がいくつも倒れて住めず、妻ハルエさん(82)は1人で避難所にいる。2人は地震から3日目に再会したが、外山さんは「早く帰りたい」と涙で訴えた。

 市内の別の施設「なごみ荘」でも16日には硬い床にカーペットを敷き、受け入れた高齢者に寝てもらったという。

 このため、市は19日から小学校の空き教室に簡易ベッド30床を運び込み、市内4カ所で福祉避難所を開設。県は新潟、妙高市など周辺8市町村の旅館やホテルに障害者を含む要援護者の受け入れを要請した。県老人福祉施設協議会も周辺自治体の施設に30人の派遣を要請。ヘルパーなどの募集も始めるなど、対応に追われている。

 柏崎市介護高齢課の担当者は「地震があれば避難所で暮らせない高齢者が出ることは分かっていたが、対策を立てるために全体数を把握する前に人数があふれてしまった。今はその対応に手一杯の状態」と話している。【岡田英】


3、中越沖地震:観光シーズン大打撃 新潟キャンセル1万件超  毎日新聞
 
本格的な夏の観光シーズンを前に、新潟県中越沖地震でほとんど被害がなかった同県内の観光地でも、宿泊予約やキャンプ場のキャンセルが相次いでいる。佐渡市だけでもホテルや旅館のキャンセルは既に3000人以上で、20日までに県内で約1万2000件がキャンセルされた。被災者への遠慮や余震への恐れが原因とみられるが、東京電力柏崎刈羽原発の火災やトラブルによる風評被害の側面もあり、関係者は頭を悩ませている。
 佐渡市観光課によると、18日正午現在で宿泊キャンセルは3148人。伊藤俊之課長は「04年中越地震では新幹線が長く止まったが、今回は何の被害もない。余震や原発のトラブルが理由だろう」と話し、「8月が一番観光客が多いのに、大打撃だ」と悲鳴を上げる。
 瀬波温泉などがある村上市では、既に17日の段階で2000人近くが予約をキャンセル。長岡市の森民夫市長も「蓬平温泉でキャンセルが出始めた。中越地震から復興したばかりなのに。予想外の事態」と漏らす。
 湯沢温泉旅館組合によると、越後湯沢温泉では地震直後からキャンセルが相次ぎ、19日までに100件以上の予約が取り消された。関秋光同町観光係長は「余震を感じたのは1回しかない。新幹線も通常運転しており、夏休みの家族連れをお待ちしています」と話す。
 温泉客でにぎわう南魚沼市の観光協会の調べでも、20日正午までの旅館やレストラン、キャンプ場などを含めたキャンセルは158件に上る。
 「3年前の中越地震でも客が減ったのに悲しいとかしかいいようがない。夏休みが始まりみんな期待しているのに……」(県旅館組合)と関係者は心配する。
 泉田裕彦知事は18日、県庁を訪れた勝俣恒久・東京電力社長に、「まるで県内が放射能に覆われているかのような印象になってしまった」と苦言を呈した。泉田知事は「県内で出ているキャンセルの9割以上は、直接の被害がないところで出ている」と話しており、県観光振興課は「新潟イコール中越という感じで、被害のないところまで混同されてしまっている」とキャンセルの影響拡大を心配している。【渡辺暢、神田順二】
毎日新聞 2007年7月21日 3時00分


4、中越沖地震:アスベスト対策急務 被災施設で飛散確認

マスクを着け解体作業に立ち会う女性=新潟県柏崎市で20日午後1時、川田雅浩撮影 新潟県中越沖地震で被災した同県十日町市の娯楽施設で壁の一部が崩れ、アスベスト(石綿)がむき出しになっていることが分かった。検出量は世界保健機関(WHO)の基準(1リットル当たり10本)未満だったが、今回の地震で石綿の飛散が確認されたのは初めて。今後、倒壊家屋の撤去が本格化することから、解体工事を行う業者に通知を出すなど、石綿飛散防止に乗り出すことにした。

 石綿がむき出しになっていたのは、3階の鉄骨部分。04年10月の中越地震でも石綿飛散が確認されたため、今回、十日町市が調べて分かった。

 県は同県柏崎市と刈羽村、出雲崎町で実施中の2万9000戸の危険度判定調査に合わせ、アスベスト使用の有無も確認するようにしている。また、中越地震では「解体工事などが集中的に行われ、アスベストの飛散が懸念される」として、業者らに通知を出している。散水をしながら解体工事を行い、アスベストをほかの廃棄物と区別し、耐久性の強い繊維を使って二重に梱包(こんぽう)して廃棄するなどの対策を求めており、今回も同様の通知を出すことにしている。

