『日々の映像』

2007年07月18日(水) 中越沖地震の記録 (8)


1、柏崎市内墓地で76歳男性遺体発見 10人目の死者 朝日新聞
2、原発変圧器、地盤沈下で出火 土の上に建設、傾く 朝日新聞
3、公営住宅への被災者受け入れ、全自治体に要請 国交省 朝日新聞
4、中越沖地震:トヨタ国内全工場、停止 部品工場復旧せず 毎日新聞 
5、車6社が一時生産停止へ、部品メーカーの地震被災受け 読売新聞
6、被災者半数「備えなし」…中越沖地震で読売調査   読売新聞
7、柏崎原発の火災対策、IAEAが2年前に不備指摘 読売新聞
8、柏崎刈羽原発、東電が安全点検に数か月の見通し  読売新聞
9、水道は25日までに復旧目指す  新潟日報
10、漏れた放射能量は1・5倍 新潟日報
11、避難所警戒「ゆきつばき隊」

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1、柏崎市内墓地で76歳男性遺体発見 10人目の死者
(07月18日 21:52朝日新聞)
 新潟県柏崎市内の墓地で18日夜、行方不明になっていた無職猪俣孝さん(76)(柏崎市鏡町)が、地震で倒れた墓石などの下敷きになって死亡しているのが見つかった。
 中越沖地震の犠牲者は10人目。
 避難所への避難者は18日午後5時現在、4743人。断水は同9時現在、約4万1000戸で続いているが、停電は18日夜、すべて解消された。北陸自動車道は18日夕、全面開通した。
 一方、柏崎市は18日夜までに、土砂崩れの危険があるなどとして82世帯154人に避難指示を出した。
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 18日午後4時53分ごろ、中越沖地震の余震があり、新潟県出雲崎町で震度4を観測した。震度4以上の余震は16日夜以来。これで余震は、19日午前1時までに計104回となった。

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2、原発変圧器、地盤沈下で出火 土の上に建設、傾く  
2007年07月19日朝日新聞

 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所3号機の建屋脇の変圧器で発生した火災は、地震で変圧器周辺が地盤沈下し、変圧器内にある電気を流す銅帯が周辺の金属と接触したために発生した可能性が高いことが、新潟県の調査などで分かった。東電と結ぶ安全協定に基づいて県が現地調査をして確認した。この地盤沈下によって地下の消火設備も損壊し、消火活動ができなくなった可能性もあるという。

 原子炉やタービンが収納されている建屋は、国の指針で固い地盤の上に建てるよう定められているが、付帯施設にはそこまでの耐震性は求められていない。大きな地震にあった場合は変圧器などの一般設備の損傷や出火よりも原子炉の安全確保を最優先に考えているためだが、消火体制などの不備があれば、想定外の被害に発展する可能性が浮かび上がった。

 建屋内で作られた電気はケーブルを通じて変圧器内に送られる。県によると、岩盤の上に直接建屋を建てる際に、周囲の土はいったん取り除かれ、建設後に再び埋め戻された。今回火災が発生した変圧器とケーブルを支える橋脚は、建屋周辺の軟弱な地盤の上に建設されていた。

 今回の地震では、想定の倍以上の揺れが観測され、ケーブルを支える橋脚部分が地面に沈み込んだ。変圧器内では、電気を通す銅帯が、直接触れない形で金属に覆われている。ケーブルが傾いたことでこの銅帯と金属が接触。ショートして火花が出るか、金属が高温になり、変圧器内の絶縁油に引火し、火災が起きた可能性が高いという。

 ケーブルを支える橋脚の下には消火栓の水道管が通っていたが、沈み込んだ橋脚の重さで圧迫されて損壊し、水圧が低下するなど初期消火活動に影響を与えた可能性もあるという。

 県は「東電側が15人くらいのチームで原因などを調査中と聞いている。時間がかかるようであれば、今後は専門家の意見を聞きながら、どう対応していくかを決めたい」としている。
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3、公営住宅への被災者受け入れ、全自治体に要請 国交省
2007年07月19日06時17分朝日新聞

