『日々の映像』

2003年03月01日(土) イラク攻撃はすでに始まっている          

 ブッシュイズムが展開されていくと、アメリカはイスラム世界から増悪の対象になっていくと思う。イスラム世界から見ると「悪の枢軸は米国、英国、イスラエル」になる。2月28日にも書いたが、2001年9月11日のテロ以降、アメリカに決定的な変化が起こっているように思う。

 その1つが、イスラムに対する強烈な警戒心である。「イスラム教徒たちを疑心暗鬼から捕らえて来て、隔離したり国外へ追放したりしている。ベトナム人が、皆べトコンに見えたのと同じ現象だ。新たな増悪を生み出すだけなのだが」(毎日・時代の風から)世界中から移民を受け入れて発展してきたアメリカは、多くのイスラム教徒を国内に抱えている。これらの人達を猜疑の対象にしていけば、体内に増悪の細胞を増やすようなものだ。これが多民族国家アメリカの宿命的な側面である。

よって、本来アメリカこそ、世界のあらゆる民族と戦争をしてはならないのだ。しかし、現実は最も好戦的に成っているのがアメリカのように思える。ブッシュ政権のイラク攻撃は、単に大量破壊兵器の破棄とフセイン政権の転覆に止まらず、民主主義の強制という目的が明確に成ってきた。しかし、これは余りにも単純な思考ではないだろうか。

 ブッシュ大統領は「イラク軍事行動の終結後も米軍が必要な限りイラクに留まり、同国の民主化を足がかりにアラブ世界全体の政治改革を目指す考えを明らかにした。・・・武力行使の目的が・・・中東地域への『民主主義』の拡大にあることを鮮明にした。」(2月28日・毎日から)武力で民主主義の拡大をしようという発想は前代見聞である。

 簡単に補足すれば、武力によってフセインを倒し、イラクの政治体制を変え、中東地域全体を変えようとの方針である。ブッシュ大統領は「イラク新体制は地域の国々にとって、劇的な自由の実例となる。」(同)と力説している、これでは、アメリカの価値観の武力による強制である。この価値観が、イスラム世界の大衆に理解されると思っているのだろうか。

 アメリカがバクダットを占拠すれば「キリスト教十字軍のイスラム世界の占領」と受け止める大衆がかなりいるのである。そして行き着く所は、イスラム教の敵と戦う「聖戦」となる。アメリカ軍がイラクに留まれば、計り知れないテロ攻撃に遭うと思う。

 ブッシュ大統領は、第2次大戦後、日本とドイツの軍事占領時「憲法と議会を残した」と間接統治の成功を例に挙げている。しかし、この理解は、日本・ドイツとイラクの文化的な基盤を理解していない発言のように思われる。どう考えても、アメリカのイラク攻撃は、泥沼に足を踏み入れるようなものだ。砂嵐という自然の敵も待っている。

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石田ふたみ