 中越地震で現地調査を行っているNPO法人・中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史事務局長は「石綿が吹き付けられているか分からないまま、崩れた建物の片付けなどを始めてしまう被災者もいる。木造住宅でも壁や天井の石綿は粉じんになれば有害となりうる」と指摘。「行政は早い段階で危険性を知らせる必要がある」と話す。

 被災建物に倒壊の危険性がある場合は防じん用シートなどの設置が困難な場合も考えられ、永倉事務局長は「行政と業者など関係機関が連携を取り合い、それぞれの現場に合った対策を検討すべきだ」と話す。さらに、大量のがれきが集まることが予想される集積場に石綿が使用された廃材が混入する危険性があるといい、「専門業者やNPOなど、石綿を判別できる者を廃棄物の分別にあたらせるべきだ」と指摘している。【光田宗義】

毎日新聞 2007年7月21日 3時00分 


5、東電、夏の電力確保・6電力から融通  日経
 
新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所(柏崎市)が停止した東京電力は20日、夏場の電力需給見通しを発表した。関西など他の電力6社から計135万キロワットの融通を受けるほか、福島第一原発(福島県)の定期検査繰り延べなどで、最大電力見込み(前年比5%増の6110万キロワット)を1.7%上回る6214万キロワットの供給能力を確保する。

 同日記者会見した東電の勝俣恒久社長は「供給力は確保できる見通しだが、追加対策を引き続き検討する」と述べ安定供給確保に努める姿勢を強調した。


6、おにぎりなど救援物資の食料品、大量に余って廃棄処分  読売新聞
 
中越沖地震で、救援物資が全国から集まっている被災地・新潟県柏崎市の市災害対策本部(柏崎市役所)で、おにぎりなど消費期限が短い食料品が大量に余り、廃棄処分されている。
 自衛隊などの炊き出しが充実してきて、その分要望が減ったとみられる。対策本部は「せっかくの善意なのに誠に残念。早く改善したい」と話している。
 救援物資は地震発生直後から寄せられたが、水や食料品の割合が圧倒的。中でも保存の効かないパンやおにぎりが中心で、20日までに計10万食以上が製造会社やスーパーなどから届けられている。
 しかし、自衛隊とボランティアによる炊き出しが充実するに従って、作りたての食事に人気が集まり、出来合いの食品への要望が徐々に減少。18日ごろから倉庫などにおにぎりや弁当が余りだしていた。
 市役所裏の倉庫には20日午前、包装フィルムに「消費期限07・7・18午前3時」「保存温度18度以下」と記したおにぎり数百個が山積みされていた。廃棄されるおにぎりや弁当などは全国から寄せられたもののほか、市が購入したものもあり、数量は「把握できていない」(市担当者)という。
 ただし、対策本部は「余震が続く中、緊急事態などでいつ必要になるか分からない」として、20日以降も食料品の受け入れを継続する。
(2007年7月20日22時34分 読売新聞)

7、県外ボランティア殺到で“渋滞”、柏崎市が異例の自粛要請
 
新潟県中越沖地震で大きな被害を受けた柏崎市には、災害ボランティアを希望する人たちが延べ1000人以上集まり、さばき切れない事態になっている。
 市災害ボランティアセンターは、週末の21、22日、希望者に被災地に入るのを自粛するよう、被災地としては異例の要請をしている。
 センターによると、17〜20日の4日間にボランティアを希望したのは延べ1268人。これに対し、倒壊家屋の片づけ、救援物資配送など被災者らからの作業依頼数は計175件。センターの試算によると、約4割の希望者に仕事が回らないこともあるという。希望者は17日の129人から徐々に増え、20日には336人、週末は1日で1000人を超える人が集まるとみられる。
 このため、センターはホームページに「ボランティアの人数は充足されています」「県外の方のご協力は、受け入れ体制が整うまでお待ち下さい」と記載。混乱している被災地に多くのボランティアが入った場合、渋滞などで逆に救援活動が滞る恐れがあることも考慮したという。
 3年前の中越地震で震度7を記録した新潟県川口町の担当者によると、町内にはピーク時の週末に約800人のボランティア希望者が訪れたが、3分の2は作業が見つからなかったという。
 今年3月の能登半島地震では、輪島市で5月末まで延べ約1万2500人が活動したが、石川県は被災者の要望を見極めるため、ボランティア登録を発生から3日目まで待った。
 柏崎市災害ボランティアセンターは「多くの希望者がおり、大変感謝している。県内の人や、すでに被災地に入った人には支援をお願いするが、県外の人たちはしばらく控えてもらいたい」としている。
(2007年7月20日22時45分 読売新聞)


