2003年02月10日(月) |
賃上げ抑制の動き加速 |
統計上02年は、定昇を含めて1・1%、3167円の賃上げが行なわれたことになっている。しかし、実際の所得は2年連続で減少している。「厚生労働省が3日発表した統計調査によると、2002年に労働者に支払われた平均月給総額は、前年比2・3%減少した」(3日 読売から) この調査は従業員5人以上の3万3000社のデーターなので、 ほぼ実態を正しく示しているのだろう。 問題は、今年春の賃上げである。定昇を含めて昨年の3167円を大幅に下回る雲行きだ。具体的な動きを拾ってみよう。 今年三月期に経常利益が1兆5000億円になると伝えられているトヨタ自動車労働組合(組合員5万8000人)は、1月上旬にベアを見送ることを決めている。よって、定昇分の確保と一時金アップのみの要求だ。 ホンダは更に踏み込んで定昇制度を廃止するという。「ホンダは、年齢に応じて給与が上がる定期昇給制度を止め、仕事の評価などにより支給額が変わる成果主義的な賃金制度を導入することを明らかにした」(1月25日 産経から)ホンダの場合は、ただ賃金を抑制する目的以外に、技術開発などに勝ち抜くことが狙いのようだ。ホンダの雨宮副社長は「やる気のある社員に報いる制度にした」(8日 毎日から)と話す。すでに自動車大手3社は成果主義に移行している。 みずほなど大手行の給料カット方針が伝えられている。ここは、他の産業に比べて高給であったので当然の成り行きなのだろう。 富士通が実質賃下げの方針を明らかにしている。「毎年給料が上がる年功的な賃金である基本給の伸び(定昇分)の圧縮を組合に提案する方針を定めた」(7日 日経から)という。この方針は、すでにNECが打ち出しており、日立・東芝・三菱電機なども追随するという。 春闘のリード役であった電気大手が実質賃下げに踏み切る雲行きで、他産業への影響も大きい。戦後続いてきた日本の年功賃金制が名実ともに崩壊することになった。この賃上げ抑制或いは引き下げの動きが日本の経済にどのような影響を与えるだろう。少なくとも消費が強く抑制されていくだろう。しかし、最近は親の遺産を受け取る世代が多くなっているので、 劇的な消費の減少はないと思う。
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