『日々の映像』

2003年02月26日(水) 受刑者の情願も法相に届かず

 2月22日受刑者が3か年で500人も死亡していることを書いた。この中で、どれだけの暴行殺人が明らかになっていくだろう。「府中刑務所と横須賀刑務所で保護房に収容された男性受刑者が急死した3件について再調査する」(20日 読売から)というから法務省刑事局では、既に不自然な死亡を多く掌握しているのだろう。問題はどれだけ明らかになるかである。法務省から離れた独立した調査機関を設置しない限り、少々だけ明るみに出てあとは闇の中に消えていくだろう。

 日本の国会も独立した調査機関を作り、権力によるこの人権無視の暴行を徹底的に調べようという動きはない。悲しいことだが、それだけの人権感覚はないと思う。もし、徹底的に調べたら、刑務所の職員1万2000人の内、膨大の数の処分者が出ることになるだろう。心ある幹部は、今回の事件をどの範囲で終わらせるかに苦慮していることと思う。

2月21日、衆議院予算委員会でこの問題に関する集中審議があった。ここで明らかになったのが、受刑者が法務大臣に提出出来る不服申し立てが出来る「情願書」の扱いである。なんと受刑者から申し立てが、ここ数10年間大臣の所まで届かず、矯正局長らが開封して処理して来たのだ。内部の違法行為を内部で握りつぶす体制を維持してきたのだ。「70年代半ば以降、法相が情願の文書を読むケースはなかった」(23日 毎日)というから一つの法律違反でもある。

 監獄法では受刑者の権利が制定され、同法の施行規則では「刑務所長が封を開けずに直接法相に届ける」(同)ことになっている。実際は今まで大臣には、この情願が一切届くことはなかった。野党は、法相の政治責任を追及する姿勢をとっているが、明らかに的外れの追求だと思う。森山法相も受刑者からの情願書があるなどは知らなかったのだ。森山法相は「今後情願書は、私が見る」(同)と答弁している。

今後のことより、1年間に3000通もの情願書は何処に保管されているのだろう。少なくとも過去3ヵ年約9000通の情願書に何が記述されているのかを調べるべきだ。しかし、刑務所側を不利にするような情願書はおそらく焼却処分されているのだろう。刑務所は圧倒されるような人権無視、人権軽視の闇の空間だ。

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石田ふたみ