『日々の映像』

2007年07月19日(木) 中越沖地震の記録 (9)


本  文 1、原発の放射能心配」新潟のホテル、キャンセル続出     朝日新聞
2、中越沖地震:柏崎市などで今年一番の暑さ 体調崩す人も  毎日新聞
3、柏崎刈羽原発:地震計63台で揺れの詳細データを消失   毎日新聞
4、柏崎刈羽原発、全7基で設計時の想定超える揺れ…東電発表 読売新聞
5、自動車の生産停止、全社に広がる             産経新聞
6、柏崎市で高齢者用避難所設置               新潟日報
7、政府が被災地へ無償支援物資               新潟日報
8、被災地企業の6割操業できず               新潟日報
9、地場企業の設備、被害深刻                新潟日報
 

1、原発の放射能心配」新潟のホテル、キャンセル続出
                          2007年07月19日18時16分朝日新聞

 新潟県中越沖地震の発生直後から県内のホテルや旅館で、予約客のキャンセルが相次いでいる。その理由の多くが、東京電力柏崎刈羽原子力発電所のトラブルによるものだ。夏のかき入れ時だけに一日も早い「安全宣言」を望んでいる。

 「放射能が海に流れて心配」

 柏崎市から約140キロ離れた村上市瀬波温泉。旅館「汐美荘」では7、8月で1000人がキャンセルした。その際、複数の予約客が原発のトラブルを理由にあげた。

 「これには困りました。放射能の風評被害は日本海全域に及びます」と斎藤憲夫総支配人。

 温泉リゾートとして知られる湯沢町の湯沢温泉。大型ホテル「ナスパニューオータニ」は、7月中だけで780人のキャンセルを受けた。

 広報担当の小野塚敏之さん(30)も「心配しているのは原発のトラブル。県全域に影響を及ぼしかねない」。町の観光協会長の白井彬起(よしき)さん(65)も「原発事故は、影響が目に見えないので不安を招く。情報を小出しにするからなおさらだ」と東電を批判する。

 海外からの問い合わせもあった。

 「インターネットで原発の事故のニュースを見た。状況を報告してほしい」。佐渡島のホテルには発生後、取引のある中国やロシアの旅行会社から原発の影響について問い合わせが相次いだ。「大丈夫だ」と即答し、キャンセルはどうにか回避したという。

 柏崎市から40キロほど離れた長岡市の蓬平温泉では20日、地元関係者が森民夫市長に風評被害対策を要請する予定だ。

 同温泉は04年の中越地震で被害を受けた。今回は無事だったにもかかわらずキャンセルが止まらない。「原発も一因」と蓬平観光協会会長の中村忠夫さん(61)。

 こうした事態を受けて、新潟県観光協会は18日、「一部に『新潟県』や『中越地域』をひとくくりにとらえたキャンセルなど過剰な反応も見られる」として、ホームページを通じ、宿泊やイベント、交通機関に関する情報提供を始めた。地域ごとに「宿泊施設に地震の影響はなく、通常通り営業しています」などと明記している。

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2、中越沖地震:柏崎市などで今年一番の暑さ 体調崩す人も

氷で冷やされる飲料水=新潟県柏崎市の柏崎小学校で19日午後4時22分、西本勝撮影 中越沖地震で大きな被害が出た柏崎市や刈羽村では19日、最高気温が28度を超えた。今年一番の暑さになり、室温が30度を超える避難所もあった。両市村では扇風機を避難所に入れたが、体調不良を訴える人も出始めた。避難所生活の疲労に加え、暑さが被災者を悩ませている。

 新潟地方気象台によると、市の最高気温は前日より約4度高い28.9度に。市は19日から、扇風機650台を順次、避難所に設置するが、体育館などではうちわを使う被災者も多く「暑さを何とかしてほしい」「気分が悪い」という訴えが続出した。

 柏崎小に避難している同市西港町の浜ヨシさん(91)は「扇風機だけでは暑さはしのげない。トイレにできるだけ行かなくていいようにと思い、水をあまり飲まないので余計につらい」と話していた。刈羽村の第2体育館に避難している同村井岡の伊藤エミ子さん(80)は「夜になれば寝泊まりのために人が増えてもっと暑くなる。扇風機を増やせないだろうか」とため息をついた。

