日本の企業倫理・原発の安全性の根底をゆする事件が起こった。8月29日から始まった東電のトラブル隠しの報道は読み切れないほどだ。ここで、この事件のイメージを確認する意味で、主な記事の見出しを拾ってみよう。
・ 原発記録改ざん・・・東電がひび割れ29件隠す。(80年代から) ・ 東電原発・・・トラブル29件、点検記録に虚偽(以上8月29日) ・ 東電原発・・・虚偽記載に東電職員が直接関与 ・ 東電原発・・・発端の内部告発 旧通産省が水面下で調査 ・ 東電原発・・・告発者は検査に関わった米国人技術者(以上8月30日) ・ 東電原発・・・東電の100人近く認識、保安院、上層部の関与調査 ・ 東電原発・・・虚偽記載87年から、チェルノブイリ事故の翌年 ・ 原発異常隠し...これは国民への裏切りだ ・ 東電原発問題・・・企業倫理を説く一方で、・・・身内の「罪」責任重く(9月1日)
一連の報道で1番がっかりしたことは、内部告発といってもこの検査に来た外部(GEインターナショナル社)であったことだ。東海村の臨海事故をきっかけに原子力等規制法の改正が行なわれ、不正、虚偽を告発した社員に対し、解雇などの不当な扱いを禁止する条文が追加されていた。このような法律的な保護があっても、東電内部の告発がなかったことに1つの恐ろしさを感じた。
原子力の安全は、総べてを優先する問題だ。東電の社員は、こんな重大な問題(機器のヒビ割れなど)でも、上司がこうせよと言えば、これが虚偽の報告でも黙って従う羊の集団なのだろうか。
次にがっかりしたことは、社会観の幼稚さだ。新聞によれば、東電職員が検査の委託業者(GEインターナショナル社)に虚偽の記載を指示したというから驚く。
東電の職員は、自分達の指示であればどんな違法行為でも、委託業者はそれに従い秘密を守ると思っていたのだ。悪く言えば、自分たちが社会の中心にいると思っている。この社会観がいかにも幼稚だ。第3にがっかりしたのは、告発から今回の発表まで2年も経っていることだった。
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