『日々の映像』

2002年09月04日(水) 長野知事選 田中康夫氏の圧勝

 時代が確実に変化している。4・5年前の常識では、知事と言えば、既存の政党の支持を受けた前国会議員・前副知事・前県会議員がほとんどで合った。その流れが2〜3の県で変わってきた。この流れを象徴するのが今回の長野の知事戦であった。旧体制の側から捉えれば、彼らは完全に打ちのめされた形だ。旧体制を打ちのめしたのは誰か。言うまでもなく、田中康夫氏に投票した822、897人の長野県民であった。

 旧体制を代表する自民党は、前面に出ないで無所属の長谷川敬子氏をかつぎ組織的な応援体制を作った。しかし、自民党支持層の46%が、田中氏に投票したというからどうにもならない。このような流れが長野県のみに留まるのか、全国的に広がっていくのか、少なくとも、日本の社会に大きな変化の流れがあることは確かだ。

 評論家の岸井成格氏は、8月2日の毎日新聞の一答両断のなかで「中央とのパイプの太さが身上で、いかに公共事業を政府から引き出すかが仕事だった従来型の知事や地元利益第1の県議になぜ県民が『ノー』を突きつけた背景には時代の大きな流れがある。昨年の自民党総裁選において、小泉首相の勝利にもつながるこうした傾向は今後、あらゆるレベルの選挙で強まっていくだろう」と指摘していた。

 この田中康夫氏の勝利は、ただの旧体制の打破とか、脱ダムというハード以外の側面にあるように思う。少々の田中氏の語録を引用してみよう。

※ 私利私欲とは無縁の改革を続けることにより全国に勇気と希望を与え、閉そくした社会を変えていく。更なる改革を続けていく新しい1歩の日だ。(9月1日 毎日ホームページから)
※ 会社、組合、政党、派閥。金型に組み込まれ、親分から分けてもらうために努力する事が幸せか。1人1人が自律的に判断して行動する長野県を (9月2日 毎日の視点から)
 なんと言っても、田中康夫氏が私利で動く政治家でないことが、長野県民に浸透していったことが、今回の圧倒的勝利の背景にあるように思う。少なくとも親分の言うことを聞かない投票行動は新しい時代の到来だ。

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石田ふたみ