| 2002年07月08日(月) |
空前の金利引上げの動き |
企業の財務担当者は、警戒のアンテナを張り巡らす必要がある。最大の背景は銀行が資産(主に貸付金)を大幅に削減しようとしていることである。大手12行は、昨年度30兆円超の資産を圧縮した。更に03年は「02年3月期に次ぐ史上2番目の規模(20兆円)で、更に拡大する可能性が大きい」(6月23日 毎日)各行とも自己資本が目減りしているので、資産全体を圧縮する必要に迫られている。 次に基盤の弱い企業に対して、金利引上げ要求を本格化させている。
この引き上げ幅が年利で0.5とか1.0%という段階の話でないのだ。「02年度から一斉に企業と交渉を始めたが、2〜4%高い水準を提示された企業の反発は強い」(7月7日 日経から)だが、不良債務を収益力の強化で処理しなければならない銀行は手綱を緩められない。
日本銀行の利ざや2%弱であるが、これを米国の銀行並みに3.5%余りに持っていく必要がある。ここまで上げていかないと、銀行自体が不良債権処理を出来ないところまで来ている。
企業にとって最も警戒が必要なことは「経営状況が良くも悪くもない企業」(同)が金利引上げのターゲットになっている事だ。ある大手素材メーカーの財務担当者は取引銀行から「短期融資の金利を4%に上げて欲しい」(同)との通告で言葉がなかったという。この金利で応じなければ、貸付を回収しようという前提なのだろう。
ある大手企業の準取引行の中で「5%の金利引上げを要請してきたところもある」(同)という。これは最初から融資を引き上げようとの狙いなのだ。ともかく、企業にとっては、ただならぬ銀行の動きと言えよう。大局的には、銀行の不良債権の処理相当額を今生きている企業が負担しなければならない趨勢となって来ている。
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