| 2002年05月11日(土) |
土木向け鋼材とセメントの消費量 |
建設業界は深刻な不況下にある。不況の最大の原因は、受注単価の大幅な下落なのである。工事量がピーク時1/2に減少したわけではない。その例を少々取り上げてみよう。道路・航空・港湾など土木事業向けの鋼材の需要は、ピーク時の815万トンから、02年の実績見込みは「670万トン」(ピーク比82%鉄鋼連盟の発表)で激減している訳でない。
建設需要のバロメーターは、なんと言ってもセメントの消費量である。これも8600万トンから「01年の需要は6863万トン」とこれもピーク時の81%の水準を維持している。
ただし、数量は19%の減少であるが、販売価格がピーク時のトン当たり1万1800円余りから8600円余りと18%も下落している。数量が19%も減少し、価格が28%も下落しているので売上面では左記のとおり59%の水準になった。
ピーク時 8600万トン×11800円=1兆0030億円 100 01年 6863万トン× 8600円= 5902億円 59
01年以後のセメントの消費量は、どう推移していくのだろう。業界では「数年後に6000万トン近くまで落ち込む」との見方が強い。しかし、見方によっては、1年で6000万トンのセメントの消費量は膨大な量である。一般的に説明すれば、1トンのセメントで3立方の生コンを作る。よって、6000万トンのセメントの消費とは1億8000万立方メートルの生コンクリートを消費することになる。
ただ、この需要減に伴うシェア競争で1度下落したこのセメント価格が上昇することは考えられない。よって、セメントメーカーの生産設備の縮小・生コンクリート工場の閉鎖の動きが強くなってくるのだろう。
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