『日々の映像』

2002年09月02日(月) 小泉首相9月17日訪朝

 日中の国交が結ばれてから30年を迎える。

 我々はこの国交回復の歴史的な事実を明確にして置く必要がある。今から30年前といえば、日本の国力もそんなに大きなものではなかった。この国交の樹立交渉に当たって、周恩来は日本に対し戦争の賠償を求めなかった。

 ジャーナリストの西園寺一晃氏の講演によれば、中国が戦争の賠償を求めるとしたら、30年前の貨幣価値で500億ドル(当時の為替では18兆円)であったという。

 周恩来が戦争の賠償を求めなかったのは「中国人民も日本の人民も軍国主義の被害者である」との史観であった。よって、軍国主義が消えた現在の日本(の人民)に戦争の賠償を求めるべきではない・・・としたのである。

 30年前といえば、日本の国家予算もまだ2兆円余りの時代である。この時、国家予算の10倍もの賠償を中国指導部が求めたとしたら国交の回復などはなかったのだ。

 小泉首相の北朝鮮への訪問に当たって、最も重要なのは、金日成総書記の歴史観なのだろう。いたずらに、植民地支配の金銭的な清算を求めるような歴史観であれば、国交正常化の糸口をつかむことが出来ない。

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石田ふたみ