 国土交通省は18日、新潟県中越沖地震の被災者を公営住宅の空き部屋へ家賃を減免するなどして優先的に受け入れるよう都道府県を通じて全自治体に要請した。

 被災者が入居を希望する場合、(1)収入の上限を設けない(2)公募手続きを免除する(3)家賃・敷金を免除、減額、猶予する――など「最大限の配慮」を要請。入居期間は1年間を基本に、必要に応じて更新したり正式入居として扱ったりするよう求めている。
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4、中越沖地震:トヨタ国内全工場、停止 部品工場復旧せず 

19日から操業が止まるトヨタ自動車の生産ライン=愛知県田原市の工場で6月、山田一晶撮影 中越沖地震で被災した自動車部品メーカー、リケンの新潟県柏崎市内の工場復旧が遅れている影響で、トヨタ自動車は18日、部品確保のめどが立たないとして国内12の全自社工場の操業を19日夕から21日未明まで停止すると発表した。ダイハツ工業も国内全4工場の操業を同期間停止する。日産自動車や三菱自動車、スズキ、富士重工業も生産の一部停止を決めた。復旧が遅れれば、自動車業界への影響拡大は避けられない情勢だ。

 リケンはエンジン用ピストンリングで50%、変速機用のシールリングで70%超の国内シェアを持ち、多くの自動車メーカーに供給している。自動車各社からの応援を受け、生産設備の復旧を急いでいるが、水道、ガスが復旧せず、操業再開のめどは立っていない。

 トヨタは、子会社による福岡、宮城県、北海道の4工場や関東自動車など系列メーカーの工場も停止。週末の休業をはさんだ23日以降に関しては、リケンの状況をみて判断する。

 富士重は、群馬県太田市の工場の軽自動車全5車種の生産を、19日夕から21日まで停止。スズキも静岡、愛知両県の5工場で19日から3日間一部のラインを止め、三菱自も最大3日間、3工場を止める。

 変速機大手のジヤトコはリケンの部品を使っているため18日夜から、静岡県内の3地区の工場を一部停止。その変速機の供給を受けている日産自動車は20、21両日、2工場を一部停止する。ホンダは「19日中に解決策が見つからなければ来週には生産が止まる可能性がある」(福井威夫社長)としている。

 国内自動車メーカーは、極力部品在庫を持たない「カンバン方式」と呼ばれる生産スタイルで効率化を追求している。そのために、短期間でも部品が止まれば生産が止まるという弱点が、露呈した形だ。【谷川貴史、山田一晶、森有正】

毎日新聞 2007年7月18日 21時
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5、車6社が一時生産停止へ、部品メーカーの地震被災受け
 トヨタ自動車は18日、新潟県中越沖地震の影響で、19日夕から21日未明まで、国内の全工場の生産を停止することを明らかにした。
 同県柏崎市に工場がある部品メーカー「リケン」(東京都千代田区)の工場が被災し、部品供給が止まったことで、エンジンや変速機などに必要な主要部品が確保できなくなったためだ。子会社のダイハツ工業も同期間、国内全工場で生産を休止する。日産自動車、三菱自動車、富士重工業、スズキの4社も18日、一部工場の生産ラインを停止すると発表した。業界全体の生産体制に影響が広がっている。
 三菱自は、岡山県倉敷市の水島製作所のラインを20日から停止し、21日から23日までは国内全工場のラインを停止する。日産は小型車を作る神奈川県横須賀市の追浜工場など2工場の一部、スズキは「ワゴンR」などを生産する静岡県湖西市の湖西工場など5工場の大半、富士重工は群馬県太田市の群馬製作所の軽自動車のラインを今週末まで停止する。
 ホンダやマツダなどもリケンから部品供給を受けており、ラインの停止について「検討中」としている。リケンは、エンジン部品のピストンリングなどを生産している。
(2007年7月19日3時3分 読売新聞)

