2月1日約10年間の失業率の推移を記述した。自己破産の増加も相当のペースで続いている。最高裁のまとめによると、昨年1年間の自己破産は次のとおりだ。 個人 21万4634件 前年の件数16万1378件の33%増 法人 8927件 以前、ここで自己破産の過去のデータを示したことがある。失業率が2%台であった92年当時は、個人の自己破産は4万人台であった。しかも自己破産の内訳は、カードでの買物が原因となる若者の比率が多くあった。 今の自己破産は、ここで記述するまでもなく、職場環境の激変又は失業で、住宅ローンの返済が出来ないという比率が多いのだ。 バブル崩壊の影響をまともに受けた個人は、100万人単位の数にのぼる。自己破産に関連してアメリカの例を何回も記述したが、破産しても再起できる社会の体制が必要だ。アメリカの自己破産の人数は桁が違う。「米連法裁判所は14日、2002年に米企業や個人が申請した破産件数が前年比5・7%増の157万7651件(内企業の件数は3万8540件)になり、過去最高を更新した」(15日 日経から)アメリカ社会で、これだけの破産があっても大きな問題となっていない。 ◇ ◇ ◇ ◇ 2月6日究極のジミ婚を書いたが、ここで多少補足したい。衣装、ヘアメーク、写真撮影の提供と参加人員役30人の結婚式を取り行なっているのだ。それにしても、これらの経費一式が4万9000円とは驚いた。この結婚式を最初に始めたマリエでは、毎月70組あまりの結婚式が行なわれるとのこと。考えてみれば、この売上が1か月340万円だから、少々のスタッフを抱えることができる。 あとは、これから結婚しようとする若い人達の価値観である。この結婚式は言ってみれば西洋式かも知れない。教会へ行って式を挙げそのまま新婚旅行に出るアメリカ人などは式そのものにかかる経費はほんのわずかである。この「ジミ婚」(言葉が適切とは思われない)は、案外と若い人たちに受け入れられて行くかも知れない。 ◇ ◇ ◇ ◇ 3月中旬に世界60カ国400都市で、数百万人が参加した反戦デモが行なわれた。しかし、ライス米大統領補佐官(国防担当)は、「人々には、異議を申し立てる権利がある」というだけだ。このこわいお姉さんは、反戦デモにとらわれず大量破壊兵器の破棄に応じなければ、武力行使に踏み切るという姿勢を明確にしている。 アメリカ社会はブッシュ大統領の登場と、9・11のテロ以後、世界が困惑するほど変化しているように思う。米海兵隊の経験のある元津田塾大教授のダグラス・スミス氏は、ブッシュ大統領をこう批判している。「彼はキリスト教原理主義者。世界の中には善と悪しかないと思えるほど物事を単純に二元論で分けている。イラク攻撃にしても、世論や欧州諸国の反対意見を無視してよいと考えている。妙に自信を持っており、こんな人間が権力を振るうこと自体、とても怖い」(サンデー毎日、戦争狂「ブッシュイズム」の徹底研究から) 米軍の湾岸展開の兵力は、20万人を突破している。イギリスも数万人の展開が完了している。昨日イギリスの議会は、ブレア政権のイラクへの攻撃方針を賛成多数で支持している。よって世界の世論を無視して、キリスト教原理主義者のイラクへの攻撃は3月にはいると開始されるのだろう。これは抱擁力のあったアメリカ文化の崩壊を意味すると思う。 アメリカ本来の文化の一端を知る意味で、アメリカの詩人ホイットマン詩集「草の葉」の序文の初めを引用しよう。「アメリカは過去を拒まずたとえ古い形式の下で古い政治体制のさなかで生み出されたものであっても、たとえ身分制度の思想であれ、古めかしい宗教であれ、ともかく拒まず・・意見や風俗や文化は未だに古い殻をつけたままだからとて、決して苛立つことはなく・・」この序文を一口にいえば150年前の米社会の偉大な抱擁力である。
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