 同気象台によると、柏崎地方は20日も気温が30度近くになり、蒸し暑い1日になる見通し。【津久井達、山田毅】
毎日新聞 2007年7月19日 20時15分

3、柏崎刈羽原発:地震計63台で揺れの詳細データを消失
 東京電力は19日、中越沖地震で柏崎刈羽原発6号機の使用済み燃料プールの水があふれ、放射能を帯びた水が海に排出された原因について、「プールのある管理区域と非管理区域との壁を通るケーブルと電線管を伝って水が漏れたと推定される」と発表した。

 また、同原発に設置されていた地震計97台のうち63台で地震の揺れの詳細データが消失したことも明らかにした。古い型でデータ容量が小さく、余震の揺れが本震データを上書きした。安全性確認は可能というが、揺れの強さを模擬計算した結果を実測値で確認できない部分が増えるという。

 同様のデータ消失は、3月に能登半島地震に見舞われた北陸電力志賀原発でも発生。東電は来年度までに新型地震計にする計画だったという。

 さらに、同原発1号機から7号機までの地下最深部での揺れの加速度を発表した。全号機で設計上の想定を上回り、2号機では606ガルと設計値の3・6倍に達した。最大値は1号機の680ガルだった。

 一方、東電は中越沖地震の震央から同原発までの距離を、従来の9キロから13キロに修正した。【高木昭午、永山悦子】

毎日新聞 2007年7月19日 19時59分 (最終更新時間 7月19日 20時38分)
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4、柏崎刈羽原発、全7基で設計時の想定超える揺れ…東電発表

 東京電力は19日、柏崎刈羽原発の全7基の原子炉で、設計時の想定を超える揺れを記録していたことを明らかにした。

 1号機の最大加速度は680ガル(想定273ガル)で同原発の原子炉の中で最も揺れが大きかった。そのほかの揺れは、2号機606ガル(同167ガル)、3号機384ガル(同193ガル)、4号機492ガル(同194ガル)、5号機442ガル(同254ガル)、6号機322ガル(同263ガル)、7号機356ガル(同263ガル)だった。

 また、東電は、原発から震源地までの距離も、これまで発表していた9キロから16キロに訂正した。気象庁による正確な震源地の特定に伴うもので、東電内の連絡体制の不備で公表が遅れた。

(2007年7月19日20時46分 読売新聞)

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5、自動車の生産停止、全社に広がる
                                     19日産経新聞

 新潟県中越沖地震で部品メーカーが被災したことで自動車各社の生産に影響が出ている問題でホンダ、マツダ、三菱ふそう、日野自動車、日産ディーゼル工業、いすゞ自動車の6社が19日、新たに生産を一時停止することを決めた。すでにトヨタ自動車など6社は18日に生産の一時停止を決めており、地震による生産への影響は国内自動車メーカーすべてに拡大した。

 ホンダは20日に三重県内の工場の操業を停止。マツダは広島、山口両県の工場で21日の休日出勤を取りやめ、23日の操業停止も決めた。日野自動車、三菱ふそう、日産ディーゼルもそれぞれトラックの生産を停止。いすゞは21日に予定していた休日出勤を取りやめ、栃木工場で大型エンジンの生産ラインを止める。

 各社が生産を停止するのは、エンジン内の摩擦を少なくする「ピストンリング」で5割のシェアを持つリケンの工場が被災し、部品の供給がストップしていることが原因だ。自動車各社はコスト削減を狙いに部品在庫を最低限に抑えており、高いシェアを持つリケンの生産停止が短期間で業界全体に影響を与えた。
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6、柏崎市で高齢者用避難所設置

 中越沖地震の被災者が蒸し暑い避難所で集団生活を強いられる中、柏崎市は19日、体調を崩しがちな高齢者らを対象とした福祉避難所を市内2カ所に設置した。トイレなどに見守りの必要な高齢者らが利用を開始、家族からは「ここは涼しくて快適」とあんどの声が寄せられた。

 福祉避難所が設置されたのは、同市学校町の柏崎小内のコミュニティデイホームはまなすと、同市佐水の特別養護老人ホームいこいの里の一角。同日までに市がベッドや洋式のポータブルトイレなどを搬入、運営は県老人福祉施設協議会の加盟施設に委託した。

