『日々の映像』

2002年09月30日(月) 余  録

 八月二九日から始まった東京電力のトラブル隠しは、大変な問題に発展した。もはや、原子力発電の安全などと言う言葉は崩れた神話となった。

 九月中旬以降になると、東北電力の女川原発でのひび割れが報道されている。ここはなんと「原子炉内のシュラウトにひび割れが六七箇所も見つかった」(九月二四日 毎日から)という。どこに本当の問題点があるのか、ただ、トラブル隠しのニュースの洪水だけでは何も分からない。

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 9月5日、刑法犯の激増のことを書いた。少なくとも、これ以上犯罪が増加しないようにするにはどうしたらよいのか。この追求を教育界、警察組織、宗教界などあらゆる層を結集して協議を行なうべきだ。

 検挙率が落ちてきたなどと言う批判的な記事は、無責任な傍観者に過ぎない。日本人の大半が、とりあえず自分は事件に巻き込まれていないから・・・と傍観者であったらこの刑法犯は限りなく増加していくだろう。

 どのような組織で・・・誰がこの刑法犯の増加に苦悩しているのだろう。なかんずく誰が被害者の苦悩・加害者の家族の苦悩に癒しの手を差し伸べているのだろう。

 もっともらしい顔でテレビに登場する日本のリーダーたちは、これらの問題に悩んでいるのだろうか。99%が傍観者のように思えてならない。これだけ事件が増えていったら警察組織だけではどうにもならない。

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 今月ほど大きなニュースが重なった月は珍しいと思う。国内では原子力発電所のトラブル隠し、そして、北朝鮮による拉致に関する報道だ。拉致は現代の常識からすれば許されない国家犯罪であるが、報道があまりにも過激になっていく傾向に、ある種の危惧を抱く。

 北朝鮮は、アメリカから悪の枢軸と名指しされ、イラクの次のターゲットにされている。そして、国内経済の破綻から金正日(キムジョンイル)総書記は追い詰められている。拉致・工作船を認め、植民地支配の補償を求める立場も放棄した。

 日本のマスコミは、この時を待っていましたと言わんばかりの報道であるが、日本の戦前の行状も念頭に入れたセーブされた一面も必要のように思う。

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 9月25日に記述したようにアメリカはテロ及びその支援国家と戦争をすると宣言している。アメリカを中心とする国際社会は、アルカイダを倒したが、このリーダー達は捕まっていない。

 ウサマ・ビンラデン氏は、パキスタンとイラクの国境が交差するアフガン南西部に潜伏しているようだ。そして、これらの残党は2000人とも4000人とも報道されている。そして、カルザイ大統領暗殺未遂事件が示すように、いつまたテロが発生していくか分からない。このテロリストを一時的に山奥に追い込んだだけで、この問題が解決されたわけではない。

 アメリカ憎しの思想は生き続け、このテロリストと、基本的人権を掲げ民主社会を構成している国家との対峙が続くことになる。

 アメリカはテロとの戦争を宣言し、膨大な情報戦と警戒網を敷いている。この費用は莫大なものだ。最近のアメリカの株安とこのテロが全く無関係とは言えない。アメリカは、テロ対策のために、国力を消耗していくのではないかと思うほどである。

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 早いもので、日々の映像を書き始めてから69冊目になった。私が書いている日々の映像に冷たい視線を投げかける人がいる。簡単に言えば「お前ごときが、この程度のエッセーを書いて何の役に立つ」という視線だ。

 意見を述べれば批判する人が出て来る。・・・これが人間社会のありのままの姿なのかも知れない。しかし、私に冷たい視線を投げかける人に反論したい。「社会の問題に対して、何も声を上げない。ただの傍観者でいる。これも1つの人生の生き方かも知れません。犯罪が激増している。しかし、私は巻き込まれないから良い! そして、何もいわない! 何もしない! こんな生き方が良いのでしょうか。

 社会が少しでも良くなるように声を上げ、多少でも行動すべきではないでしょうか。貴方はきっと私の提案に対して、せせら笑うでしょう。そんな貴方に私は忠告をしたい。利己主義の生き方では、人間としての生きる活力が失われていきます!」と。社会の出来事に対して、傍観者が実に多い。時には驚愕することがある。自分だけの僅かな空間の中で、食べて、呼吸しているだけの人生では、生きている価値がないと思う。

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 30年前の9月29日、田中角栄首相と周恩来首相が日中共同声明に署名した日だ。それから30年の時が流れた。この間に想像も出来ない経済・民間交流が展開されている。

 日本を目指す中国女性も多い。厚生労働省の調査によると、日本人男性と結婚した外国人女性3万人余りの内、中国人女性が1万3939人と44%も占めるに至っている。(9月29日 毎日から)それにしても、日本を目指す花嫁予備軍は絶えないとのこと。日本の独身男性が中国で見合いして、オッケーとなると、中国の女性は当然ながら単身で日本にやって来る。そして、日本の地で子供を産み自分の人生をかたち創る。・・・女性は強し・・・。

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石田ふたみ