2002年10月15日(火) |
個人投資家いじめの税制 |
昨日の日経平均株安は8529円であった。この株価がどうなって行くのだろう。私の印象は「もっと下落する」である。理由は単純で、株式を買い増そうとしている処がないことである。株価も安くなったことだし、個人投資家の資金がこの株式市場へ向かうだろうか。私の印象は「限りなくゼロ」である。このような印象を持つ理由を少々述べることにしよう。
先ず、その第1は、ここ10年来の株価の下落で個人投資家が傷ついていることである。株式を一定額保有してきた。元商社マンの知人と懇談したが、それなりの銘柄を持っていた人でも、株価は75%下落した。すなわち、4000万円投資した人は、おおよそ1000万円の時価になっている。これらの個人投資家の実態を踏まえての税制にならなければ、個人の資金が株式市場に回ることはほとんど考えられない。
10月8日に引用したケチむさい新証券税制では、個人の投資が株式市場に回ることは考えられない。この程度の税制改革を国会で成立させる国会議員の先生方は何を勉強しているのだろうと思うことがある。その1例をここで記述してみよう。それは配当課税の実態である。昨年11月の新証券税制の時、この配当課税が全く改定されなかったので激しい批判の一文を書いた。
株式の配当は、企業が20%源泉徴収した上で株主に支払う。Aさんが配当を10万円貰ったとしよう。20万円源泉徴収されて80万円が送られてくる。現在の税制では、この80万円を他の所得に合算して申告しなければならない。中堅のサラリーマンであれば、この80万円が累進税率となっていくのでかなりの追加課税となる。
税務署で申告の手続きをする暇のない人は、分離課税でもよいことになっている。この場合は配当額の35%を別に納付しなければならない。 1、 企業は、利益が上がると42%の税金を払う。 2、 残った利益の58%の内20%を配当するとまた20%の税金がかかる。 3、 株主が分離課税すると配当額の55%(20%+35%)の税金となる。
こんな税制をそのままにして、個人投資家の参入を促そうという証券税制などは、お笑い種(ぐさ)である。10月10日の報道によると、この個人投資家を痛みつけるような35の税金はなしにしようとの議論がやっとテーブルの上に載るようだ。
|