『日々の映像』

2007年04月01日(日) 桜を題材とした短歌の世界


 
4月の日本の風景は桜である。癒しの森植物園(7)ー桜ー
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でりゅうぞうさんから桜に関する長文のエッセイを掲載して頂いた。ここでその一部を引用します。一時桜を題材とした文学の世界に浸りましょう。

「4月に入り、いよいよ花見の季節になりましたね。癒しの森ネットのみなさんも、どこかの名所に出かけられることでしょう。・・・

花といえばサクラのことをさすほど、サクラは日本の代表的な花木であり、国花ともされていますね。春の桜狩りは、秋の紅葉(もみじ)狩りと並んで日本の代表的な行楽行事とされており、大和の吉野山をはじめとして、サクラの名所とされている所が全国各地にある。・・・

『万葉集』には、140首余りもあるハギ、120首近いウメに比べて、サクラは40首ばかりで、それほど多いとはいえませんが、
「桜花咲きかも散ると見るまでに誰(たれ)かもここに見えて散り行く」(巻12、柿本人麻呂)、
「あしひきの山桜花一目だに君とし見てば我恋ひめやも」(巻17、大伴家持)

『古今集』のサクラの用例は、
「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」(春上、在原業平)、
「見渡せば柳(やなぎ)桜をこきまぜて都ぞ春の錦(にしき)なりける」(春上、素性(そせい)法師)、
「久方(ひさかた)の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」(春下、紀友則)

『枕草子(まくらのそうし)』では、
「桜は、花びら大きに、葉の色濃きが、枝細くて咲きたる」のを賞し、また瓶(かめ)にいけられたようすが記されている。

『源氏物語』では、
「春の曙の霞の間より面白き樺桜の咲き乱れたるを見る心地す」
『山家集』
「願はくは花の下にて春死なむその如月の望月の頃」(西行)
「敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」(本居宣長)
「吉野にて桜見せうぞ檜の木笠」「奈良七重七堂伽藍八重桜」(芭蕉)
 王朝貴族にとってサクラの花は春の自然美の代表的な景物であり、咲き散る花の動きの微妙な変化に一喜一憂し、ひたすら花の姿を賞美してきました。

 サクラの花の散るのにいさぎよさをみるのは、近代のややゆがんだ受け止め方であって、古来、文学の世界では、サクラの花はもっぱら賞美の対象であったことをもう一度考え直してみることですね。花見にいくと称して、酒盛りや宴会だけに興じるのはやめて、歌(カラオケではなく、詩文をつくる)を詠むことも再開したいものですね。」





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石田ふたみ