8、移動式クーラー、ほっとする被災者…米が96台寄贈
 中越沖地震の避難所で使う移動式クーラー96台が米政府から新潟県に寄贈され、20日、被災地・柏崎市で、設置作業が始まった。

 クーラーからひんやりとした空気が流れ出すと、避難所の高齢者らは一様に安堵(あんど)の表情を見せた。

 米政府が、「2005年のハリケーン・カトリーナで日本から多くの寄付をもらったお返しに」(シーファー駐日米大使)と、避難所の蒸し暑さ解消のため寄贈した。

 在日米軍横田基地(東京都)に保管されていたもので、室外機と一体型になったタイプ。

 20日は、避難所2か所に計10台が取り付けられた。約50人が避難している荒浜コミュニティセンターでは、午前11時前から作業開始。在日米軍所属の米兵や自衛隊の隊員ら約40人が木製の台に置いたクーラーを施設の窓に次々と取り付けていった。

 地震初日から避難している中川文江さん(74)は、「虫が入るので、夜は窓が開けられなかった。本当にありがたいです」と話した。ただ、効き過ぎて寒くなり、一時使用を止めるところもあった。

(2007年7月21日0時22分 読売新聞)

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9、線路やホームに大きな被害 不通が続く信越線など  産経新聞

 JR東日本新潟支社は20日、新潟県中越沖地震による管内の被害状況をまとめた。不通区間のうち信越線犀潟〜柿崎間は23日始発から運転を再開するが、同線柿崎〜宮内間、越後線柏崎〜吉田間は線路やホームなどの被害が大きく、復旧の見通しが立っていない。
 同支社によると、幅約80メートルにわたり斜面が崩れた青海川駅付近は、線路や駅ホームに約1万3000立方メートルの土砂が積もった。第1米山トンネルなど3つのトンネルで天井や側壁にひび割れができ、柏崎駅や信越線安田〜北条間では線路がわん曲するように変形。
 越後線荒浜駅ではホームが崩落、架線の切断や電柱の倒壊も各地であった。
 余震で二次災害の恐れがあるため、柏崎駅で脱線した普通電車は傾いたままの状態。トンネル内で動けなくなった貨物列車は、週明け以降にディーゼル機関車で牽引(けんいん)するという。

10、国道8号線は23日に復旧開通

 中越沖地震から5日目となった20日、国土交通省北陸地方整備局は、不通となっている国道8号の長岡市大積千本町の土砂崩れ現場を23日に片側交互通行で復旧させることを決めた。国道8号は被災以来、7日ぶりに開通する。また柏崎市は25日の水道の完全復旧に向けて試験通水を進めており、これまでに鯨波、中浜など同市の4分の1で復旧した。梅雨前線の影響で、被災地では大雨によるがけ崩れなどの危険性が高まっていることから、国などは危険個所の緊急点検を行い、23日までに3000カ所を点検する。

 新潟地方気象台によると21、22日は県内全域で雨となり、21日夕方までの24時間降水量は上中越の多いところで60ミリに達する見込み。

 国交省と県は震度5強以上を記録し、土砂災害が発生する危険性がある人家の裏山や急斜面、土石流が発生しやすい沢などを緊急点検する。

 一方、崩壊や落下物など、被災家屋の危険度を示す応急危険度判定で、同市は郊外の被害が明らかになってきたことから、対象を市内家屋の9割にあたる2万7000棟に拡大。刈羽村は全棟を対象に実施する。

 両市村で調査を終えた9772棟のうち、「危険」と判定されたのは1579棟、「要注意」は2470棟となっている。

 県警などは、同市内の渋滞緩和のために実施していた北陸道柏崎ICの一般車両流出規制を20日から緩和。午後8時から翌朝の午前6時まで解除する。

 同市内の避難所では体調不良を訴える人が増えており、地震が発生した16日から20日までに、60歳以上の高齢者を中心に、45人が病院に搬送された。

 同市西山町五日市の4世帯18人に19日夜、避難勧告が出され、被災地の避難指示、勧告は108世帯、239人となった。

 同市内では20日午後7時半ごろ、北園町、栄町、安政町などで一時、最大313戸が停電した。原因は調査中。
新潟日報2007年7月20日



 

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石田ふたみ