『日々の映像』

2003年01月21日(火) 中島みゆきさんの「地上の星」

 日本という国を悲観的に見る人が多い。私はそうは思わない。政治権力が全く及ばない処で、厳然と大衆文化の花が咲いていると思う。アニメの世界で素晴らしい作品がある。歌の世界でいえば、昨年の紅白歌合戦ではじめて出場した中島みゆきさんの「地上の星」なども大衆文化の花といえる。
この「地上の星」が歌われた11時1分に最高視聴率が52.8%を記録したという。この地上の星が発売されてから130週目(約2年半)になるのだが「20日付の最新オリコンチャートで初の1位を獲得することが分かった」(14日 スポーツニッポン)という。この歌のシングル売上も紅白出演後に急上昇している。紅白効果というよりこの歌詩と曲と歌唱の持つ力であると思う。 
 中島みゆきさんは、過去に「わかれうた」「悪女」「空と君のあいだに」「旅人の歌」の四曲がオリコン・トップを獲得しており、「地上の星」が通産五作目となる。ここで記述するまでもないが、地上の星はNHKの「プロジェクトX」の主題歌で作詞、作曲共に中島みゆきさんだ。
 曲作りにあたっての注文は「無名の人々の光を歌にしてください」(中島みゆきさんのメッセージから)とのことであったという。中島さんは「番組に登場する、実在の方々の人生に尊敬をこめて、製作スタッフの情熱に少しでも添うことが出来ればと願いながらこの曲を書きました」とメッセージを結んでいる。無名の人々に光を・・・との要望で、これだけの詩と曲を作るのだから中島みゆきさんは大衆文化を体現する1人だろう。この地上の星の1番のみここに引用した。詩そのものに何ともいえない奥行きがある。「地上にある星を誰も覚えていない。人は空ばかり見ている」
のくだりに中島みゆきさんの明確なポリシーが伝わって来る。

   風の中のすばる
   砂の中の銀河                  
   みんな何処へ行った 見送られることもなく    
   草原のペガサス                 
   街角のヴィーナス                
   みんな何処へ行った 見守られることもなく    
   地上にある星を誰も覚えていない
   人は空ばかり見ている 
   つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
   つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう   

  

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石田ふたみ