 はまなすの避難所では開設初日、保健師らに利用を促された高齢者が相次いで訪れ、ベッドで体を休めていた。歩行が困難だという同市東本町1の名塚節郎さん(89)は「和式の仮設トイレはつかまるところがないので、立ち上がれなくなって倒れてしまった。娘が迎えに来るまで数日間利用したい」と話していた。

 福祉避難所は、刈羽村が同地震直後から福祉複合施設きらら(同村刈羽)に設けているほか、同市がさらに1カ所開設する予定。

                              新潟日報2007年7月19日
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7、政府が被災地へ無償支援物資

 政府は19日、本県からの要請を受け、大型扇風機やブルーシートなど、中越沖地震の被災者への支援物資を無償提供することを決めた。同日中に業界団体などを通じ、被災地に向け発送する。

 提供物資は、暑さ対策が課題になっている避難所で利用する大型扇風機350台や、ブルーシート1万枚以上、ウエットティッシュ2万3500個、消毒液1万2000本。また、老人、子供用の紙おむつも提供する。

 内閣府は「被災地で物資が過剰にならないよう調整しながら、今後もニーズに合わせて早急な対応をしていきたい」と話している。


                                  新潟日報2007年7月19日

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8、被災地企業の6割操業できず

 県は19日、主要製造業の中越沖地震の被災状況をまとめた。柏崎市で実施した調査企業76社のうち、6割程度が建物の崩壊で操業できなくなるなどの大きな被害を受けていることが分かった。刈羽村では、調査企業数は6社と少ないものの、全企業が大きな被害を受けている。

 調査は揺れが大きかった柏崎市や刈羽村、長岡市などの299社を対象に、電話や現地を訪問して実施した。トヨタ自動車などへエンジン部品を供給しており、柏崎市に工場があるリケンは、同市などにある子会社、下請け会社などにも大きな被害を受けている。

 リケン柏崎営業所と子会社を合わせた9社と同下請け11社を合わせた従業員数は約2800人で、合計売上高は約1000億円になるという。

 また、柏崎市や周辺の酒造会社9社も製品が割れるなどの大きな被害を受けた。瓶詰めなどに水が必要なため、各社とも復旧を待っている。

 県産業振興課は「電話や現地調査を続けて、被害額などを算定していきたい」としている。

新潟日報2007年7月19日

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9、地場企業の設備、被害深刻

 中越沖地震は、被災地の地場中小製造業者にも大きな被害をもたらした。柏崎市の工業団地の一つ柏崎機械金属団地(約30社)などでは、生産設備の被害が深刻で、操業停止に追い込まれている企業が相次いでいる。金属部品など製品納入の遅れは避けられず、企業からは「納期に間に合わなければ取引先は別の企業に発注する」と不安の声が漏れる。また、ガスや水道の供給停止が、操業再開の障害となっている企業も多い。

 工作機械部品製造の吉田鉄工所では、部品を加工する工作機械約30台がずれたり、傾いたりした。20日以降、機械の位置を元に戻し、機械調整を急ぐ。月末までの操業再開を目指すが、吉田隆社長は「納期がいつになるか返事ができない。急いでいる取引先には他社に振り替えてもらっている」と話す。

 産業用機械ユニット製造の拓英は、部材を切断する加工機が地震で土台から持ち上げられよじれた。正確な切断ができないばかりか、停電で自動制御のコンピューターも使えない状態。発電機を導入し設備の作動状況を確認、操業再開を急ぐが、小林茂雄社長も「納期に間に合わなければ取引先は別の企業に発注する。一度移った仕事を取り戻すのは難しい」と表情を曇らせ、生産規模縮小も覚悟する。

 ガスや水道などライフラインの早期復旧を願う切実な声があちこちで上がる。自動車部品のシャフトを加工するヤマテックは週内には一部操業再開のめどが立った。しかし、「シャフト加工には水が必要だが水道が使えない。生産が遅れるばかりだ」とため息を漏らす。また別の業者も「ガス、水道の早期復旧が操業再開の鍵。ライフラインが復旧しなければ完全復旧にはほど遠い」と話した。

新潟日報2007年7月19日


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石田ふたみ