| 2002年07月05日(金) |
信頼が崩れる(米の粉飾決算企業) |
アメリカ通信大手のワールドコムの巨額粉飾決算が「米国の資本主義揺さぶっている」(6月29日 日経)なにしろ、同社の総資産は「1038億ドル」(約13兆円)という規模で、昨年破綻したエンロンの「628億ドル」(約8兆円)をはるかに上回る。ここが約38億ドルに上る粉飾決算が明らかになって、上場廃止の処分にされる見通しとなった。破産法の申請に追い込まれる事も必至だ。
この申請となれば、資産13兆円の世界最大の倒産劇となって、世界中の投資家と債権者を巻き込む。最近の円高(ドル安)と米の株の暴落は、アメリカ企業の会計に対する不信の表われなのだ。米国ではこれを「信頼の危機」と呼んでいる。時価総額15兆ドル(1800兆円)の企業群も信頼の基盤の上に成り立っている。この信頼が崩れ去れば、アメリカの経済の打撃はテロの比ではない。
ブッシュ米大統領は相次ぐ粉飾決算について、「市場の信頼を裏切った者は裁きを受けねばならない」(7月2日 日経から)と厳罰で対処する方針を強調している。しかし、一度失った信頼を回復することは容易なことではない。考えて見ると、極少の個人も極大のアメリカ経済も信頼の有無が基盤となって成り立っている。
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