一般家庭から出るゴミは、市町村がその処理に当たっている。これとて膨大な量で安定処理が難しいとする市町村もある。 家庭以外から出るゴミは産業廃棄物で、その処理は民間で行なうことになっている。この産業廃棄物の処理場の設置が難しい。問題の一つは、この産業廃棄物処理業に上場しているまともな企業が全く参加しないことである。極単な説明をすれば、いかがわしい企業しかこの産廃事業に参加しない傾向が強いのである。大企業は廃棄物を出すだけで、あとはいかがわしい企業が処理するでは、違法行為があるのは当たり前と言わねばならない。
いかがわしい企業とは、暴力団や右翼団体と結びつきのある先である。これらの産廃業者を監督する都道府県、政令都市の担当職員が日常的に危険にさらされていると言うから考えさせられる。少々事例を取り上げてみよう。「熊本県でも2年前不法投棄を監視していた警備員が車から引きずり出されて殴られた」「千葉県では職員が廃棄物パトロールの現場で業者に取り囲まれるのは日常的、ここ数年は防弾チョッキを着用している」「岩手県では、県外からの廃棄物搬入を抑制する条例を施行した。条例案を作成しとぃた昨年夏から秋に、県環境生活部には『死ね』『消えた人間は何人もいるぞ』と脅しまがいの電話が相次いだ」この引用は、2月17日毎日のほんの一部である。
一番有名なのは、岩手県と青森県境の山中に不法投棄された82万立方メートル廃棄物だ。この処理に数百億円も掛かる。一晩で車がほとんど通らない堂々とした林道は無数にある。よって不法投棄はこれからも続いていくのだろう。問題は前記したように、産業廃棄物は総べて民間の責任で処理せよ!という国の方針に無理があると思う。
鹿沼市では01年4月に環境対策部の幹部が業者に連れ去られ射殺される事件が起きている。これらのことから、環境対策部門に現職警察官を配置して環境行政を進めている。毎日新聞の調査によると、現職警察官を環境部門に配置しているのは「三重県10人、千葉県9人、埼玉県8人・・・」と続く。検察庁によると、昨年4月現在の出向者は「全国で149人」であるという。この業界を、ただ取り締まるだけではどうにもならない。今の体制が続けば産業廃棄物の処分場が益々減少するのではないだろうか。
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