『日々の映像』

2002年12月15日(日) サダム大統領の考え方

 人は1つの考え方を持って行動する。ただし、その考え方、行動が社会で受け入れられるかは別だ。11月末、群馬で内縁の妻(36)が、掃除や食事がうまく出来ない「罰」として食事を与えない事件が起こった。

 この食事を与えない行為に参画したのは、被害者の内縁の夫(37)とその姉(39)母(65)の3人だった。満足な家事が出来ないものは食事をするな!という考え方なのである。

 内縁の妻である長谷川三根子さんは、治療が必要なほどやせ細っていった。この間2度逃げ出そうとしたが幸夫被告らに見付かり連れ戻されている。3人は、死も止むを得ないとして食事を与えることなく放置して餓死させる。

 この行為を社会と国の法律が許すはずがない。この3人は懲役12年と8年の刑になった。

 本題に入る。イラクのフセイン大統領が、1990年のクウェート侵攻に関して、同国民に謝罪した。しかし、その内容を読むと、はたして隣国クウェート及び国際社会が、このフセインの考え方、行動を受け入れるかは疑問だ。疑問どころかほとんど不可能だ。

 クウェートに侵攻した理由について「クウェートが当時1バレル21ドルだった原油価格を7ドルに引き下げようとしていたと批判、それが侵攻の理由だった」(8日 朝日)と説明している。

 侵攻の原因はお前達にあったのだとの説明である。こんなものの考え方を国際社会、隣国クウェートが認めるわけがない。クウェートとサウジは、90年のイラクの侵攻以来、国の安全保障をアメリカに依存している。

 しかし、フセイン大統領から見ると、アメリカの占領軍と見えるようだ。フセインの一番危険な考え方は、書簡の次のくだりでないか。「クウェートの支配者が米国などクウェートを占領した外国軍と結託しイラク反体制派とも接触していると非難。『英国、米国、イスラエル』の傘から出て『イラクのイスラム戦士と共に異教徒の占領軍に対するジハード(聖戦)』に参加するよう呼びかけた」(8日 産経)という。

 ここで補足するまでもないが、異教徒の占領軍に対するジハードという言葉は10世紀〜12世紀のヨーロッパの十字軍にたいしていうのであれば、言葉と時代が符合する。

 しかし、信教の自由が定着しているこの21世紀で、異教徒の占領軍に対するジハードを隣国クウェートの国民に呼びかけているのだ。フセインの考え方の背景はテロ集団のアルカイダと同じとの印象を受ける。

 異教徒と戦うという思考のベースが最も危険なように思う。このフセインの書簡に対して、クウェートの国会議員は「サダム・フセインとウサマ・ビンラディンに何の違いもない」(同)と述べている。このフセインの考え方がどのような結果をもたらすであろう。壊滅的な結果を招き寄せるのではないだろうか。

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石田ふたみ