2003年02月16日(日) |
受刑者に暴行を加えて殺す |
10数年前日本の刑務所の人権無視に関するリポートを読んだ。記憶に生々しく残っているのは、刑務官が受刑者を家畜同然の扱いをしている処もあるとの記述であった。人間であることの根底を破壊してしまう行動もあるのだ。その最たるものは、身体検査と称して、全裸にして肛門にガラス棒を押し込むというのだ。これらの記憶が生々しく残っており、昨年11月の名古屋刑務所の暴行死に対して、かなり激しい筆運の一文を書いた。 ところが、肛門にガラス棒を押し込むぐらいはまだまだ子供だましの暴行のようだ。「名古屋刑務所で01年12月、男性の受刑者(当時43)が皮の手錠を装着され急死した問題で、この受刑者の死亡前日、刑務官から房内で全裸にさせられ、下半身に強烈な勢いの水を消防用ホースで吹き付けられていたことが、名古屋地裁特捜部の調べで分かった。特捜部は、水圧の非常に高い放水によって、受刑者の肛門部に大怪我をさせ、死亡につながったとして、12日副看守長、乙丸幹夫容疑者(46)を逮捕する」(12日 朝日から、記事の要旨のみ)
消防用ホースの水圧で肛門部の裂傷があったというからまさに暴行だ。暴行というより死に至るのだから拷問といったほうが正しい。この事件は受刑者の自傷行為が原因と報告され、「法務省も疑念を抱くことはなかった」(13日 毎日から)というからおかしい。刃物持っていない受刑者がどうして肛門を切り裂くことが出来るのだ。 さすがに、刑務官の中で良心の呵責に苦しむ人が出たようだ。「昨年末になって刑務所関係者から、乙丸容疑者による暴行事件を告発する文書が検察当局に寄せられ・・・」とあるように、内部告発がなければ、この拷問殺人は闇から闇に葬られていたのだ。 不思議に思うことは、この受刑者の肛門部のけがを別の刑務官が見つけ、医師の止血処置や縫合手術を受け、同刑務所内の集中治療室に収容された。しかし、死亡した。ご丁寧に司法解剖までしている。しかし、何故肛門直腸の裂傷があったのかは不問のままだった。隠蔽(いんぺい)という恐ろしい穴を覗いているようだ。
隠蔽の事例を書き止めて置こう。このような死亡の場合、遺体の写真添付が当然必要だ。しかし、証拠隠滅が行なわれたようだ。「画像消去という意図的な隠滅工作をした疑いが強まった」〔17日 毎日から〕という。なにしろ、検察側の事情聴取に対して「口裏合わせのプロジェクトチームを結成」〔同〕していたというから、組織的な隠蔽工作は明確だ。
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