『日々の映像』

2003年03月15日(土) 護身具での犯罪急増

 犯罪件数をここで挙げるまでもなく、治安の悪化が深刻化している。読売の世論調査によると、「自分や家族が犯罪に遭うかもしれないと不安を抱く人が八割を超えている」というから困ったものだ。犯罪不安の上位を占めたのは「ひったくり」(42%)「自動車強盗・車上荒らし」(41%)「ピッキング」(34%)と続く。

 そこで、ひったくりや痴漢などから、身を守るためにスタンガン(高圧電流銃)や催眠スプレーなどの護身器具が販売されている。これらの商品は、インターネットで販売されるウエートが高く販売量、性能などは事実上野放しのようである。この護身用の器具が犯罪の武器に使われているというから深刻と言わねばならない。

 ここで取上げたいのは、スタンガンの威力である。「店の外へ出ようとした瞬間、バチッという音がして右手の甲に鋭い痛みがはしった。1昨年11月、福岡市のレンタルビデオ店。午前2時過ぎ、店じまいをした男性店長(36)は、外で待ち伏せていた若い男に警棒タイプのスタンガンで襲われた。

 男は店内に押し入り、男性の頭や腕、背中などにスタンガンを押し当てた。体が飛び上がるような衝撃を受けた」(15日・読売から)という。男は3万円を奪って逃げる。店長は「あんなに危ないものが、平然と売られているのはおかしい」と憤慨している。

 実際このスタンガンで攻撃を受けた人からすると、想像以上の威力なのである。驚いたのは、攻撃を受けた店長の後遺症である。「店長は両手の握力を失い、1週間過ぎても、缶ジュースを開けることすら出来なかった」というから、スタンガンは完全に犯罪用の武器だ。

 全国各地でこれらの器具を使った事件がおきている。タクシー運転手を狙った強盗(福岡市)、パチンコ店・コンビニ襲撃(東京・大阪)などの犯罪は「1昨年341件摘発され、4年前に比べ3倍近くになっている」(同)という。この341件は摘発された件数で、事件そのものは1000件以上発生していることになる。

 催眠スプレーも空き巣などの犯罪に使われることが多いという。こうした護身具の製造と販売に明確な規制がないのが現状である。なかなか難しい問題である。身を守るために護身具を持ち歩く人にとっては必要な品物だ。しかし、犯罪の攻撃に使われるようなスタンガンは、規制の対象にする必要があると思う。

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石田ふたみ