18日から日経で「活力を生む税制」というシリーズが始まった。これと平行するかのように、20日から「税を正す」という題で経済力の最前線に立つ企業経営者の意見が掲載されている。これらを読むと、日本の製造業が日本から脱出していく理由がよく分かる。日本の企業に蓄えられた知的資産・技術は超一流であると思う。ただこの企業が、どこの国で物を作るかは、企業の選択になっている。更に言えば、企業が国を選ぶ時代となっているのだ。 輸出型の企業は人件費・社会的コスト・税金が高い国で物を作っていたのでは生き残ることが出来ない。一連のシリーズの中から日本の税金をほんの少しだけ取り上げてみよう。 日本の法人税は41%〜42%だ。これに対してアメリカは34%だ。なぜ、日本がアメリカより8%近くも高いのだろう。「アジア主要国・地域は20%台(ここでは平均して25%とする)」(2月20日 日経から)となっている。日本企業の子会社がアジア地域の国で利益を上げると、25%の税金でよいのだ。1年ほど前だろうか、日本の主要企業は、海外子会社の利益を配当と言う形で、回収しなくなったと言う報道があった。この時は意味が良く分からなかったが、2月19日の日経の「日米の税務コスト」を読んで納得した。要旨は次のとおりだ。「親会社が低税国の子会社から配当を得ると、日本で追加課税が発生する。利益を現地での再投資に向ければ、恒久的な節税手段となり、連結ベースの実行税率を引き下げることが可能となる」実行税率とは税引き前利益に対して何%の税金を払ったかである。 日本企業は平均で47.1%であるのに対してアメリカの企業は33.6%と13.5%も低いのである。なぜ、こんなに大きな差になるのか、1つだけ記述すれば、キャノンの実行税率が低いのは、前記したとおり低税国の子会社が利益を出していることによる。 キャノンの御手洗社長は、「税をただす」の中で次のように指摘していた。「日本の税制には思想がないことだ。思想がないので単に取れるところから取ろうとしている印象が強い。・・・米国の税制には善意を刺激し育てていくという思想がある。・・・増税の際は政府が国民に説明することが重要だ。税制に思想がなければ理解も出来ない」と批判していた。 以前にも類似したテーマを何回となく記述したが、日本の税制には企業を育てようなどという思想は限りなくゼロなのである。ベンチャー企業は、開業当初、赤字決済を続ける場合が多い。米国では創業から20年間、赤字の繰越控除ができる。しかし、日本はたったの5年なのである。なぜ、この程度の税制をアメリカと同じに出来ないのだろう。 個人の場合はどうか「米国は、ベンチャー企業への投資に優遇税制を適用している。ある企業への投資の欠損は、別の企業の譲渡益や給与など幅広い所得から控除でき、繰り返し控除も期間は無制限」(日経から)となっている。これに対して日本はどうか「控除対象が株式譲渡益だけ・・・期間は3年に限っている」という具合だ。なぜ、アメリカと同じ考え方に立てないのだろう。個人を税の面で押しつぶして、国全体の活力が生まれるとは思われない。個人の所得税の場合はどうか。レーガン政権の86年から、それまで11%〜50%の累進税率を15%と28%にした。日本の高所得者は懲罰的な税率となっている。
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