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6、被災者半数「備えなし」…中越沖地震で読売調査
 新潟県中越沖地震で避難所生活を続ける被災者130人を対象に、読売新聞が18日、アンケート調査を実施したところ、2004年の中越地震の教訓を生かした備えができていなかったと回答した人が半数以上にのぼった。
 中越地震を経験した地域だが、9割近くは「その後の大規模地震を想定していなかった」とした。また、自宅で元の生活に戻る見通しを持てない人は4割に達している。
 調査は、柏崎市内の避難所12か所で、本紙記者の聞き取りで実施した。
 回答者は男性61人、女性69人。年齢別は30代26人、40代24人、50代18人、60代31人、70代以上31人。中越地震を経験した人は、93%にあたる121人だった。
 しかし、再び大きな地震があると思っていなかったと答えたのは、全体の87%にあたる113人。「今すぐにあると思わなかった」「前回は被害が少なく、『人ごと』と甘く見ていた」といった声が上がった。
 中越地震を教訓に食料備蓄などの備えをしていたかどうかを質問したところ、72人(55%)が「備えていなかった」と回答した。いったん備蓄したにもかかわらず、その後に飲食したまま補給せず、今回の地震に見舞われたケースもあった。
 現在の避難所生活での不満(複数回答)については、仮設トイレを中心とした「衛生状態」が最も多く38人。入浴や洗面、洗濯などの「生活用水」(27人)、「飲料水・食料不足」(12人)、「(隣の人の話し声など)騒音」(8人)、「プライバシー」(6人)などが続いた。「ない」と答えたのは29人だった。
 ボランティアに対する要望(自由回答)では、「自宅などの片づけ」の32人が最多。回答者の大半は、2人暮らしの老夫婦など、人手が足りない世帯だった。
 被災した自宅の再建のメドについては、58人が「たっている」「ある程度たっている」と回答。しかし、54人は「まったくたっていない」と答えた。
(2007年7月19日3時1分 読売新聞)
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7、柏崎原発の火災対策、IAEAが2年前に不備指摘
 新潟県中越沖地震で火災が起きた東京電力の柏崎刈羽原子力発電所に対し、国際原子力機関(IAEA)が2005年6月、火災対策の不備を指摘していたことがわかった。
 東電は指摘を受けて対策を見直したが、今回は消火に約2時間かかっており、改善が不十分だった可能性が出てきた。
 指摘したのはIAEAの運転管理評価チームで、世界13か国の原子力専門家とIAEA職員ら計16人で構成。04年11月に同原発で職員への聞き取りや現場の状況視察などを行ったうえで安全管理体制を評価した。
 05年6月に公表された評価報告書は、〈1〉火災対策を専門に担当する組織が存在しない〈2〉消防団はあるが、訓練を受けていない団員や、定期的な所内巡回をしていない団員がいる〈3〉火災対策を話し合う委員会が2年間開かれていない――などと指摘。「火災対策の組織や火災訓練を強化する必要がある」と改善を求めた。
 東電によれば、IAEAの評価後、消防署と合同で消火訓練を実施し、所内に「防火管理者」を選任するなどの改善に着手。昨年5月にIAEAの再評価を受け、「課題は解決した」との評価を得たというが、今回、実際には、初期消火に手間取るなどしていた。
(2007年7月19日3時5分 読売新聞
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8、柏崎刈羽原発、東電が安全点検に数か月の見通し
 東京電力は18日、新潟県中越沖地震でトラブルの多発した柏崎刈羽原子力発電所について、安全性の点検に数か月はかかるとの見通しを示した。また、地震を起こした海底の断層の独自調査にも乗り出すことを明らかにした。
 会見で東電原子力・立地本部の上津原勉・立地地域部長は、現在停止中の7基の発電設備をそれぞれ調べ、評価していくには、人員の手当てもあって数か月かかる見込みで、現状で運転再開のめどは立っていないと説明した。
 また、海底の断層調査開始は早くても8月下旬で、調査、分析に約半年かけ、年度内には結果が出る見込み。
 原発の被災調査は18日も引き続き行われ、建屋のパネルが外れるなど、新たに3件が見つかった。
(2007年7月18日22時42分 読売新聞)
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9、水道は25日までに復旧目指す
 最大で震度6強を記録した中越沖地震から3日目となった18日、柏崎市で不明の男性が、崩壊した寺院の下から遺体で発見された。これで中越沖地震による死者は10人となった。高速道は北陸道が2日ぶりに全通した一方、確認された損壊家屋は3000棟以上となった。

