1月5日、日本経団連が発表した消費税16%構想を記述した。2004年すなわち来年より毎年1%ずつ消費税を上げて行き、2014年以後は16%に固定するとの提言である。この提案に対して、日商、経済同友会など経済界がこぞって同調する空気なのである。日本の財政は破綻に等しい内容である。公共事業などを大幅に削減するか、増税するかの2つの選択しかない。公共事業を2分の1、3分の1にするなど財政支出の大幅カットの話はない。しからば増税かと言えば、消費税引き上げの論議のイニシアチブを政治が率先して執っている訳ではない。
小泉首相は、「私の在任中、消費税は引き上げない」という。何故在任中は引き上げないのかの論拠があるなら説明して欲しいものだ。現在の国債の発行残高(約450兆円)からいったら「議論の展開を見て考えていかなければならないテーマである」くらいの説明を国民に対して行なうべきである。 塩川財務相は、将来の望ましい消費税率として「ドイツあたりが一番いいんじゃないか」(5日 日経から)と抽象的な表現しかしていない。「ドイツあたり」と言っているが、ドイツ16%、フランス19%、イタリア20%の消費税なのだ。 ドイツあたりの言葉を単純に解読すると、消費税は16%〜20%にしたいというのが本音なのだろう。 しかし、この引き上げを選挙目前に控えて国民に自信を持って説得するだけの自信がないだろう。よって、小泉首相は「私はやらない」と紋切り型の逃げの答弁になっているように思う。塩川財務相の「ドイツあたりが」との説明は、財政の責任者の言葉としてはあまりに抽象的といえよう。
支出の削減も出来ない、増税も出来ない、ただひたすら国債という膨大な借金を繰り返して予算を作る、これほど無責任のことはないと思う。今年は35兆円の国債の発行だが、来年以後は40兆円台に乗るのだ。「新たな国債発行額は04年以降に40兆円超となることが避けられず、歳入の半分近くに達する。07年度以降もこの歳出入構造を放置すれば、2016年度には国債の発行残高は現在の約2倍の900兆円に膨れ上がる」(2月5日 朝日から)この雪だるま式に増える借金に対する有効な対策が示されないのだから不思議だ。日本の財政の破綻を横目で見ながら、何もしない、何もできない、では無責任という名の名画を見ているようだ。
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