 高速道は北陸道が18日午後6時、柿崎IC―米山ICが対面通行で復旧。これにより通行料金無料区間が北陸道能生IC―関越道長岡ICに延長された。国道8号は土砂崩れで不通となっている長岡市大積千本町で復旧作業が本格化し、一週間後をめどに片側交互通行ができるようにする。柏崎市は25日をめどに水道を復旧させる方針だが、飲用できるのは数日後からになる。ガスは8月15日を目標に復旧作業に当たる。

 仮設住宅は同市が250戸をJR柏崎駅前の「ふれあい広場」、刈羽村が100戸を源土運動広場に建設する。いずれもお盆前の8月12日の完成、引き渡しを予定。また県は長岡市で空き家となっている中越地震の仮設住宅163戸に、避難所生活が困難な高齢者らに優先的に入居してもらうことを検討している。

 一方、柏崎市西本町2では高台にひび割れが見つかり、同市は63世帯91人に避難指示を出した。

 家屋の被害は、住宅が全壊944棟を含め2633棟に上り、事業所など非住宅を合わせると3005棟となった。同市で半壊などが確認されれば被害はさらに増える。

 また県が企業250社にヒアリング調査したところ、29社が「操業に影響があった」と答えた。
新潟日報2007年7月19日
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10、漏れた放射能量は1・5倍 新潟日報

 東京電力は18日、中越沖地震により柏崎刈羽原子力発電所6号機から放射能を含む水が海に流出した問題で、流出した水の放射能量に誤りがあったと発表した。訂正後の放射能量は当初発表の1・5倍となる約9万ベクレル。計算ミスが原因とみられ、同日報告を受けた経済産業省原子力安全・保安院は同社に厳重注意した。

 同社によると、訂正後の放射能量でも法定限度量の10億分の1以下で、環境への影響はないという。

 ミスは、放射能量算定の基となる放射能濃度を計算する際に発生。担当者が分析表を読み違え、本来より低い濃度を算出した。同社は17日に地震に関連した一連のトラブルを公表したが、その後、再点検した本社担当者が誤りに気付き、18日に現地担当者と確認を取り、ミスが明らかになった。

 保安院の根井寿規原子力発電検査課長は会見で、「こうしたことが繰り返されるたびに、国民の不安が募る。緊張感を持って仕事をしてほしい」と不快感を示した。

 県はこの問題で同日、6号機の放水口などで採取した海水から、放射性物質は検出されなかったと発表した。

 一方、東電は同日、地震によるトラブルについて、避雷鉄塔の一部損壊など3件を追加し、計53件になったことを明らかにした。また中越沖地震で設計時の想定を超える揺れを観測したことを受け、8月下旬にも海底の地質調査を独自に行う方針を示した。

 調査は、船上から音波探知装置を使う。震源断層の特定や、より広く詳細に周辺の地質を把握する目的。同原発の半径30キロの範囲を想定している。データの解析と合わせ、年内いっぱいはかかる見込み。

 低レベル放射性廃棄物を詰めたドラム缶の転倒は、前日までと合わせて約400本に増えた。そのうち40本のふたが開いていたが、新たな放射能漏れはなかった。
新潟日報2007年7月18日
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11、避難所警戒「ゆきつばき隊」

 県警が中越沖地震の避難所をパトロールする「ゆきつばき隊」が18日、結成された。隊員らは避難所での防犯指導や避難生活が続く住民の心のケアにあたる。

 同隊は親しみやすいように女性警察官を中心に34人で編成。3年前の中越地震でも結成された。隊員らは早速、柏崎小体育館を巡回。「避難所で盗難事件が起こっている。出掛けるときは貴重品を身につけて」と語りかけていた。

 同市西本町3の主婦岩船峰子さん(65)は「女性だと相談しやすいこともある。心強く思います」と話していた。
新潟日報2007年7月18日

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石田ふたみ